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デート代はどちらが出すべきか 還元、本質直観 6

 「もう一つ、例を挙げてくれ」と机に肘をつきながらギャル松井が言った。どうやら話をちゃんと聞いてたらしい。

 「例えばコーヒーがそこにあるとするわよね。自分には色も匂いもコーヒーと感じられる。しかし誰かにこれはコーヒーではなくて、コーヒーに似せた飲み物だと言われるとする。もちろんその可能性はあるわよね?そこで今度はそれを飲んでみると、確かにコーヒーの味がする。その後別に体には何の異常もないとすると、私はもうこれ以上コーヒー以外の認識を逆にもてなくなるのよ。何回も言うけど、この時私に生じたコーヒーの認識だけが確かな事実であって、今飲んだものが本当にコーヒーかどうかは論理的にはわからないのよ」とうつつちゃんが言った。

 「私たちは自分の中にもともとあるコーヒーの味や匂いや色などのコーヒーの認識と、実際今味わっている飲み物とを照らし合わせて、それらが合致しているからそれをコーヒーと認識するわけ、つまり全部が自分の意識の中で行われていることなの」と続けた。

 「だからそもそも私たちは意識の中の内的な感覚だけでものの真偽を確かめてるの。還元て返すとかもとに戻すって意味でしょ?つまり還元て主観だけでとらえたものが全ての起点として考え始めるように、物の見方の基準をそっちに戻すことなの。物がそこにあるから私たちはそれを認識するんじゃなくて、私たちが認識するから物がそこにあるっていう、普段とは逆の見方なんだけど、でもよく考えるとそうとしか言えないから、ただそっちに戻すってことね。たったこれだけなんだけど説明するとけっこうかかるでしょ?」とさらに続けた。

 「ああ、やっとわかったわ」とギャル松井が肘をつきながら答えた。

 「理性が疑うことをしなければこんなことにならないのに、理性ってめんどくさいのね」と私は言った。

 「それも逆なの。さっき言ったみたいに、普段私たちは生きてて何の支障もなければ理性が疑うってことはしないんだけど、現実がはっきりしてる時もあれば、曖昧な時もあるでしょ?その時どうしても疑わざるを得ない場面に遭遇すると、理性って言うのは自分の認識に疑いを向けて確認作業を行うのよ。まあ、これはちょっとそれるからここではここで止めとくけど」とうつつちゃんが言った。


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