眠りのための処方箋 月の森からの手紙 作者: 薄雪草 夕方の終わりの森から 長い影が薄れて 大気に漂うようになるとき 西には月、太陽は地平線の下 星は輝き始める 木の枝越しに見る月の光は 何もない 青の世界を飾り 優しさが満ちていく 夜は満ちていく 風が吹いたら、枝が揺れて 咲いたばかりの花が揺られて 扉が開いて 向こう側には 夢の世界が 呼んでいる、待っている 満ち足りた幼子の眠りのように 静かに、風に揺られながら 木の枝の下で 月の光を受けとめて そうして皆、眠りについたら おやすみなさい、夢の中へ