↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/24

転機

 瘴気で魔力の代用ができるかも、狙った魔法陣を形成するように瘴気が分布してくれるかも、瘴気が魔法陣を形成したとて瘴気で天災魔法が発動するかも、不安定な天災魔法が暴走しないかも、全てが未知数だった。


 もはや賭けですらない、ただの妄想が当たっていたことに心底安堵する。死ななくて良かったと、心の中が安心でいっぱいになった。


 そう感じると、ライオの瞳から、一筋の涙が零れる。

 別に泣きたい訳じゃないのに、涙が止まらない。


 この感情はなんなのか。


 生きていた事に対する安堵か。

 仲間だった彼らの裏切りに対する怒りか。

 自分の非力さを呪う悲しみか。


 多分、それらすべてだろう。


「──うっ……、ううっ、うぅ………………」


 ライオは、床に仰向けになったまま腕で目を覆い泣き始めた。誰に聞かれる訳でもないが、声を押し殺してすすり泣いた。


 人生最悪の日。ここまで心が荒んだのは初めてだ。


 ──だから、今日に人生最大の転機が訪れるなんて思ってもいなくて。


「久しぶりじゃのう。童。本当に再会できるとは思ってもみなかったが──ってどうしたのじゃ? 泣いておるのか?」


 ──その声に驚かされる。


「……え? ………………シラヴィア様?」


 涙で濡れた目を開けると、そこにはあの頃と同じ、黒色のローブを纏ったシラヴィアが立っていた。

 彼女を見て、ライオの頭の中は完全に真っ白になった。


 まさかシラヴィア様にまた会える日が来るなんて思わなくて。

 でも、どうしていいのか、どうしたいのかも分からなくて。

 メンタルもぐちゃぐちゃで。


 ライオにはどうすることもできなくて。


「……っ」


 気が付けば、ライオはシラヴィアに抱きすくめられていた。彼女の温かい体温が、ライオに伝わる。


「何があったかは我には分からん。じゃが、大変な事があったようじゃな。……時には泣く事も大事じゃ。我は誰にも言わんし、我慢する必要もないぞ。童」


 彼女にそう言われた瞬間、堰を切ったようにライオの目から涙が溢れて止まらない。さっきまで押し殺していた泣き声も吐き出して、子供のように泣きじゃくった。


「つらかった……痛かったよ…………悔し……かったっ……」


「……うむ」


「うあ……あ……ぁ……ああ……」


 嗚咽を漏らし、泣き続けたライオの背中をシラヴィアは静かにずっと摩っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。