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関東のおっさん (2)

 「カントっておっさんが面白い事いってたんだけど」とうつつちゃんが言って

 「関東?」と私が言えば

 「カントよ、エマニュエル=カント」

 「あ、カント」私は話の腰を折ったのでうつつちゃんをキレさせたのではないかとちょっと焦るがうつつちゃんは無表情に続ける

 「例えばこの世の根本とか原因は何かという命題があったとして、神様と答えたとするじゃない?でもその場合、じゃあ神様は誰が作ったの?という疑問が当然湧くでしょ?他にも空間とかでもいいんだけど、今私たちは図書室にいて、その壁の向こうは見えないわけよね?でもその向こうにも当然教室や廊下はあるしさらには、日本があって地球があって宇宙があると当然思うわけよね?そういった空間という感覚があれば、ではその限界はどうなってるのか?つまり宇宙の果てはあるのかないのか?あったとしたらどうなってるか?って疑問はさっきの神様のときと同様、あることを限定しようとしたらではその先はどうなってるのか?という考えって言うのは自然に浮かんできちゃうわけよね?」

 「確かに」と私はいいつつ、これ話し長くなるなという予感が変なスイッチ入れちゃったなという、感想へつながり、昼休み内に終わるのかという心配に変わった。

 「ここで重要なことはカントは『人間というのは推論の能力だ』と言ったわけ。これをもうちょっと細かく言うとさっきのこの世の原因でいえば本当に神様が作ったのかもしれないじゃない?でも人間ていうのはじゃあ神様は誰が作ったのかと問わずにはいられない存在だってことなの。だから人間ていうのは実際に経験できない部分は推論せずにはいられない存在なのよ。つまりこの推論ができてしまう間はどこまでもそれをやめられないのが人間って言う存在だって言ったのよ。これが人間の意識を探求する哲学の中では大発見だったわけ。もっともそれよりも前にそういうことをテーマにしていた哲学者はたくさんいたんだけど」

 私は松井さんとみるくを見たら二人ともいい曲を聞いてるかのようなリラックスした表情で話しを聞いている。うつつちゃんは続ける

 「哲学のテーマとして主客一致問題って言うのがあって、私の見てるものは本当に現実の世界をそのまま見てるのか?っていうテーマがあったのよ。他にも時間に始まりはあるのかないのかとか。この時カントは人間に認識できない世界とか、時間の始まりなんていうのは、人間に経験できない部分でそれは推論でただ思い描くことしかできないから、結局真実はわからないって言ったの。で、要はここで言いたいのは人間の意識の中には実際に経験してる部分と推論によって思い描いてる部分があるってことね」

参考図書

竹田青嗣著

「意味とエロス」「エロスの世界像」「自分を知るための哲学入門」「現象学入門」「ハイデガー入門」「現代思想の冒険」など

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