行動
お久しぶりです!!!!
現在春休みに入りましたが毎日課題に追われて死にかけてるざっそーです!しぬ!!!!
またちまちま息抜きがてらに投稿してくのでよろしくお願いします!!
「最近調子がいいらしいなァ!」
ドンっと男は背を叩かれる。彼はへらりと笑い、自身の背を叩いた先輩に会釈した。
上裸で大きな剣をふり、汗を流しながらも快活な笑みを浮かべる男は誰が見ても真面目な騎士団員そのものに見えるだろう。
この男、名をダリスというが、彼は3年前まで人を攫い奴隷商に売りとばしその金で飯を食う、所謂荒くれ者だった。
そんな彼が真面目な男になれたのは何故か
騎士団の先輩方に根性を叩き直された、というのもあるが
「おにいさん」
一番はこの少女のおかげだろう。
ちまっと両足を揃え、丸い椅子に座る少女はきょろりと大きな瞳を動かしてダリスを見上げる。
「私おにいさんに折り入って相談があるんです」
「なんだ?」
大抵この少女が自分のもとを訪れる理由なんてまぁ、なにか頼みごとくらいしかないだろうことを理解していたダリスは早速その頼みの内容を訪ねた。
「おにいさんはカリンディアの密って知ってますか?」
「ん?ああ、あれか」
最近各地で出回っている蜜だ。
高価だが味も匂いもいいらしいソレの話はダリスの耳にも届いていた。
一度でいいから食べてみたいとは思うが最近騎士団に正式に入隊したばかりのダリスの給料ではとてもじゃないが手が出せそうになかった。
ダリスの反応から知っていると判断したのだろう。少女は神妙な顔で口を開く。
「とあるモンスターの群生地にその密を持ってって欲しいんです」
「は?」
「とあるモンスターの群生地にその密持っていって欲しいんです」
少女は澄ました顔で復唱したが、聞き取れなかったわけではない。
「いや、なんでだ???」
単純な疑問だ。
カリンディアといえばモンスターが嫌がる密だ。
それは周知の事実となっている。そんなものをモンスターのもとへ持っていってどうするというのか。
ただモンスターが逃げていくだけじゃないのか。
「実はその密を好むモンスターが見つかったかもしれないんです」
「は?カリンディアを?」
「正しくは"加工された"カリンディアの密を」
加工された。
「…成分が変わってんのか?」
「理解が早くて助かります。それでおにいさんに今から調査してほしいモンスター3体を」
「ちょっとまて!!」
「なんでしょう?」
遮ると少女はこてりと首を傾げてダリスを見上げる。
「なんで嬢ちゃんがそんな事知ってんだ…?」
これだ。
この少女はダリスの記憶じゃ、強かで悪知恵が働くだけの元貧民街育ちの現町娘(?)のはすだ。
そんな彼女がカリンディアの密の成分が変化したなんて果たして分かるか?
それもモンスターを引き寄せる成分になっている、なんて。
納得のいく説明を受ける権利があるはずだとダリスは少女に説明を求める…が。
「それ、貴方に説明する必要ありますか?」
少女は朗らかな笑みを持って両断した。
「は…?いや…あるだろ…?」
え、ないの??という感じだった。だが少女は笑みを保ったまま首を横に振る。
「いいえ、ないですよ」と。
「あのですね。おにいさん。
私は市民です。今とても困ってるんです。おにいさんは騎士団員です。困ってる市民を助けるのが仕事です。そうですよね?」
「お、おう」
「騎士団員として町や国を守るのは使命です。そうでしょう?」
「…おう」
「私が言ってるのは国に関わる問題です。今もなお脅威が迫っている。説明とかしてる暇ないんですよ。わかってくれますよね?」
「おう…ん?いや」
「わかってくれますよね?」
「あの、だからな」
いや、流石に可笑しいだろと言おうとしたダリス
だが彼女は笑みを浮かべたまま椅子から立ち上がるとガシッとダリスの肩をつかむ。そして
「 わ か っ て く れ る ? 」
アッ、これお願いじゃなくて命令だ。
過去に似たやり取りをした経験があるダリスは直感した。
そうしてダリスは自分が頷くまで繰り返されるであろうことを察し仕方なさそうに頷いた。
そう、仕方なくだ。
断じて、過去のトラウマを思い出して恐怖に屈したわけではない。
ダリスが頷いたのを見て少女は満足げに笑うと椅子に座る。
「それでモンスターですが、この3体をお願いします。
場所も書いていますので転送魔法が使える人に頼んですぐに行ってほしいんです。
ああ、一人だと危険だと思うので他の…あの二人と一緒に行ってくださいね」
「…まぁ、それはいいんだが、いくら騎士団でも転送魔法はそんな簡単に使えないぞ。
緊急性があるものが優先されるし、私情で使わないようにきつく言われてるんだ」
「ソコに関しては抜かりはないです。この封筒を転送魔法を使う方に渡してください」
少女は1枚の封筒を差し出す。花の模様が書かれた高価そうな封筒だ。
どうしてこんなものを…そもそもこれを渡してどうなるのか…と怪訝に思うが少女は何食わぬ顔で座っているだけだ。
「はぁ…コレを渡せばいいんだな」
説明は…また貰えそうにないかとダリスは大人しく封筒を受け取る。
「それでカリンディアの密はどうする?持ってるのか?」
見たところ少女は手ぶらに見えるが
「貴方が買ってください」
「…はぁ?!」
ダリスは少女の言葉に目を見開いた。
「お、俺に買えってか?!あんな馬鹿高いもんを?!」
「はい。ああ、あとカリンディアの華も一輪買ってきてください。多分カルテスの村に売ってるはずなので」
「い、いやいや!蜜どころか花まで買ったら俺の給料全額飛んじまうよ!」
「大丈夫ですよ。訓練生時代に暫く逆戻りするだけですから」
「あのなぁ…!」
確かに訓練生時代は給料が貰えなかったため、給料なし生活には慣れて入る。
騎士団員だ。質素だが食事は出るし着るものも寝るところもある。
だからといって給料を溝に捨てる選択を取れるかと言われると嫌に決まってる。
だが少女はジーーーっとダリスを見上げると両手を胸の前に組んだ。まるで神に祈りを捧げる使徒のように。
「騎士様。お願いします。とても困っているのです。私と、この国をお救いください」
きゅるるんとした目でこちらを見上げる彼女に心底頭が痛くなった。
やがて音を上げるようにダリスは「あーーー!!!もう!わかった!わかったよ!引き受けてやるよ!!!」と叫ぶ。
そもそもダリスが彼女の願いを断ることなどできるハスがなかった。
三年前のことを考えるととんでもないことをしてしまったと分かる。後ろめたさもある。
今更遅いかもしれないが、彼はモンスター狩りだけではなく、売り払われた子供の保護なども率先して行っている。
彼はもともとそっちの道の人間だったので、なんとなくどこでそういうやり取りをしているのか、どういう家に売りつけるのかわかっているのだ。
しかしどれだけ人を助けようが彼がやった行いが消えるわけではない。
少女に対してもそうだ。
結果的に彼は少女に返り討ちにされたが彼女の母親に乱暴なことをしたことへ罪悪感はある。
同時に少女は変わるきっかけを与えてくれた恩もある。
最初から彼に断るという選択はなかった。
きっと普段から仲良くしているルークではなくまっさきに自分のもとを訪れたのは彼女自身それに気づいていたからだろう。
「民のために動ける騎士様はかっこいいと思いますよ」
「都合のいい、じゃなくてか?」
「ふふ、どうでしょう?」
くすくすと楽しそうに笑う少女は天使のように可愛らしいのにその本性はまるで悪魔みたいだとダリスは思った。
だからこそ、彼はいう。
「相変わらずおっかねぇ嬢ちゃんだ」と
「ぎ、ぎりぎりせーふ…」
ふぃ、と私は深くため息を吐き出す。
話がまとまったあと、私が直ぐに騎士団へ話を通しに行こうとした矢先だった。
ノアに念の為騎士団に協力を要請するためにフローラル家当主直筆の依頼書をもらったほうがいいのではないかと言われた。
いくらあのお兄さんたちが私のお願いを聞いてくれるとはいえ、騎士団で動く以上優先事項がある。場合によっては後回しにされかねない。
そのため、少しでも時間を節約するために当主直筆の依頼書をもらったほうがいい、ということだ。
フローラル家は名家なのでよっぽどのことが無い限り優先してくれるだろう、ということだ。
なので先に当主へ依頼書を書いてもらいに行ったのだが…これが難産した。
なんせ当主は自分に不利益が被ることを目茶苦茶嫌がる人なので
直筆なんてなにか不祥事が起こった際、事態を隠蔽できず家の名に傷がつくかもしれないと嫌がったのだ。
もういっそ当主直筆の依頼書はなくてもよくない?とも思いもしたがそれでも私は粘った。
そして3日かけて説得し、漸く書かせることに成功したのだ。正直本気で大変だった。
「僕が言い出しておいてなんですが、よく説得できましたね」
「頑張りました」
両手を握ってふんすと胸を張る私
ノアは知らないが今回の件で私は当主に迷惑をかければ一生当主の奴隷になることを約束してしまったのでしくじったらノアハピ計画大失敗で私に輝かしい未来なんて無いんだけどね!!
そうして とうとう残り一ヶ月に差し掛かったあたりでようやく準備が整いおにいさんへ突撃
生息地へ突撃してもらった。
いくら転送魔法があるとはいえ生息地ドンピシャに飛ぶことは難しいだろう。
転送魔法は術者が行ったことのある場所にしか飛べないのだから。
時間は当然かかる。
できるだけ早めに帰ってきてほしいと願いながらも私は浮遊魔法で町を上空から見下ろす。
今のところはそれっぽいものは見えない。
当然だ。襲撃は一月後なんだから。でももしズレてたなんて事態になったら目も当てられない。警戒するに越したことはないだろう。
アレから十日
ダリスが帰ってきた。
机には開封済みの蜜が置かれていて、ダリスは何処か疲れたように息を吐いていた。
「お疲れさまです」
「ほんとにな…」
げんなりとした顔で見られるが無視である。
そんなことより早く報告してくれと目で催促すると「鬼畜か…?」と鬼でも見るように目を向けられた。何だその目 私は美少女だが??
「俺が最初に行ったのはグリューエンのとこだ。
実物初めてみたがバカでかくて生きた心地がしなかった」
「そうですか。それで?」
「……はぁ、それで、コレの蓋を開けたら威嚇して逃げてったよ。あのモンスターはカリンディアが嫌いらしい」
「なるほど」
ならグリューエンは違うか。
「次にスコルポオだ。
こっちもやったが、反応はなかった」
「反応がない?」
「匂いに一切反応してなかったんだよ。お陰で捕食対象として追いかけ回されたんだからな…」
「あら。それは大変でしたね。それで?」
催促すると化け物でも見るような目で見られた。いや、だから私 美少女だって。
とはいえスコルポオも違うか。
まぁ、ワニみたいな見た目してたし、四足歩行であの距離駆けてくるのは流石に難しいか。
「そんでアラクランだが…いなかった。生息地にもどこにも」
「こりゃアラクランであたりかな」
今回のせいで給料なくなった…と泣き言をいうダリスのことは無視して私はにまりと笑う。
やっぱ頼るべきは専門家と騎士様だね。
襲撃まであと3週間ちょっと。
とりあえず専門家さんに手紙送ってアラクランの弱点とか聞いて、ノアに道具作ってもらって…後は。
「…なんだよ。嬢ちゃん」
「…いえ」
周りに説明、納得させる際の身代わり《英雄》も作んなきゃね。
少女に顎で使われるお兄さん…いいですよね。
このお兄さん、ざっそーの脳内ではそこそこ厳つい見た目してるんですけどソレが余計に良きだと思うんですよねぇ(^o^)ヘヘッ




