デート代はどちらが出すべきか 還元、本質直観 9
放課後の図書室である。
金井君が去ったあと昼休みが終わったので、一回教室で授業を受けて、終わったのでまたここに集合した。
授業中もうつつちゃんの講義を反芻していた。人間は意識の中ですべてを判断している。
ここから見える景色。それは一見、外に世界があると思わせるが、その光景は知覚というやっぱり意識の一部なのだ。
私はそもそも意識とは何か?ということも考えていた。身体や脳があるから意識があると普通は思うだろう。しかし、現象学の話しを聞くと、意識があるから身体というものの存在を認識するということになるのか?
「本質直観の前に還元について、半歩だけ前にもどるわよ」とうつつちゃんが言った。
「還元は意識にあるものしか認めない。それ以外のものは全て推論であるということ。だから主観からすべてを解釈する方法なんだけど、これは普段の感覚と真逆だから理屈ではわかっても、すぐにこの視点に立つのは、けっこう大変よ。だから昼休みにちょっと触れたけど、知覚とは何かについてちゃんと説明するわ」と続けた。
「知覚が何かを理解することで還元の概念がより理解できるってことね?」とギャル松井が、ギャルの概念を超越するような言葉を使った。こいつもうつつちゃんに引っ張られてきている。恐るべし島津川現。
私はギャル松井を見ながら、(哲学ギャル。意外とありかもしれない。けっこうネット上では需要あるんじゃないか?)と一瞬、変な妄想が頭をよぎる。
「そういうことよ」とうつつちゃんがギャルに返して、視線を私たち4人の中間あたりに定めて話し出した。
「結論からいうと、知覚とは客観の存在を確信させるものよ。私たちは世界があって、その中に他者とともに自分がいると思っている。この感覚がどこから来るのかというと知覚という意識の場所なの。ここで還元の概念を思い出しながら聞いてほしいのは、知覚は普通、視覚や聴覚のように外にあるものや発生した音などを受け取るものというイメージがあるわよね?でも繰り返すけど主観の側から解釈する限り、これも逆で知覚というものがあるから、外側の世界の存在を疑えなくなるの。だから確信せざるを得ないわけね」
「ああ、なんとなく主観の側から解釈するっていう意味が分かってきたわ」と私は言った。しかしまだ、なんとなくではある。
「だんだんわかって来たかしら、でも知覚の説明はまだ半分よ。」とうつつちゃんは言った。




