ギルドを渡るひとつの目的
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更新頑張りますので、今後とも「クリスタル・ブレイド」を宜しくお願い致します(゜ロ゜)!
「またここなのか……。まぁちょっと予想はしてたけど」
クロムに付いていくこと数分。
辿り着いた先は、昨日『ピクティス』のギルドマスター、アレイダからギルド加入の勧誘を受けた噴水広場だった。
他のプレイヤーに使われた後なのか、乱雑に配置されていた椅子のひとかたまりを適当に拾い、クロムと俺達で一対三となるように向かい合って座った。
「改めて、初めまして皆さん! ボクは『Zephy;Lost』というギルドのマスターをやっています。クロムです!」
「俺はソ――」
「――あぁ。皆さんの顔と名前は一致していますので、お三方が名乗る必要は無いです!」
「あ、そう?」
「さて。早速ですが本題に入らせて貰います!
刀導禅から既に話は聞いています。ソウキさん達は、ギルドに正式な加入をする気は無いそうですね?」
「そうだな」
「何故、か聞いても?」
「理由は二つある。一つは、単純にゲームの中で組織に縛られるのが嫌なんだ。
必要を感じれば入るが、今のところは絶対に必要とは感じてない。
それと、あくまで俺は『カラミティグランド』の世界に、遊びに来ているだけだからな」
「二つ目は?」
急かすような聞き方では無かった。
単純に気になる。クロムの聞き方はそんな風に感じられた。
だけど、二つ目の理由は事が事なだけに、そう軽々と話せるものではなかった。
柏木惣が、ディラン・マルティネスを探しにこの世界にやって来ているなんて、どう説明したらいいかわからないし、第一俺という人間を知っているかも、仮に知っていたとしても信用してもらえるかも怪しい。
最悪、恥をかくだけだしな。
そうペラペラと他人には語れねぇ事もある。
「二つ目は……。今は話せない」
いつになっても話せる気はしないけどな。
「そうですか。まぁいいでしょう。では質問を変えます。
そんなソウキさんが、何故『ピクティス』と『硯音』のレコードに肩入れしたのでしょうか?」
「俺が欲しいアイテムを、両ギルドが大量に所持していたからだ。そうだな、後はタイミング。
ちょうどどちらとも、声が掛かった時に暇してたってのがあるな」
アトラリア砂道のクリアタイムに挑んだ、そもそものきっかけはエルドからの提案だったが。
「なるほどなるほど!
その欲しいアイテムをボクらが大量に持っているとして、ファーストキルまたはクリア、そしてクリアタイムを狙いたいと思っていた場合、ソウキさん達に協力して貰える可能性は高い。という事ですね?」
「そうなるな」
「因みに、どんなアイテムなのですか?」
「錬成石」
「錬成石? 本当ですか?」
クロムは疑うように首を傾げている。
「うん」
「実は、ボクらのギルドの方でも、ダンジョンの挑戦権がドロップしたんですよ」
「おいおい。俺と『ピクティス』を対立させる気か?」
「それはそれで面白そうですが……。でも、廃坑道のではないです。
どうです? ボクらの手持ちの錬成石は全て渡しますので、『Zephy;Lost』として、ダンジョンへと一緒に行きませんか?」
面白そうって……。俺を『ピクティス』とぶつける気満々じゃねぇかよ。
……しかしダンジョンって、幾つあるんだろうな。
エリアボスもまだ全部が狩られた訳じゃないだろうし……。
フィールド一つを隅々まで攻略するってなると、結構大変そうだよな。
「んー、悪い。今日と明日だったらパスだわ」
とりあえずは断っておく。明日にはエヴリデイとの決闘が控えてる。
オルグファス戦という激戦を終えたばかりってのが大きいかな。なんとなく気分が乗らない。
「そうですか……。ボクらは今日中にダンジョンに潜ってしまいたいので、かの銀水晶とご一緒出来ないのは残念極まりないです」
刀導禅もそうだけど、あんまり銀水晶って連呼されると、何か恥ずかしいな。
本人達がそう呼びたいなら、別に俺は構わないけど。
「すまないな。また誘ってくれ」
「お手を借りたい時はいつでも相談します!
それとお願いが一つありまして……、お三方とフレンドになりたいのですが」
「それなら大歓迎だぜ」
そして俺達は『Zephy;Lost』のギルドマスター、クロムとフレンドになった。
こうして各ギルドとの交友を軽くしていくのにも、一つ目的があった。
……まぁ、ギルドに協力してやって、錬成石を融通して貰うって目的もあるにはある。
だがそれとは別に、コットが俺達以外のプレイヤーとの、言ってしまえば交流をする為の機会を増やそうという目的があった。
その交流自体を強制するつもりは全くないが、やはり見知った人間とだけしかつるまないというのもコットの為にはならない。
そこまで手を伸ばすか伸ばさないかはコット自身の判断に任せるとして、俺はその手綱をコットへと繋いでやる事を少し意識して動いている。
別にフレンドになれとか、上手く絡んでみろなんて言うつもりは無い。
ただ、顔見知り程度にはなってもらいたかった。
黙っていたって、ヒーラーという大きな役割を担えるコットは、引く手数多なのだ。
あとは自らの意思と、勇気をもって一歩でも自分の殻から抜け出してくれる所まで持っていけたら、もっとコットがこの世界を楽しめるんじゃないかっていう、俺の勝手な思い込みだ。
その手助けがちょっとでも出来りゃあ、なーんてのは、ちとお節介が過ぎるかな。
「じゃあ、またなクロム」
「はい! 近い内にパーティを組みましょう!」
「おう!」
クロムは、バリトンに流れるプレイヤーの波に消えていった。
コットはそんなクロムの背に、小さいながらも手を振って見送っていた。
んま、クロムはあんな飄々とした性格だ。
どんなヤツとだって仲良くなれるだろう。きっと、コットとも。
「さて。どうすっかな」
「『Zephy;Lost』のダンジョン攻略に参加しなくて良かったのか?」
「まさか断るなんて、意外でした」
いやまぁ、参加したかったけどさ。
それを口にすると、コットとテュリオスに負けた気がするから意地でも言わねぇ。
「ちっと休~憩。わり、メッセージを送るから待っててな」
俺はA.I.N.A.を起動し、メッセージを打ち込んでいく。




