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前兆

後書きに小話でも載っけておくので、良ければ目を通して頂けると嬉しいです。


あと、これで3章は終了でございます!

 

「あっ、ソウキさんっ」


 アイテムショップへと足を運んだ俺へと声を掛けてきたのは、コットだった。


「よっ。エルドはどうしてる?」


 コットと一緒に居ると思ったが、アイテムショップに居たのはコットだけだった。

 一応集合場所は決めてあるし、いざとなればメッセージも送れる。どこに行ってても問題はないけどな。


「エルドさんはですね、所属しているギルドマスターさんから呼び出しがかかったみたいです。

 アトラフィ戦の報告も兼ねて行ってくるから、ちょっと待っててくれとの事です」


 そうかエルドの奴、ギルドに入ってるってさっき言ってたな。

 確か、『硯音(すずりね)』だっけか。


「ギルドに入ると忙しそうだな。俺はパスだ」


「そうでしょうか? ソウキさんがギルドに入ったら、活躍の場が広がっていいとわたしは思いますが……」


「んー……。めんどくさい」


 まぁ確かに、メリットは大いにあるだろう。

 情報然り、レアアイテム然り、レコード然り。


 ただ、それを得るために我が身を犠牲として大規模ギルドの為に動くってのは、ゲームとしては楽しくはない。


 かといって小規模のギルドに入ってちまちまとやってても、俺のやりたい事は恐らく出来ない。


 何がしたいかって聞かれると、ディランを探しながら悠々自適にふらふらと遊んでたいってだけなんだけど。

 それならギルドなんてわざわざ入んなくていっか、ってなるんだよな。気ぃ遣うし。


 上に上がりたい奴がどんどん先に行ってくれりゃあいいんだ。ゲームなんて。


「わたしとしては、ソウキさんの名前がレコードに載ったり、そういう何か大きな事を成し遂げるというのはとても嬉しく思います」


 大きな事って……。ゲームでそんな事したって、しょうがないでしょうよ。


「コット。お前が中学か高校かの何年生かも知らんが、社会へと羽ばたいていくその前に、すこーしだけ俺からアドバイスしてやる」


「……はい?」


「結果というのはな、結果を出してからがスタートなんだ。

 だけどこの結果を出すために色んな手順、道筋、それぞれの経験の差。こういった準備が要る訳だ。

 結果ってのは口でどうとでも簡単に説明出来る。

 だが実際に結果を出そうと思ったら、簡単では済まされない位の、ぐちゃぐちゃ怪奇な過程が組み込まれている」


「難しいですね」


 うーん。説明の仕方が悪かったか。


「そうだな……。あぁそうだ。

 例えば今回、俺達はアトラフィを倒したという結果がある。

 だがこの結果の中にも、レベルを上げて、スキルを取って、エルドと俺が火力の要になって、周りのプレイヤーに少しずつHPを削ってもらって……。

 っていう、ざっくりとだがこんな過程があった」


「なるほどです。それならわかりやすいです」


 最初からこの説明をしてやった方がわかりやすかったか。


「ギルドに入ると、それが毎回のように求められる。

 結果だの過程だの、自分がそれを必要だと思えば、その都度考えればいい。

 だけど、それを毎回の如くやっていたら、俺はこのゲームに何をしに来てるんだ?

 っていつか必ず思う。必ずな。気軽にやれればいいんだ、ゲームなんてのは」


「そういうものでしょうか?」


 コットはどこか納得出来ないといった、イマイチな反応だ。


「そういうモンだ。さて、アイテムをサクッと見たら集合場所に先に行って、エルドの奴を待ってようぜ」


 話を切り上げて、俺はアイテムショップを覗いてみる事にした。

 コットは既に買い物を終わらせているが。


 何でも、HPを回復してくれる[命の雫]と、MPを回復する[活力の雫]というアイテムが買えるようになったらしい。


 ようやく回復アイテムがアイテムショップから買えるようになった訳だ。


 結晶士にはMPというものは存在しない。

 だから今のところは、[命の雫]をある程度持っておけばいいって事だな。


 俺はとりあえずで[命の雫]を15個買っておいた。

 一つあたり300ゴールド。計4500ゴールドだ。

 ……割と回復アイテムがゴールドを食うな。


「さて。俺の方の準備は終わった。コットはどうだ?」


「わたしも大丈夫です。集合場所に行きますか?」


「んー。エルドの奴、まだ集合場所には来てないんじゃないか? んま、一旦向かってみるとしよう」


 居なきゃ居ないで、メッセージを飛ばして適当に時間に時間を潰してればいい。


「はいっ!」


 なんかコットの奴、アトラフィ戦の後くらいから妙に明るくなってる気がするな。気のせいか?


 ……集合場所である宿の前まで来たが、やはりエルドの姿はそこにはなかった。


「とりあえず、エルドにメッセージ飛ばしとくわ。ちっと待っててな」


「はいっ」


「アイナ。エルドにメッセージを送りたい」


「畏まりました。エルドさんへのメッセージを開きます」


 コットの返事を聞いた俺は、A.I.N.A.を起動してエルドへとメッセージを送る。


『俺達の方は準備が終わった。テキトーに時間潰してっから、用事が済んだら連絡くれ。』


 と。こんなもんか。


「さて、どうすっかなコッ――」


 あれ。目の前に居るのはコットじゃない。

 先ほどまでコットの居た場所には、知らないプレイヤーが男女二人組でこっちを見ている。


 コットはいつの間にか、俺の少し後ろに隠れるように逃げてきていた。


「ん? 何か用か?」


 とりあえず、俺の方を見てるって事は、俺に用があるんだろうな。俺は二人組に声を掛けてみた。


「あ、あの。ソウキさん、ですよね」


「うん。多分」


 自分で言っといて、多分ってなんだよな。

 あぁ、そう言えばこのゲーム、パーティ組むまでは名前わかんないんだっけか。


「多分って……。僕はエイジ。こっちはスミレ。

 お時間あるようでしたら、場所を移して少しお時間頂けませんか?

 お話をしたくて。良ければそちらの魔法使いさんも」


 二人組のプレイヤーは、名前だけの簡単な自己紹介を済ませた。

 エイジは剣と盾、スミレは槍を担いでいる。


「俺はここでフレンドを待ってるから、ちょっと位なら問題無いぜ? コットはここで待ってるか?」


 アスティの一件もある。コットはエルドとはまともに会話出来るけど、結局はエルドも俺のフレンドだった訳だしな。

 一旦距離が縮まれば大丈夫なのかもしれないけど。


 その辺は上手くコットに選ばせてやるしかないか。


「わ、わたしも行きますっ」


 お。自分の殻に閉じ籠らず、踏み出したな。偉いぞコット。


「それでは行きましょう。マスターもお二人と話したがっていますし」


 あっ、これはアレだ。絶対アレなパターンだ。

 ……まぁ乗り掛かった船だ。話くらいは聞いてやろうじゃあないか。


 俺とコットは、エルドとスミレに案内され「マスター」なる奴に会いに行くことになった。


ここまで「クリスタル・ブレイド」を読んでくださり、本当にありがとうございます!


明日からの更新を以て、4章へと入ります。


その前に、1作品のコラボエピソードの方が書けましたので6/22日、本日中に書いた分を全て投稿したいと思います。


今の自分に書ける精一杯の力で書き上げましたので、良ければ読んで下さると嬉しいです!



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