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スキルをとろう2

 

「っくぅ~。どーする俺!?」


 バリトンへと戻ってきていた俺は、宿の中で頭を抱えていた。

 何にって? 須藤との対人戦(PvP)だよチクショウ!


 明日は平日なんだよ! 仕事なんだよ!


「どうするったって……。あの感じはやるしかないだろ?」


 エルドの言葉が、俺を更に追い詰めていく。


「いや、やるのは良いんだ。問題はそこじゃない。

 問題なのは明日の仕事が″夜勤″という事なんだ」


 夜勤、つまりは20時出勤という事だ。

 エヴリデイとの約束の時間は21時だ。終わった。


「あっ。そっち?」


 エルドが呆気に取られたような声を上げた。


「そうなんだ。そこに困っている」


「一日くらい休めば――」


「――バカを言うな。あと三日、仕事を休まなければ半期皆勤手当てが出るんだ。

 積み重ねた俺の皆勤への覇道(ロード)を、ゲームごときで潰せるか!」


 この皆勤は遅刻でもアウトだ。

 かなり厳しい判定ラインを設けられている。


「でも、エヴリデイだっけ。あいつとの決闘をすっぽかす方が、後が怖いと思うんだけど。

 知り合いなんでしょ? 昔のさ」


 知り合い……、で済めばすっぽかす事は簡単なんだが。

 須藤はある種、俺に対する因縁にも似た感情を持っている。


 恐らく奴を無視して出勤しようものなら、最悪『カラミティグランド』に居る限り永遠に邪魔される可能性がある。


「それに、奴は言っていた。俺が勝ったら言うことを聞いてもらうと。

 ここも引っ掛かる。本格的に俺の逃げ道は無さそうだ」


「じゃあ、どうするのさ」


「まだだ。まだ時間はある。ログアウトまでに何か手段を考えるんだ。

 それよりも、奴との決闘をやるとなった時に使えるスキルを取っておきたい」


「仕事を休んで戦うか、すっぽかすかの二択しかないと思うんだけどな。

 で、結晶士にはどんなスキルがあるのさ」


 ざっと今取れるスキルを、エルドへと簡単に説明してやった。


 その中でエルドから、「俺ならこれかな」という声のあったスキルは【強化錬成術:Ⅰ】、【錬闘士】、【盾錬成】の三つだった。


 俺も、この三つの中でしかないなとは思ってはいたが。


【強化錬成術:Ⅰ】は、錬成して武器を生み出す際、錬成石(オークラント)を消費した分だけその錬成武器の攻撃力が上がり、耐久力が下がるというスキルだ。


 錬成武器の一撃性を高めるという意味では、いつかは取っておきたいスキルではあった。


【錬闘士】のスキルも、拳闘(ナックル)をよく使う俺からすれば、今後なかなかに重要度の高そうなスキルではある。


 拳闘(ナックル)を錬成した時の火力を上げる事が出来るようになるだけでなく、ダメージ補正を緩和して素手による与ダメージを、反対の手に持っている武器と同じ攻撃力に近付けてくれるというスキルだ。


 いざという時の素手ダメージを上げてくれるから、割とバカには出来ない。


 最後の【盾錬成】。これは俺もエルドも意見が合致したのだが、このスキルの優先度自体は低い。


 というのも、錬成武器の元々ある火力を更に向上させた方が、今回の決闘における単純な勝率が上がるばかりでなく、今後の攻略にも役に立つだろう、という見方のためだ。


 先々を考えれば、防御力を上げるよりも攻撃の打点を高める方が良いだろう。

 というのが、俺とエルドの意見だった。


「そういえばソウキ。ヴォイドエッジアーミーから取れる素材で、アクセサリが作れるのを知ってるか?」


「んあ? 機械天使の首飾りの事か?」


「よく知ってるな!」


「知ってるも何も、持ってるし。それがどうかしたのか?」


 持ってるどころか、俺はアトラフィの素材で世代を一つ進ませてるんだよな。


「なんだよ。もう持ってんのか。ほら、あれの装備限定スキル、今着てるソレと相性良いだろ?」


 ソレっていうのは、アトラリアの法衣の事だろうな。


「あー、まぁそうだな。それで?」


「やっぱり、ここは【強化錬成術:Ⅰ】のスキルで大ダメージを与えて、受けたダメージを逃げつつ回復して……。

 って戦い方が、一番手堅いと思う。どうかな」


 確かにな。エルドの言う通りだ。


「だなー。それが一番楽そうだ」


 少し悩みはしたものの、最終的に8ptのスキルポイントを消費して【強化錬成術:Ⅰ】を取得した。


 一度に消費出来る錬成石(オークラント)の数は10。

 そんだけ消費する分の高火力は期待してるぜ?


 ついでにショートカットに、短刃剣(ダガー)の【強化錬成術:Ⅰ】バージョンを登録しておいた。

 アイコンの短刃剣(ダガー)の右上に[10]と数字が載っている。


 このアイコンをタップすれば、【強化錬成術:Ⅰ】のスキルによって、錬成石(オークラント)を一気に十個消費して強化された短刃剣(ダガー)が錬成されるという事だ。


「じゃあ、後は仕事をどうするか、だね」


 やっぱりそこに戻るか……。戻ってくるの早過ぎるぜチクショウ……。


「明日は、休むか……」


 そして俺は、沈んだ気持ちで翌日電話をする羽目になった。エヴリデイ、許すまじ。






【結晶士】ソウキ:レベル10


 所持スキルポイント:11


 武器:チュートリアルリッパー


 頭:無し

 胴:赤竜鱗の胸当て

 腕:赤竜鱗の籠手

 脚:赤竜鱗のグリーヴ


 アウター:アトラリアの法衣

 インナー:無し

 パンツ:無し

 マント:無し


 首:機械神使の首飾り

 右手首:英雄のバングル

 左手首:無し

 リング:マニュアリング


 所持スキル:


【錬成の心得:Ⅰ】

 錬成した武器の耐久力を上げる。

 錬成武器を装備している間、僅かに攻撃力が上昇する。


【錬成の心得:技】

 錬成した武器の耐久力が僅かに上昇する。

 一度の錬成でカウントされる錬成回数が2に増える。


【強化錬成術:Ⅰ】

 複数の錬成石(オークラント)を使用して錬成した武器の攻撃力を大幅に上昇させる錬成が可能になる。

 この効果によって錬成された武器の耐久力は大幅に減少する。


【拳闘武器錬成】

 拳闘(ナックル)が錬成可能になる。


【マルチウェポン】

 錬成武器専用の特殊ショートカットが使用可能になる。


【デュアル・エッジ】

 同じ錬成石(オークラント)を2つ消費する事で、同一の片手用武器種を同時に両手へと錬成する事が可能となる。


 装備限定スキル:


【女神の息吹】

 装備している者のHPを、10秒毎に5%回復する。


【機械神使の鼓動】

 2秒間に1度、装備者の最大HPの1.4%を回復する。


【力の源】

 与ダメージが3%上昇する。


【闘竜の怒り】

 被ダメージを15%軽減する。

 竜族、竜人族に対する与ダメージを15%増加、被ダメージを20%軽減する。


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