包囲を潰し、王を狩る―2
僕が思っていたより、ジュヴィスは結構強かったです。笑
次回はようやくジュヴィスのドロップアイテム確認回と細々~、って感じです!
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に行ってました、本当にありがとうございます!
今後とも「クリスタル・ブレイド」を宜しくお願い致します!
「……っし。半分近くは潰せたか」
数えてみると、残りのハイディング・シェイドの総数は十四体。配分としては半々位だ。
テュリオスは椿と協力してハイディング・シェイドの処理に回っている分、その処理スピードは俺よりも若干早い。
椿の高い支援効果も俺達には乗っているしな。ここが頑張りどころというものだ。
だがもうジュヴィスの体力も僅か、そろそろ伏せていた作戦をめくり起こしても良い頃合いだろう。
「ムザサ! オウミ!」
俺は二人へと合図を送るため、目一杯に叫んだ。
「わかった!」
「待ってましたー!」
という二人の返事が返って来た。いよいよ以て、ボス戦もクライマックスだぜ。
――オウミ、お前に頼みたい事が二つある。
――うん。オレに出来ることならなんでも! って、何してんの?
――作戦指示メッセージだ。気にしなくていい。オウミ、お前達はジュヴィスのHPがレッドゾーンに入ったら、俺が合図を出すまでは何が起きても、ジュヴィスに攻撃を加える事だけに集中して欲しい。これはムザサ達に戦いながら教えてやってくれ。
――わかった。
――もう一つは、エレナに「ソウキが指示を出すまでその場で待機する事」と伝えてくれ。
――オッケー。合図を出された後、オレ達はどうすればいい?
――オウミは一旦、俺と合流しろ。そこからは状況次第。ムザサとルーアは俺とオウミが合流するまで、二人でジュヴィスへのアタック役に回る。頭に叩き込めたか?
――うん! わかった! でもどうしてこんな複雑な作戦を?
――ジュヴィスを倒せたら教えてやるよ。……それとオウミ。俺とひとつ、勝負をしないか?
あのデキレな勝負を持ち掛ける直前、俺はオウミへとこんな指示を出していた。
後はオウミがパーティの全員へと指示をきちんと伝達出来ていれば、ジュヴィスの残り僅かなHPなど一瞬で吹き飛ばせる。
「出来たか?」
即座にやってきたオウミへと俺は声を掛けた。
「うん! ばっちりだっ!」
あの戦闘の中、オウミはエレナへと伝言を残し、ムザサとルーアに作戦を説明する。
これだけの事をオウミはやって見せたのだ。その功績には、きっちりと応えないとな。
「やるな! 勝ち確だぜ。……エレナっ! ムザサ達に合流してジュヴィスを殴れ!」
「わかったわ!」
待機していたエレナはすぐさま二人と合流し、ジュヴィスへの攻撃を開始した。
ムザサとルーアなら、これでひとまずは自分達のやるべき事を自分達で理解出来るだろう。
――そして再度、椿の歌声がフィールドに響き渡る。
『椿、ボスのHPがレッドゾーンに割り込んだら、一度パーティを抜けてムザサ達のパーティに入ってくれ。
俺が次に「エレナ」と叫んだら、ムザサ達のパーティへと支援をかけて、もう一度こっちのパーティに戻ってこい。
あ、パーティを抜ける前に、俺達への支援も頼むぜ。
何かあったらテュリオスを寄越す。臨機応変に動いてくれ。』
『あんた戦闘中に何送ってきてんのよ。まぁいいわ、わかった。』
オウミに指示を出している間、俺は椿に向けてこんなメッセージを打ち込んでいた。
そして椿は、この指示通りにパーティを抜ける直前に支援をかけ、突然に召喚された無数のハイディング・シェイドへとパーティを抜けてから突撃した。
この時は一瞬だけヒヤっとはしたものの、よくよく考えれば椿はテュリオス以上に冷静だ。
熱くなるような事は無く、引き際の判定はしっかりと出来ただろう。
「えっ!? オレの攻撃力が上がった!?」
「椿は今、お前達のパーティメンバーだぜ」
「ほんとだ! いつの間にっ! でも何で!?」
「言ったろオウミ、勝ち確だって。さぁ、雑魚共を瞬殺してジュヴィスの所に行くぜ?
今度はレコードをチップにした、アタッカー勝負だ」
「銀水晶に勝てる訳無いのにっ! でも乗った!」
「そうこなくちゃあ、な!」
俺は近くに居たハイディング・シェイドを火炎属性の直剣で斬りつけ、消し飛ばしてやった。
オウミも一体倒した所だ。流石にこれなら早いな。
「凄く攻撃力が上がってる! これなら楽勝だっ!」
当然だ。二パーティのメインアタッカー二人である、俺とオウミに椿の支援が乗っているんだ。
テュリオスと椿のコンビよりもずっと早く、俺達はハイディング・シェイドを処理出来た。
自分のやるべきことをやり終えた椿から、俺の元へとパーティ参加の申請が送られていた。
それを俺は承認する。椿はあっという間に俺とテュリオスのパーティへと戻って来た。
(もしかしたらテュリオスの奴、椿がパーティを移動した事に気付いて無いすらあるな)
なんて事を考えながら、俺とオウミはジュヴィスを引き受けてくれているムザサ達の元へと走る。
 




