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  ──その一方、宿屋2階の宿泊者用の一室にて。


 コトネは『旅人さん』へのイチゴモドキの受け渡しを行っていた。


「……採って来たあたしが言うのもなんですけど、ホントにこんな大金貰っちゃっていいの? イチゴモドキってこんなに値段高くないですよ?」


 コトネが『旅人さん』に持ってきたイチゴモドキは計10個。イチゴモドキ1個1金貨という話を持ち掛けたのは彼の方からであったが、実際に10枚の金貨を渡されると、ぼったくりをしたような気分になり、コトネは少し不安というか罪悪感に見舞われた。


 コトネの村近くの森に実っているイチゴモドキの味は普通に美味しいが、特別な訳ではない。量通しているものとほとんど一緒なはずだ。どう考えても、金貨10枚の価値は無い。その金があれば、1年近くこの宿に泊まる事も可能だろう。

 そんな大金、イチゴモドキの対価としても受け取ってしまっていいのだろうか?


 部屋の椅子に座っている『旅人さん』──シックな服装に身を包んだ好青年は、その言葉を受け、テーブルに置いたイチゴモドキを見てから顔を縦に振る。


「ああ。気にせずに受け取ってくれ。どうしてもイチゴモドキが欲しくなってしまってね。それにこんな遅い時間に森の中にあるイチゴモドキを頼んだ君への迷惑料も含んでるんだ。こう見えても金は結構持っているから、問題ないしね」


 そう笑顔で言いながら、彼は先ほど金貨を取り出した袋を振った。ジャラジャラと金属がこすれる音が聞こえ、中にまだ相応の金が入っていることが確認できる。


 この格好に金使いの豪快さ、もしかしたら彼はどこぞのお忍び富豪とかなのかもしれない。


(……そう思うと緊張してしまうから深く考えないようにしよう)


「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて……。それにしても旅人さん、よくイチゴモドキがこの森にあるって知ってたね? あまり知ってる人いないですよ」


「昔、仕事で来た時に知ったんだ。ここのイチゴモドキはとても美味しかった。偶然今日近くに来たから、また食べたくなってね」


「なるほどね。ここに来たの初めてじゃないんだ」


「ああ。ここの村にも1度だけ入ったことはあるんだ。ともあれ、イチゴモドキを持ってきてくれて助かったよ。もしまた来ることがあったら、イチゴモドキをまた頼んでもいいかな?」


「はい! もちろん! ……では、失礼しますね」


「ありがとう」


 話もそこそこに、コトネは彼の部屋を後にした。

 そのまま向かいの部屋に行き、ノックをしてから入室する。


「師匠! 入るね~」


「うむ。良いぞ」


 そこはシラヴィアが宿泊している部屋だ。彼女はベッドで仰向けになってゴロゴロしている。


「ホントに金貨10枚で買ってもらったよ~! ……ってめっちゃくつろいでんじゃん。師匠」


「いいじゃろ~。久しぶりのベッドなのじゃよ~」


「……師匠が楽しそうであたしも嬉しいけどさ」


 過去一番にだらけているシラヴィアを見て、コトネは少し呆れたような表情を

しながらそう呟く。


 その後、横になっているシラヴィアの前で、コトネが歯切れ悪くまごついた。


「んーと……あの……」


「うむ。うむ……ん? 嬢、何か言いたいことがありそうじゃな?」


「……うん。えっと……、お願いがあるんだけど……」


「なんじゃ?言ってみよ」


「んん……、とね……」


 コトネは暫く躊躇ってから、意を決して口を開いた。


「…………師匠達のパーティに……あたしもついていきたいの!」


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