(6)いきさつ 2
女子は似た雰囲気の子で集まることが多いが、同じレベルというわけではない。
4人いればかわいくてモテる子は1人か2人、大抵ヒエラルキーができ、トップのかわいくてモテる子から、そのグループに所属していること自体がステータスになるという子まで序列ができている。
私は、私を含め5人グループにいて、おそらく3番手あたりにいたつもりであったが、島崎、相馬両名から告白されてしまったことがバレてしまい、序列を完全に崩してしまったらしい。
同学年160人ほどいて、これで10人から告白されては(全員断っている)、もうモテていないとはさすがに言えなくなってしまった。
異性からモテるということも、もちろんヒエラルキーに大きく影響する。
だからヒエラルキーの序列を壊すようなことが起きると、なるべく序列の崩れないメンバーでまたグループが再構成され、ヒエラルキーを安定させる行為(下位は上位のご機嫌をとること)が「友情の証」として、認識されるようになる。
つまり、ヒエラルキーを壊す事は人間の世界では悪なのである。
というわけで私が外れることが元いたグループにとって、一番ヒエラルキーの安定のために都合がよかったのだろうと、自分では解釈しているが、間違ってもそんなこと人には言えない。
これはなんの証拠もない単なる解釈だし、もっと言えば妄想かもしれない。他に理由があるかもしれないし、あっても全然不思議ではない。
しかし確かなことは、私はうまくやっていたつもりであったこと、あまり目立たず、友人らしき人たちと学校生活を楽しそうに過ごせていると思っていたことである。
そのためになるべく無味乾燥な人間として振る舞っていて、多少男子からのアプローチがある分には、それも一つの中レベルな女子中学生らしさになると思って、それほど警戒はせずにしていた。
成績も、5段階で2~3辺りになるように適当にテストで間違えて、(そもそも何が問題なのかわからないテストもある。私には答えがそのまま書いてあるとしか思えないテストがほとんどで、間違える方がむずかしいものがほとんどであるが、それでもなんとかそれっぽくやってきた)あまり成績優秀者にならないようにして、極力目立つことを避けていたつもりであったが、おそらくそれがいけなかったらしい。
そういった、反省というか回想というか、そういった意識の状態でいながら、雑談をしているところにうつつちゃんの先ほどの指摘である。
なので私はもうここでは自分をそこまで隠さなくてもいいんだなと悟ったわけである。
しかし、新聞を作りながら(くどいようだが、私個人は雑談と回想を繰り返しているだけである)みるくとうつつちゃんは先ほどからソウエキがどうのこうのと言い合っている。
参考図書
竹田青嗣著
「意味とエロス」「エロスの世界像」「自分を知るための哲学入門」「現象学入門」「ハイデガー入門」「現代思想の冒険」など