プロローグ
新しいお話はじめました。
よろしくお願いします(*^^*)
私はずっと、自分の信念のままに生きてきた。
周りに流されず、自分で考えて自分で道を決めてきた。
美人に生まれた人や優秀な人を羨ましく思う気持ちは人並みにあるけれど、だからって妬んだりはしない。
その人にはその人なりの苦労や努力があるはずだから。
人は人、自分は自分だなんて、月並みな言葉だけれど、それは正しいと思う。
例えば今の職場でもそうだ。
あの仕事のほうが華があるとか、この仕事は誰にも気付いてもらえないから損だとか、そんなことを重要視する人もいるけれど。
感謝されればそりゃ嬉しいしモチベーションも上がるが、私はそのために働いているわけじゃない。
知識を得て、それを活かせていると実感できる充実感。
新しい試みを成功させた時の達成感。
そしてなにより、人の命を救えた、その笑顔を取り戻せたんだという喜び。
私にとっては、それが一番大切なこと。
……とはいっても、やっぱり自分の実力不足で落ち込むこともあるわけで。
そんな時は、一緒に支え合える人がいたらなぁって思ってしまう。
足りないものを補い合って、励まし合って、素直な気持ちを言葉に出して、時には怒って、笑って、泣いて。
同僚や友達もいいのだが、そんな恋人がいたらいいなって思う。
そういう人が側にいてくれたら……。
その時、ふっと先月別れたばかりの元彼の顔が思い浮かんだ。
――――いや、あいつは駄目だ。
別れて正解だった、うん、そう思うことにしよう。
……でも、私ももっと素直に甘えられたら良かったのかも。
今度もし好きな人ができたら、きっと。
そう必死に心を強く保とうと夜空を仰ぐと、星が全く見えない中で、半分の月だけがくっきりと輝いているのが見えた。
「都会は全く星が見えないって、本当だったのよね。田舎はあんなにたくさん見えたのに」
月はえらいなぁ。
自分ひとりでも、あんなに輝けるのだから。
「あーやめやめ!疲れすぎてて思考までネガティブになってるわ。眠くて死にそうだし、とにかく早く帰ろう」
油断すると下がってしまう瞼を必死に上げて、信号機を見る。青だ。
また明日も仕事なのだから、さっさと帰って寝ようと一歩足を踏み出したその時。
月の光なんて目じゃない程に強いライトの光。
クラクションの大きな音。
間近に迫るトラックの車体。
過労気味の寝不足社畜には刺激が強すぎるわよ!!
私が最期に叫んだのは、そんなしょうもない一言だった。