そこが、難しいところ
「……どうだエルド? クリアタイムは更新出来そうか?」
俺はテュリオスの装備についてを簡単にエルドへと説明し、アトラリア砂道の攻略についてのポイントを聞こうとしていた。
「ボスのヴォイドエッジアーミーに関しては、正直話にならない程簡単に潰せると思う。
最速で攻略する為に必要な事は、ボス戦よりも、あの広大なアトラリア砂道のフィールドの中から、いかに早く[転移の渦]を見つけ出すかだ」
「そんなに難しいのか?」
「[転移の渦]にはガセもある。しかも[転移の渦]へとアクセス出来るのは、リーダーだけ」
一発でボスエリアを引き当てた俺とテュリオスは、相当な幸運だったらしいな。
「……ガセを踏むとどうなる?」
「パーティーごと安全エリアへ飛ばされる」
「厳しいな。よく26分台を叩き出せたもんだ」
「ボス戦は最終的には、10分もかかってなかったと思う。このメンバーでなら5分ってところまで迫れるだろう。
問題は、今言ったようにボスエリアへと到達するまでの部分だ」
「そこまで行くと流石に運だな……。
そうだコット。チュートリアルの時に使えた雷撃の魔法、あれはまだ使えるか?」
初めてコットに会った時、コットがブルーウルフに向けて撃っていた雷の魔法の事である。
あれが使えれば、全員で散って[転移の渦]を探せるんだがな。
「それが、アップデートの後から使えないんです。スキルツリーにも名前が無くて……」
「そう、か」
実の所、俺もアップデート後には錬成出来なくなっていた武器種がある。
それは長剣と打杖、手斧の三つだ。
長剣に関しては、直剣と統一されて存在が無いすらあり得る。
だが打杖と手斧は、今後スキルで使えるようになるとは思うが。
「まぁまずはクリアタイムを出す事よりも、コットとテュリオス分の機械天使の首飾りに必要な素材、これを確保してやるイメージでトライしよう」
「そうだね。そうするとしよう」
まずはボスエリアへと続く、当たりの[転移の渦]を引き当てなければならない。
特にボス戦の時の作戦は練らなかったが、おおよその戦い方はよく覚えている。
流石に一発で『硯音』のクリアタイムに迫れる程、上手くは攻略を進行する事は出来ないだろうから、そこは段階を踏んで詰めていく事としよう。
「んじゃ、行くか」
それぞれが俺の言葉に返事をし、俺達はアトラリア砂道へと向かっていった。
「ふぅん……。今回もダメと」
これで今日、アトラリア砂道をクリアしたのは四度目だ。
ヴォイドエッジアーミー戦でのノーダメージボーナスで確定ドロップなのかは知らんが、既にエッジオブヴォイドを三本、シールドオブヴォイドを一つ余らせている。
「なかなか上手く、ボスエリアへの[転移の渦]を引き当てられませんね……」
「付き合わせちまって悪いなコット。そろそろ飽きてきたろ?」
「そんな事はないです!」
「……コット、今何レベだ?」
「レベルは9になってしばらくです。もう少ししたら10に上がるかもしれません」
まだ10レベではなかったか。流石に攻略の中でコットのレベルが10に到達しちまったら、一旦区切りをつけてコットのキャップ解放をしてやんないとな。
「オッケー。10になったらすぐ言ってくれ、キリのいい所でクエストに行く」
「クエストですか?」
「レベルが10になるとクエストが一つ解放されて、それをクリアしないままでいるとレベルが上がらないんだよ」
「そうなんですね。わかりました」
「テュリオスの方はどうだ?」
「俺は6になったところだ」
意外と上がってないな。上級職だからか?
「了解だ。まだしばらくは大丈夫そうだな。次終わったら少し休憩しよう」
ボスエリアへと続く[転移の渦]を探してフィールドを駆け回り、ボスを倒してはバリトンへと戻る。
そしてまたアトラリア砂道へと入り直すという、そんな不自然なこのムーヴはこれで五度目になる。
……そろそろ、何か進展があると良いのだが。
再度アトラリア砂道へと侵入した俺達は散り散りになり、[転移の渦]を探し始めた。




