いつもと違うアレ
次回オルグファスとの戦闘を一気に決着まで持っていこうと思うので、今回は短めです。
「普段とは違う、強力なオーラを放つ渦……。だってさ!」
「説明が雑過ぎるぞソウキ」
自分でもテキトーな説明だとは思っていたが、案の定テュリオスに突っ込まれてしまった。
「渦というのは、[転移の渦]の事でしょうか?」
お、冴えてるなコットちゃん。
「そうだ。とりあえずは、いつもと違う色の[転移の渦]を見つければ良いって事らしいぞ」
プレイングマニュアルの、[特殊ボス]の項目に支配ボスについて説明が追加されていた。
色やなんかの指定は無かったが、とりあえずいつもとは違う[転移の渦]があれば、それが支配ボスが居るエリアへと飛べる[転送の渦]となっているみたいだ。
ただ、一つ気になる事があった。
「フィールドボスみたいに、ガセがあるかもしれない」
それは今エルドの言ったように、ガセ[転送の渦]が配置されている可能性があるかどうかって事。
「んま、そうだなエルド。でもゆっくりも探してらんねぇ。
タイムは関係ねぇんだ。見つけたら手当たり次第にアクセスしていくぜ」
「わかった」
せっかくだからテュリオスにアトラフィからドロップした、クリムゾンブレイバーと、クリムゾンリングを渡しておきたかったが、まずは支配ボスを探しに行こう。
このパーティ編成で勝てないような強敵ならば、恐らく他のパーティにだって撃破は相当に苦しい筈だ。
勝てなかった時にでも渡して、万全の準備をしてからまた再戦すればいい。
――いつもとは違うという[転移の渦]を探しながら、アトラリア砂道をうろつくこと十五分くらい。
「あっ、あれじゃないですか?」
「あぁ……。間違いなくアレだろうな」
コットの指差す先を見てみれば、一目で「っぽい」のがあった。
赤ーい赤ーい、[転移の渦]だった。
ついに支配ボスの元へと行けそうな[転移の渦]が見つかった。
「こんだけ探し回ってあれ一つしか見つからなかったんだ。ガセはねぇだろ」
普段の青色をした[転移の渦]は、ここに辿り着くまで幾つもあった。
だけどこの赤い[転移の渦]は、これが初の発見だ。
流石にこれが偽物だったら泣くぜ。
「そんじゃ、アクセスするぜ?準備はいいか?」
準備なんて大層な事は言ったが、それぞれが今やれる事なんて、覚悟を決める位しかないんだけどな。
「俺は問題ない」
とテュリオス。いつも通りだな。
「緊張するね」
とエルド。お前が緊張してどうする。
「どんな敵さんなんでしょうか……?」
コットが一番この瞬間を楽しんでそうだな。
良きこと良きこと。
各々の反応が返ってきたところで、俺は赤い光を放つ[転移の渦]へとアクセスした。
牙獣オルグファス。一体どんな見てくれをしてんだろうな。
「……アイツか」
「アレですね」
ローディング画面から切り替わった俺の視界は、だだっ広い砂のフィールドが広がる中、ポツンと四足歩行でうろつく大型のモンスターが遠目に見えた。
流石にあれはオルグファスで合ってるだろう。
ここは多分、一応はアトラリア砂道のどこかという設定なのだろうが、通常のフィールドとは違い、幾つにも分かれた小道や、雑魚モンスターの湧きも無い。
「とりあえず、もう少し近くまで寄ってみましょう」
「同感だ。何かアクションを起こしてくれるかもしれん」
「だな」
そして、数メートル歩いた地点で、オルグファスらしき大型モンスターと視線が合った瞬間――。
「――あの距離から知覚できんのかよ!?」
オルグファス(多分)は、猛スピードでこっちに走ってきた。
「しゃあねぇ!テュリオス、ついて来いっ!エルドは側面に回れ!」
「了解だ!」
「わかった!」
不意打ちのようなオルグファス(多分)との会敵となってしまったが、コイツとの戦闘は一体どうなる事やら。




