海と人
すべての生き物は海から生まれ、海に眠る。
我々が生きるこの世界には、そんな教えがある。
かつては、人は天から作られ、天に帰るという教えもあったらしいが、今生きる大多数の人間は前者の教えに従って生きているだろう。
海の恵みを崇め、生みの母を敬い、海と共に生きていく。
何百と並ぶ島国の中で、人々の生活には常に海がよりそっていたのだから。
しかし遥か昔はそうでなかったらしい。
この島国は一つの巨大な大陸であり、何かしらの自然環境の変化が起きて、土地が沈没し、多くの島国が誕生した。
その時代では、人は天によって作られ、天に帰るという教えが人々の支えとなっていた。
果たしてどちらが正しいのか。
この時代に生きる我等には分からないが、きっとどちらの人間も孤独が怖かったのだろう。