表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/24

中々うまくはいかないものです

はーい。あの襲撃から三週間経過したよ~

え?一気に時間が飛んだって?まぁいつものやつだよ。察して。

さて、あの襲撃後、私は計画通りお兄さんを使いルークに健康面に関して言及させた。

お兄さんはあの時のことを恨んでいるのかグチグチ言われたけど、全部無視した。

あの蜜に関しては成分変化があったのでルークもあっさりと聞き入れ、騎士団長の権利を使いこの町だけではなく、他の町にも出向き、蜜を購入した人間の家へ一軒一軒訪問してくれた。

その際、体調を聞くついでにノアのお守りを渡してくれているらしくノアの道具の宣伝もばっちりだ。


「お嬢様」


と、ノアが部屋に入って来る。


「どうだって?」

「まだ蜜の回収は行われていないようです」

「あらぁ………」


私は机にだらりとしな垂れる。

あれから三週間たち、不調をきたす人間が街で増えてきた。

それはお兄さんやルークから教えてもらっている、いるのだが何故か未だに蜜の回収と製造禁止命令がだされていなかった。


「製造側が問題ないと主張しているせいで中々検査ができない様子です」

「まぁ、自分が作った製品がそんなヤバい物だなんてバレれば潰れるしね」


どうやら蜜の製造を行っているところが「自分たちの作った蜜で体調不良者が出ているなんて嘘だ。ちゃんと検査はしているんだ!」と主張しているらしい。

そりゃ検査はしただろうけど、問題は人の体内に入った場合に問題がないかどうかだから。

それについて検査させろとルークが専門の薬師や医師などを連れて掛け合っているが中々頷かないようだ。

こればっかりは私達にもどうすることもできないだろう。


「あのお守りですが、配らない方が良かったかもしれません」

「え?どうしてですか?」

「あれにはお嬢様の光魔法がこもっています。それによって毒が消え、体調がよくなる」

「そ、そうですね?それが……」

「それによって本当に蜜の毒で苦しんでいたのか、ただの病なのかがわからなくなっているのです」

「……あー…そういう」


言われてみるとそうかもしれない。

毒で体を蝕まれているならば、それ相応の反応が身体に出るのだ。明らかに病気などではないなにかが。

だがその反応が出るまえに解毒しているせいで本当に蜜のせいでそうなっていたのかわからなくなっている、ということだろう。

明かに蜜のせいだと分かれば製造側も対応せざる負えないだろうが、私がその証拠を消してしまっているわけだ。


「………渡さない方が良かったですかね?」

「お嬢様は死なせたくないと思ってのことでしょう?根本的な解決にはなりませんが僕が作っているお守りを配り続ければ問題もないでしょうし」

「………まぁ。そうかもしれませんが…」


でもそれすると騎士団の方に迷惑掛かるし、なにより無料配布してるせいか材料が減る一方でそろそろ材料つきそうなんだよね。

それに、なんかもやっとするっていうか………なにか忘れている気がするというか。なんだろ。うーん、なんだったかな。


「お嬢様。今日の魔法学の時間です」

「あ、はいゾイさん、本日もよろしくお願いします」


ゾイさん来ちゃったし、後で考えよう。









ゾイさんの授業も終わり、ここからは自由時間だ。

ある程度やることは終わったから今現在私がやることはない。だからここからは只管ルークの親密度上げに徹するのだが………。


「え、ルーク様いらっしゃらないんですか?」


その日はルークがいなかったらしい。

その話を教えてくれたノエルは顔を顰め「今日は練習見てくれるっつってたのに」という。


「で?」

「え?」

「なんでお前らいっつもここくるわけ?お前ら関係ねぇじゃん」

「えと……道具を作りに」

「ノアだろ。ならそいつだけくりゃいいじゃん。お前が来る必要あんの?」


ぎろりとノエルに睨まれる。それはそうなんだけど。


「貴方に関係あります?」


どう言おうか迷っているとささっとノアが前に出ていう。


「はぁ!?あるに決まってるだろ!俺は騎士団の人間だぞ!」

「まだ見習いでしょう?」

「その……気が散るんだよ!邪魔!!」

「彼女がいる程度で気が散るなんて……まだまだ一人前には程遠いという自己分析ですか?よくわかってますね」

「っ、このっ……!!」


あ、煽りよる……!あのノアがこんなに人を煽ってるところ見たことないよ。しかもめっちゃ笑顔!逆に怖い!!!

顔を真っ赤にしてわなわなと震えるノエル

と、彼が何か言おうと口を開いて、ダッと誰かが横を駆け抜けていった。

見ればそこには赤い髪


「ルーク様!」

「ルーク!」


私とノエルの声が被る。名前を呼ばれたルークは一瞬振り返るものの「悪い!今忙しいんだ!」というとさっさと本部へ入っていった。

なにかあったのだろうか。暫くしてルークが走って戻って来るがそのまま走って本部を飛び出していってしまった。その手にはノアのお守りがいくつか見えた。

どこに持っていくんだろう。蜜を買った住民かな。それとも他の町?

妙に焦ってるけど………。

声を掛けようか悩んでいる間にルークは見えなくなってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ