表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/162

次の標的は

ブックマーク200件ありがとうございます!


今後とも「クリスタル・ブレイド」を宜しくお願い致します!

 

「コット! 中央の雑魚をとにかく殴れ!」


「はいっ!」


 コットへと指示を出した俺も、拳闘(ナックル)を錬成して、ヴォイドエッジアーミーから召喚された雑魚モンスターを殴り散らしていた。


 アトラリア砂道のクリアタイムに挑戦する事五度目。

 フィールドに入ってすぐ、エルドとコットが[転移の渦]を見つけた。


 残念ながら、俺から近い距離に居たコット側の[転移の渦]はガセだったが、エルドの方にあった[転移の渦]は当たりの物だった。


 挑戦している中では、今回が最短でボスエリアへと侵入できたのだ。

 今回はかなり良いタイムが出せそうだぜ。


 ヴォイドエッジアーミーのHPは、既にレッドゾーンに入っていた。


 レッドゾーンでのヴォイドエッジアーミーは、浮遊しながら雑魚モンスターを召喚し、それを全て片付けたら瞬間移動で一番敵視(ヘイト)値の高いプレイヤーへとビーム攻撃を加えるという戦法を取る。


 この敵視(ヘイト)値の上がり方がヴォイドエッジアーミーは特殊で、召喚された雑魚モンスターを処理する際、雑魚モンスターへと与えたダメージの総量が一番低い者がヴォイドエッジアーミーからの敵視(ヘイト)を引き受ける事になる。多分。


 というのも、実際に正確な攻略情報が開示されている訳じゃない。

 プレイヤーの単純な戦闘経験が、そのまま情報になるだけ。要は手探りなんだ。


「っし。テュリオス!タイミングを逃すなよっ!ダメージを受けてでもブチ当てろ!」


 手早く雑魚モンスターを全て倒した俺は、テュリオスへと合図した。


「無論、そのつもり……だっ!」


 ヴォイドエッジアーミーのビーム攻撃を受けながらも、盾によるバッシュ攻撃をヴォイドエッジアーミーの胴体部へと直撃させたテュリオス。


 ヴォイドエッジアーミーは一瞬だけ怯み、隙が生まれる。

 そしてその隙を逃す事無く割り込み、追い討ちをかけていくエルド。


 エルドの武器、ガラハディンの持つ攻撃属性は斬撃属性ではあるものの、エルド自身が持つスキルによって、ガラハディンの刀身には雷撃属性が付与されている。


 もう五度目のボス戦だ。作戦もかなり練られたものになっている。


 今回、雑魚モンスターをメインで潰すのは俺とコットの二人だ。

 エルドには十数体湧く雑魚モンスターを三体だけ処理してもらい、テュリオスのすぐ近くへと向かわせている。


 今回、雑魚モンスターの処理をさせずに、ボスであるヴォイドエッジアーミーの敵視(ヘイト)を引き受けて貰っているのはテュリオスだ。


 テュリオスの盾、シールドオブヴォイド自体の攻撃属性は打撃属性。

 加えて、エッジオブヴォイドを同時に装備しているテュリオスの攻撃には、セット装備のボーナスとして雷撃属性が付与される。


 打撃属性と雷撃属性という、機械系モンスターの弱点属性を二つ持ったテュリオスがボスを削る役になるのは、自然な事だった。


「あとワンセットだな。頑張れよコットっ!」


「はいっ!集中しますっ!」


「ちっ……。ゴーレムが少し多いな……。コット!オートボットだけを狙え!」


「わかりました!」


「俺はゴーレムだけを狙うっ!」


 エルドはそう言うと、付近のゴーレムへと攻撃を加え始めた。

 言わなくてもどう動けばいいのかを理解している辺り、流石はエルドって感じだぜ。


 俺やコット、テュリオスはそこまでクリアタイムにこだわっている訳じゃない。

 だが、エルドは違う。コイツは今『硯音(すずりね)』としてレコードに挑み、その一員としてベストを尽くさんとこうしてボス戦に臨んでいる。


 俺達とは気合いの入り様が違うってモンだぜ。


「よし、雑魚は片付いた!ラストだぜ二人共、集中しろよ!」


「当然だ!」

「おうっ!」


 瞬時にテュリオスの目の前に姿を見せたヴォイドエッジアーミー。

 だが二人は見事に攻撃をヒットさせ、ヴォイドエッジアーミーのHPはゼロとなった。


「よっしゃ!流石にタイムは更新出来たろ!」


『クリアレコード更新のお知らせです。


 ・クリアタイム:アトラリア砂道のクリアタイム9分58秒【硯音】


 以上のレコードを達成しました。おめでとうございます。』


 と、レコード更新の通知画面には記されていた。


「うおぉぉっ!早ぇっ!」


 と、叫ぶように喜んでいると。


「じゅ、16分もタイムを縮めましたね……」


「やったな……」


「ベストメンバーのタイムよりも断然早い……」


 と、各々が驚きの声を上げていた。


『見事だ。銀水晶。』


 おっと。刀導禅からのメッセージだ。

 正直な所、これが最速かと言われるとちょっと惜しい気持ちになるな。


『こんなモンで良いのか?』


 と、返しておいた。


『まさか、ここからタイムを縮められると?』


 まぁ、行けなくはないが……。


「なぁエルド。このタイム、どう思う?」


「恐らくだけど、テュリオスと同じ装備で揃えたパーティの限界のタイムが、これより早いかどうか位だと思う。

 だけど、それでも運要素の方が強い。しばらくは更新される事は無い筈だ」


「なるほどな」


『エルドとも話しているが、そいつは運次第だ。[転移の渦]を一発でピン抜き出来れば、あと2分は縮められる気がする』


 エルドへと相槌を打ちながら、刀導禅へのメッセージをサクッと返す。


『そうか。私としては、この結果には大いに満足している。更に上を目指すと言うならありがたい事であるし、止めはせん。ほどほどにな。』


『あいよ。』


「……んお? 新しくレコードに載ってるボスが居るぞ?」


 刀導禅とのメッセージを終え、改めてタイムを確認しようとレコード画面を開くと、そこには『ムヒョルト』のギルドがエリアボスを撃破したと表示されていた。


「『硯音(すずりね)』以外では、目立った動きはあまり見せないな」


「テュリオスの言う通りだ。だけど、戦ってみた感じではユニーク職の居ないパーティでは、装備を少し頑張らないと火力が足りないんだ。

 序盤部はユニークありきな耐久設定なのかも」


 テュリオスの呟きに、解説するように言葉を返したのはエルドだった。

 まぁ、ボスのファーストキルがユニーク職業クラス転職(クラスチェンジ)の条件になってたりするんだ。


 それくらいの設定でちょうどいいのかもな。レコードを狙ってる連中からしたら、ちと面白くないかも知れないが。


『支配ボス:牙獣オルグファスのフィールド進攻を確認しました。』


「ん?」

「支配、ボス……? 新しいボスです、よね?」


 コットが俺と同じタイミングでテキストログに気付いたようだ。


「みてぇだな。行くか? このまま」


「良いのか?」


 と、エルドが尋ねて来た。んだよ、今日はイヤに下手(したて)じゃねぇか。


「せっかくだから行こうじゃねぇか。二人も来るだろ?」


「あぁ。お前達が行くなら、俺も行くしかないだろう」


「わ、わたしも行きますっ!」


『銀水晶。ついでと言う訳では無いが、支配ボスのファーストキル、是非とも狙ってみてくれないだろうか。』


 そんなようなメッセージが、刀導禅から来るとは思ってたけどな。


『オーケーだ。だがアトラリア砂道のクリアタイムに挑戦するのはここまでだ。それでもいいか?』


『構わんよ。是非とも頼む』


『了解だ。』


「よし。じゃあとりあえず、アトラリア砂道をフラついてみるか」


 再び送られて来て始まった、刀導禅とのメッセージのやり取り。

 これを切り上げた俺は、支配ボスとやらを探す為、全員へと声を掛けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=447283488&s ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ