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失礼な男の正体は⁉1

本日二話目の投稿です(^^)

前のお話を読んでない方はひとつ戻って下さい。

たくさんの方々に読んで頂いていて、とても嬉しいです!!


評価やブクマ付けて下さった方々、ありがとうございます(*^^*)

できることなら最後までお楽しみ頂けたらと思います♡

ヨーゼフ先生と新しい風邪薬の開発をして十日あまり。


どうやら薬の評判は上々のようだ。


レシピさえあれば私じゃなくても薬は作れるから、診療所専属の薬師が作ったものを先生が鑑定して、効果が確認できたものを患者さんに渡している。


症状に合わせて必要な薬だけを渡しているから、ピンポイントで治療できて治りも早いみたい。


特に小さい子は風邪が長引くと心配だからね、早く治るのは嬉しいよね。


そして私はといえば、相変わらずポーション作りに精を出している。


「マリアンナちゃん。この前のポーション、すごく良く効くのね!また何本かお願いしたいわ」


「すみません!急に遠征することになっちゃって……。え?十本も用意してくれたんですか?ありがとうございます!」


こんな風にお客さんと直接顔を合わせてお礼を言ってもらえるのは、なんだかんだいってやっぱり嬉しい。


人に感謝されるためにこの仕事をしているわけじゃないけれど、胸がじわっと温かくなるのは事実だもの。


「マリアンナちゃん、お疲れ様。いつもあんたのポーションにお世話になってるからね。ほら、差し入れ」


「わ、美味しそうなサンドイッチ!ありがとうございます、おばさま!」


なんでもない話をしたり、こうやってお客さんと親交を深めるのも楽しい。


「見てたわよ〜、マリアンナずるい!この前おごってあげたんだから、私にもちょっとおすそ分けしてよー」


アーニャとも変わらず仲良くやっている。


エレナさんのお店でご馳走してもらった時に、少しだけ昔の話を聞いて、一緒に泣いた。


私の前の職場の話をして一緒に愚痴も言い合ったし、すっかり飲み友達だ。


「分かった分かった!もうすぐ昼休憩だから一緒に――――あ、いらっしゃいませ!」


アーニャとそんなやり取りをしていると、カランとお店のドアについているベルが鳴った。


ぱっとドアの方を向くと、そこに立っていたのは、ターコイズブルーの髪に紺色のメッシュが入った、長身の男性だった。


スラリとして見えるけれど、マントから見える細めの腕には筋肉がちゃんとついている。


しかもイケメンだ。


乙女ゲームでいえば、クールな美形枠の攻略対象ってところかしら。


……実際にプレイしたことはないけど。


そのイケメンは私とアーニャの方を見ると、こちらに向かって歩いて来た。


そして私達のいる受付台の前でぴたりと足を止めた。


瞳は琥珀色か。


うわ、間近で見るとさらにイケメン。


オーナーやラムザさんもかっこいいけれど、またタイプが違うなぁ。


でもこういう男は絶対自分がかっこいいことを知ってるし、女に不自由してないよね。


ひとりの女性に一途〜なんていうのは、マンガか乙女ゲームの世界だけよね。


「おい」


うわ、しかも声までイケボだ。


あ、なんか前世の元彼を思い出すわぁ。


あいつ、仕事ばっかで俺に尽くさない女となんて付き合えねえって言い放ったのよね。


ちょっと顔と声が良くて女にチヤホヤされてきたもんだから、私に放ったらかしにされたのが気に食わなかったのね、きっと。


あー思い出したらイライラしてきた。


もう前世の話でマリアンナ()には関係ないってのに。


「聞いているのか?」


はぁ、こいつもちょっと傲慢タイプ?


女は自分に見惚れて言う事を聞いてくれて当たり前だとか思ってるんじゃないでしょうね。


あーやだやだ。


今世で彼氏を作るなら、オーナーやラムザさんみたいな謙虚で優しい人が良いわ。


「おい!さっきから無視か!?」


ダン!と受付台を叩かれてはっと我に返った。


しまった、仕事中だった。


「……申し訳ありません、お客様。この辺りでは見かけたことのない方でしたので、誰だろうと思って、つい」


にっこりととりあえず愛想笑いを向ける。


ぼーっとしていた私に否がある。


それはきちんと謝罪しないと。


「ちょ、マリアンナ!?あんた、この人はねえっ……」


どうしたのだろう、アーニャが赤いような蒼いような、変な顔色になっている。


慌てた様子から見るに、このイケメンのことを知っているようだ。


「言わなくていい。俺が話す」


するとそのイケメンがアーニャに向かって手を振り制した。


なによ、俺のことを知らない無礼者に直接説明してくれるってこと?


なんとなく話し方や振る舞いが偉そうで鼻につく。


第一印象だけで判断してはいけないとは思うものの、なかなか自制できるものではない。


「先日辺境伯爵家が統括している魔物討伐隊に納品された大量のポーション、ひとりの薬師がその半数以上を作ったと聞いたのだが、それはおまえか?」


かっちーん、初対面の女性に向かっておまえ呼ばわり?


なによ、どっかのお偉いさんってこと?


「……確かに、私も納品のお手伝いはさせて頂きました。それがなにか?品質に問題でもありましたか?」


胸の内はモヤモヤしていたが、とりあえず営業スマイルは崩さずに不良品でなかったかの確認はしておく。


ちゃんと色や臭いの確認、試飲をしているからそんなことはないと思うが、万が一がある。


「いや。品質に問題はない。むしろ上等なものだった」


よし、それならそこまで下手に出なくても良いだろう。


「ではなんのご用でしょうか?急ぎですか?」


私達も昼休憩の時間だし、暇じゃないんですけどと言外に匂わせると、それを正確に察したのかイケメンは少したじろいだ。


「っ、なんだ、顔に似合わず意外と……」


意外と?


意外となによ。


そういえば辞める時に室長にもそんなこと言われたっけ。


おまけに前世で元彼にも言われたことありますけどなにか?


確かにこの私、マリアンナはロングストレートの淡い金髪に翠の瞳と柔らかな色合いをしており、自分で言うのもなんだが優しげな顔立ちをしているから、大人しいと思われがちだ。


……いや、記憶が戻る前までは実際そうだったんだけど。


しかし中身はご存知の通りである。


そう思いたくなる気持ちも分からなくはない。


でも。


「……初対面の女性にそういうことを平気で言うのは礼儀に欠けていると思いますがね」


思わず心の声がこぼれてしまったのも、仕方のないことだと思う。


かわいくない女だとでも言いたいわけ?

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