(4)ギャル、ロリ、昔、腹黒
女子は同じ雰囲気の子でグループを作ることが多い。
しかしあの3人の雰囲気はバラバラである。
松井絹代。
髪型は前髪を切らないセンター分けのボブカットで、目鼻立ちがはっきりしている洋風美人である。髪の色はゴリゴリの茶髪でスカート丈は限界まで短くしていて、たまに限界を突破してワカメちゃん状態になるときもある。ギャルである。ギャルとして既に完成している。
教師からは「松井、ちょっと(どころではない)髪、茶色いな〜」とか、「ちょっと(どころではない)スカート短いな〜」などの注意ではなく、単なる指摘をたまにされる程度である。
校則という概念を超越したこの娘は、教師をよからぬ方法で手懐けているのではないかというあらぬ噂が立つほどだ。
北条晶子。
中学生Vチューバーをしていて、雷切みるくという名で活動している。
みるくは重度の歴史マニアらしく、このかなりハード目な苗字の雷切というのは九州の大友家の武将の立花道雪という人が持ってた刀の名前がそれで、そこから取ったそうだ。大名でもなく武将の名前ですらなく刀の名前とは、なかなかになかなかである。
145センチの身長と頭の両サイドに鞭のようにしなるツインテールがトレードマークで、小学生の高学年から頑張っても中学1年生ほどにしか見えない。
額から顎までの距離が短く目がでかいので、動物の赤ちゃんのようであり、同級生でさえ彼女を好きだと言えない雰囲気がある。同い年なのに彼女を好きだと公言してしまえば、不審者、変質者、犯罪者のレッテルを張られかねない緊張感があって、彼女に対する男子の腫れ物に触るような態度がちょっと面白い。
島津川現。
髪型は三つ編みおさげに、黒縁のメガネ。顔は目は一重で、凹凸がほとんどない弥生系のそれでる。邪馬台国に紛れ込んでも遜色ない、どっからどう見ても原始日本人の遺伝子を直に受け継いでいるとわかる顔立ちである。
髪型からスカート丈まで、校則そのもので模範的というよりかは、没個性的と言えるほどで自己主張がまるでない。戦後直後の再現映像に出てくる昭和芋女学生である。
趣味は哲学らしく、いつも何を考えているのかわからない。
私はこの3人を、ギャル、ロリ、昔、と勝手に担当を決めている。
そして私、福田唯奈は3人に言わせれば腹黒担当なのだそうだ。まあ否定はしないが。
参考図書
竹田青嗣著
「意味とエロス」「エロスの世界像」「自分を知るための哲学入門」「現象学入門」「ハイデガー入門」「現代思想の冒険」など