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3話 新規事業の立ち上げに関して

「王族だろうが何だろうが、私の元で働くというのなら平社員と同じ扱いをさせてもらいます」


 鞄の中に入れてあった紙と万年筆を取り出し、いつも使っているバインダークリップボードの上にセットしてから、やる事を書き込んでいく。一応タブレット端末やノートパソコンはあるが、電力と言う物があるか分からない。仮に何かの方法で充電ができたとして、それが規格に合うか分からない。それに壊れたらそれは困るデータも入っている。


「しかし私はこの世界の読み書きが分かりません、貴方筆記は」


 万年筆の先を私を呼んだ二人にぴっと差し向ける。流石に王族だの貴族だの高貴な身分だというのならそれくらいの教養はあるだろう。勿論自分で読み書きができれば一番良いわけだが、何も分からない所から新しい事を覚えるのは流石の私も正直難度が高い。


「一通りは出来ます」

「私も出来ます」

「書き読み問題は良しと、ギルドの営業を開始するにもまず環境を整えてと……なので、今から掃除道具を買いに行きます」


 使える資金は50万……だが、この感じで言えば生活費諸々、細かな出費を考えていけば自由に使えるのは30~40万と見たほうが良い。そこから人件費、宣伝費、ギルド内外に使用する雑費、消耗品費等などを使っていくが、これ以上金もかかる可能性は高い。値段や相場が分かっている物ならいざ知らず、どういうものが合ってどのくらいの値段が相場なのかもわからないので予算は高めに考えておくのが吉。


「掃除道具の購入、内部の荷物を外に出してもらう日雇い、そしてギルドの修繕とまずは環境を整えます」


 ボードに置いた紙にやる事と大体の予算を書き込みながら、ちらりと2人を見る。


「そういえば名前を伺っておりませんね」

「儂はセバスチャンと」

「私はアンファング王国の第四……」

「そういった肩書は不要です、簡潔に」

「……ローザリンデ、です」


 紙の下に名前を書き込み、一度を目を伏せて少し考え事、自分の名前を言うのが当たり前だが、果たして西洋の様なこの世界で「漢字」の名前と言うのは不自然である。名前に何かしら未練があるわけではないが分かりやすい名前と言うのが必要になる。


「私の事はクレナと言うように」

「そして、ギルドマスターです」

「良い名前ですな」


 思い切り偽名だが、戸籍があるわけでもないし、本名は私の中にあればいい。そもそもあまり名前に固執する必要はない。


「では、まずは道具を買いに行きますか、街の案内をしてもらえますか」

「はい、わかりました」

「私もですか?」

「荷物持ちは一人でも多い方が良いではないですか」


 さて、これからだ。

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