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デート代はどちらが出すべきか 還元、本質直観 10

 「視覚を例に挙げるわね」とうつつちゃんが言った。

 「目の前に広がる光景がある。今で言うとこの図書室ね。この図書室の風景は、何度見ても図書室の風景よね。さらに目を閉じないとこの風景は消えない。この意識の状態を視覚と呼んでいるのよ」とうつつちゃんが続けた。

 「要は自分の意思で作り出したわけではないってことが重要なわけね?」と私が言った。

 「その通りよ。この意識の中にある、自分の意思でコントロールできない部分を知覚と認識し、これにより私たちの外に世界が存在していると言う確信を与えているの。他にも触覚でもいいけど、この机の硬さは、何度叩いてもこの硬さで、私の意思で柔らかくなったりもしないわ」とうつつちゃんは、机をコンコンとノックしながら言った。

 「意識ではコントロールできない光景や、物体の感触が外の世界が存在し、その中に自分がいると言う感覚を生み出しているわけね」と私は言った。

 「昼休みにデカルトの主客一致問題の話しをしたと思うけど、客観という外の世界がそれ自体としてあると思うと、それに主観が一致しているのか?いないのか?という疑問が生じてしまうでしょ?でも主観の中に客観の存在を確信させるものがあると考えれば、『一致』というもの自体が無意味なものになるわよね?」

 「ああ、客観の証明をする必要が無くなるからか」とギャルが言った。

 「そうよ。繰り返すけど、私は客観の証明ではなく、意識が客観の存在を疑えなくなる、確信という意識の状態の証明をしているの。そしてそれは知覚というものが存在するからで、知覚の説明は今言った通りよ」

 「デカルトがもう親戚のおじさんくらいの感覚だわ」とツインテールが言った。

 「ここで、またよく注意してほしいのは、確信という意識の状態は、自分の意志で無理に信じ込もうとして生まれたわけじゃないってことね。確信の成立する条件は…」

 「どんなに疑いたくても疑えない時ね。意識の自由にならない時ってことね!」とギャルが嬉しそうに言った。

 ものが理解できるとそれ自体でうれしいものである。そこには私も痛く共感できる。

 「とにかく、主観から全てを解釈するという還元の概念がこれでなんとなくわかってきたわよね?」とうつつちゃんが言った。

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