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『道を違えたふたり』~『未来を視る剣、明日を見る盾』―1

※この章のお話は、本編には全く関わってきません。


他作者様の作品のキャラクター及びエピソードを、作者様に許可を貰った上でお借りしてコラボさせて頂き、ソウキ達の受けるクエストの中に登場してもらう。


といった内容の章となってきます。

お借りしたキャラクターが、ソウキ達の敵になるか味方になるかは僕にもわかりません。


コラボさせて頂く作品をある程度の所まで読み進めてからの執筆とさせて頂きます。なのでこの章の更新には結構お時間を頂きます。


作品コラボのクエスト回が書け次第、この章へと挿し込みでの更新をしていきますので宜しくお願い致します。



さて、記念すべき1回目のコラボクエスト回でござます!


お相手は【MST】様の


Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─


という作品です!


チェント。ヴィレント。ネモ。

この3人のキャラクターをお借りしました!


 

「ん。新しい特殊クエだ」


 クエストメニューを眺めていた俺は、見たことのないクエストが解放されている事に気付いた。


「どうした? ソウキ」


 エルドが俺のクエストメニューを覗きに来る。

 おい、顔近いぞ。


「いやな? ちょっと変わったクエストが出てるんだ。やってみるか?」


「俺は構わないぞ? どんなクエストだ?」


「『道を違えたふたり』ってクエストがあると思うんだが」


「あー。あるね」


『歩む道を違えた兄妹はやがてぶつかり合う。

 そんな二人の歩むべき道は、どこから間違ってしまったのだろうか。


 英雄ヴィレント・クローティスと、その妹チェント・クローティス。

 戦場で敵として再開した兄妹の、宿命の戦いの行き着く果てはどこに……。』


 というクエスト説明だ。


「行くか? 二人で」


「なんだその含みのある言い方は」


 コイツ……。忘れたとは言わせねぇぞ?


「……考えてもみろエルド。俺とお前の二人だけで受けてやってきた、今までのクエストをよぉ。

 それともなんだ? お前とやるクエストがいつもクソクエなのか、実はお前がクソクエハンターなのか。俺にはわかったモンじゃねぇ」


 採集クエストと称した潮干狩り。

 釣りクエストと期待して挑んだザリガニ獲り。

 討伐クエストはと再起を誓った、HPの減らない対サンドバッグ戦。


 ……クソクエストばっかじゃねぇかよ! なぁ!?


「ひ、ひどいな。リーダーを俺にして、受けるクエストを丸投げにしたソウキにも非があると思うぞ」


 全く、責任転嫁とはこの事だ。


「違う。そうじゃない。毎度毎度と、イロモノクエを選んでくるお前のセンスの問題だ」


「……この話の流れでこんなことを言いたくはないけど、『道を違えたふたり』。受けてみないか?」


「……行きたいのか?」


「この説明を見る限りでは、討伐系のクエストだと思う。俺達向きのクエストではあるはずだ」


 まぁ確かに。並んでいるクエストの中では珍しく、シリアスな雰囲気を醸し出している。


「……まぁ、適正レベルも16。行けるだろう。

 ただし、クソクエだったらソッコーで攻略をお前にブン投げるからなエルド」


「相変わらず酷いことを言うなぁ」


 わざとらしく頭をかくような仕草を取るエルド。


「んま、とりあえずクエストの消化はしておくか。行くぞ」


 俺とエルドは『道を違えたふたり』のクエストを受け、クエストフィールドへと向かった。


 ……もうコイツと二人でこの景色を見るのは、一体何度目になるのか。


 バリトンの門番に2000ゴールドを払うことで、クエストの開始トリガーの付近へと瞬間移動を行う事の出来る専用フィールドエリアを開通してもらえる。


 その専用フィールドエリアの事を、クエストフィールドと呼ぶ。


 クエストフィールドは、フリークエストを三十個クリアすると使えるようになる。

 クエストを効率よく消化していく上で、非常に便利な機能だ。


 俺は目の前に置かれた[転移の渦]へと近付いていく。

 これにアクセスすれば、クエストトリガーの付近へと飛ぶことが出来る。


「なんだかんだで、ソウキもやりたかったんじゃないのか? このクエスト」


 まぁ、そうなんだけど。

 なんとなく、この茶化すようなエルドの言い方がムカつくな。


「うるせぇ。今すぐパーティ解除してお前をズタズタにキルしてやるぞ」


「……ソウキなら本当にやりかねないから怖い」


 過激派だと言いたいのか? 俺泣いちゃう。


 ともあれ、[転移の渦]へとアクセスし、俺達は少しのローディング画面を挟み、フィールドへと飛んだ。


「……なんだここ?」


 俺とエルドは、初めて見るフィールドに出て来ちまった。

 いや、クエストフィールドの機能は、一度行ったことのあるフィールドへしか飛べなかったはずだ。


 こんな全く知らない場所へと飛ばされるのはおかしい。バグか?


「魔の谷……。知らねぇフィールドだ」


「ソウキ、あれ……」


 エルドの指差す先には、兵士らしきNPC、そしてモンスターらしき死体が幾つも転がる、丘の手前に佇む、三つの人影。


「まぁ、あれだろうな。行くぞ」


 三人は微動だにしない。

 更に近寄ると、[アクセスする]というアイコンが出現された。


「これ、どう見る?」


 エルドは三人を眺めながらそんなことを口にしている。


 相対している二人の男は、どちらとも物静かな雰囲気の顔立ちだ。

 一人だけで居る方は、怒り狂ったような、憎悪に満ちた表情(かお)をしている。

 コイツがヴィレントだろうな。


 もう片方の青い肌を持った男は、へたりこんでいる女を庇うように盾になろうとしている。

 女の方がチェントでいいのかんだよな。

 だとするとこの青肌の男のキャラ名はなんだろうな。

 こっちは逆に、かなり焦ったような表情をしている。


「見た感じでは、二人組みの方が劣勢っぽいな」


[アクセスする]のアイコンをタップすると、今度はウィンドウが表示された。


『[チェント][ヴィレント]どちらの味方になりますか?』


 と、二択のアイコンが出てきた。


「……どっちに付く?」


 エルドが尋ねてくる。そりゃあ……。


「押し負けてる方」


 当然である。強い敵と戦いたいってもんよ。

 二対一で勝てないんだ。チェントって女が弱い訳じゃなくて、このヴィレントって男がメチャクチャに強いんだろうよ。


 これには期待が高まるってモンよ。


「じゃあ、チェント?」


「そうなるな」


 選ばなかったヴィレントとは、間違いなく戦闘になるだろう。

 俺は例によって短刃剣(ダガー)を錬成し、[チェント]のアイコンをタップした。


『クエスト、『道を違えたふたり』は分岐クエスト、『未来を視る剣、明日を見る盾』へと派生しました。』


 というログが流れ、止まっていた戦闘(とき)が動き出した。


「チェント、何をしている!? 逃げるんだ。こいつは本当にまずい!」


(なんだ? あの剣。エルドのガラハディンみてーだな)


 立ち上がったチェントの手から伸びる、半透明の赤い剣。

 チェントを庇っていた男から、逃げろと叫ばれているが、それに構わずチェントはヴィレントへと迫り、その赤い剣で果敢に攻撃を仕掛けていく。


 ヴィレントも負けじと、折れた剣の先を使い、突き攻撃をチェントへと繰り出していく。


 チェントはその攻撃を、必死に避けては剣で受けようとしているが、隙間を縫うようなヴィレントの見事な剣戟。


 ほんの一瞬の斬り合いだが、たったこれだけでヴィレントという男の方が数段、剣の腕が上だとはっきりとわかった。


 ついにヴィレントの攻撃が、チェントの右手首を捉えて掠めた。

 チェントの赤い剣が一瞬、消えかかるのが見える。


「……っ!?」


「――行くぞ、エルドっ!」


「了解だっ!」


 俺とエルドは、ほぼ同時に三人の元へと駆け出した。


「チェントっ!!」


「バカかアイツっ! 迂闊過ぎだっ!」


 チェントを庇っていた男が、すかさずチェントの援護に入ろうとする。


 ヴィレントの背中へと回り込み、狙った突きの一撃。


「エルドっ! チェント側から攻撃を仕掛けろ!

 俺は突っ込んでヴィレントの次の一撃を止めるっ!」


「わかった!」


 男の攻撃はヴィレント視界には入っていない。

 だが、ヴィレントは間違いなくこの攻撃に気付いている筈だ。


「ネモ、駄――」


 ――何とか間に合ったな。ヴィレントの一閃へと割り込み、俺とヴィレントは刃を打ち合った。


 代わりに俺が男の突きを受けちまったけどな。

 おいこら、それフレンドリーファイア(同士撃ち)だかんな。


 そして確かに聞こえた。今俺の背後に居る男の名はネモだ。


「なんだ貴様? 邪魔をするな」


 ヴィレントは敵意を剥き出しにして俺を睨んでいる。


「っへへ。楽しそうじゃねぇか。俺達も混ぜてくんねぇ?」


「ほざけぇっ!」


 凄い気迫だ。金髪を揺らしながら、ヴィレントは吠える。


「後ろもちゃーん見た方がいいぜ? 気付いちゃあいると思うがな」


「ちぃぃっ!」


 ヴィレントの背後から、今度はエルドの一撃が襲いかかる。

 即座に身を引き、ヴィレントは体勢を整えた。


「四対一、か。ちーっと気が引けるな。

 おい、ネモとか言ったな? チェントを連れて退け。俺達二人で、それくらいの時間は稼いでやるぜ」


「……助かる。行こう、チェント」


「うっ、うん……」


 ネモはチェントの身体を支えて立たせ、二人は退却していった。


 さて、ここでようやく奴のHPがわかるようになったな。


 ヴィレントの頭上に表示されたモンスター名は、狂気の英雄:ヴィレント・クローティス。

 モンスターではないけどな。


 チェント達との戦闘で少し手負いとなっているのか、ヴィレントのHPは八割の所まで削れていた。


「折れた剣じゃ、流石に俺達にゃ勝てねぇよ。

 武器はそこら中に落っこちてるだろ? 拾う時間くらいはやるぜ?」


 つっても、ヴィレントもAI。そういう行動の設定がされてないなら、武器を拾うことはしないだろう。


「黙れ。……何故、邪魔をした?」


「んー? そりゃあ、お前さんと戦いたいからだよ」


「後悔するぞ」


「言うじゃねぇか。……さて、始めようぜ?」


 俺は武器を構えて、ヴィレントに合図する。

 それに続くように、エルドとヴィレントも武器を構えた。


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