ボーナスチェスト―1
アトラフィ戦ドロップアイテム確認回の前半部となります。
手に入れたアイテムの中身がわかるのは、次の話になりますので宜しくお願いします!
『プレイヤーの手によって人々の脅威となっていたエクストリームボス、[血塗られし人造神機・アトラフィ]の討伐が達成されました。おめでとうございます。
これにより、中央都市バリトンに以下の要素が追加されました。
・アイテムショップの追加
・防具ショップの追加
・鑑定人の追加
・クエストの追加
以上の機能が使えるようになります。是非とも足を運び、攻略に挑む準備を常に整えておきましょう。』
バリトンへと入った俺達を迎えてくれたのは、こんなテキストアナウンスだった。
「アイツを倒せなかったら、この機能は追加されなかったのか。意地悪な仕様だな全くよぉ」
「ま、まぁ。あの手のボスは、定期的に来るようになってるんだろ。
褒美は仕込んであるから、ボスはちゃんと倒せって運営からのメッセージだろきっと」
ボヤく俺に、エルドはなだめるようにそんなことを言うのだった。
バリトンへと戻った俺達はひとまず、宿を探すこととした。
といっても、バリトンの中にはパーティで会議を開く為に設けられた宿が幾つもある。
五分もしない内に、宿屋を見つける事が出来た。
「こんな風になってるんだな。宿」
宿の主人NPCにアクセスすると、パーティごと室内に飛ばされるらしい。
因みに宿屋を使うのにゴールドは要らなかった。この世界では、睡眠も飲食も不要だからだろうな。
室内はなかなかに広い。十二畳くらいはあるのか?
本当にパーティメンバーで集まれるように作られているらしい。
一応、宿屋の体を見せる為にベッドは二つ置かれているものの、これはただのオブジェだった。
アクセスして寝たりとかは出来ないが、座ったり横になってみる程度は出来た。
「さて、とりあえず。アトラフィからのドロップを確認したいところだが、その前に軽く自己紹介といこうじゃないか」
ぱん、と手を打ってエルドは言った。
自己紹介するとかなんとか、さっき戦闘中に話をしたっけか。
……そういえば、なんだかんだでエルドとちゃんと喋るのもこれが初めてだ。
初めて会った時は、フレンドになるなりフィールドへとコイツは突っ走って行ったからな。
そこから少し間を開けての再開と思ったら、何故か一人でボスと戦ってやがるし。
ともあれ、まずは各々の簡単な自己紹介タイムとなった。
「俺はソウキ。結晶士って職業だ」
「わ、わたしはコットって言います。治癒士見習いっていう職業です」
「なるほど。ここに居るのは全員ユニーク職業って訳か。
俺はエルド。魔剣士って職業だ。よろしくな」
七人しか居ないはずのユニーク職業が三人でパーティを組んでるとか、頭おかしいんじゃねぇの。
とは思ったものの、三人ともユニーク職業ってことで、職業に関する話題では結構盛り上がった。
コットとエルドは、話の流れでフレンドにもなったし。
良かったなコット、一緒に遊べる仲間が増えて。
途中、エルドの口からギルドについてもさらっと説明をして貰った。
エルドの所属している『硯音』ってギルドを含めた、四つの大手ギルドがレコードを巡って躍起になっているみたいだ。
残念ながら、一般職プレイヤーで構成されたパーティが出せる火力では、ボス討伐にいまひとつ届かないらしく、エリアボスに逃げられてしまうんだと。
エリアボスは会敵してから一定時間が経過すると、転移してどこかに消えてしまうらしい。
現状わかっている範囲では、転移までの時間はボスモンスター毎に全く異なる事。
そして、再出現の位置もランダムで、そもそも再出現しないこともあるとの事だ。
「なるほどね。ちったぁ理解できた」
話が一区切りした俺は、一息つこうと部屋に配置された椅子に深く座った。
「話もキリの良い所まで来たし、ギルドの話は一旦置いておこう。
ここらで一度、アトラフィ戦で手に入れた戦利品を開いてみるとしようじゃないか」
「そうだな。そうするとしよう」
「ですね、どんなアイテムが貰えるのでしょうか」
エルドの提案に乗り、俺達三人はメニューを開いてみることに。
「なるほど。エクストリームボスの報酬は宝箱方式なのか」
アイテムパックを覗いて見ると、明らかに報酬っぽい名前が幾つもあった。
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]戦闘参加ボーナスチェスト』×1
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]残HP80%以下ボーナスチェスト』×1
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]残HP50%以下ボーナスチェスト』×1
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]残HP25%以下ボーナスチェスト』×1
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]残HP3%以下ボーナスチェスト』×1
なるほど。制限時間内に倒せなくても、とりあえず参加分と、削ったHP分だけのボーナスは用意されているのな。
そう考えると、なかなかやりがいあるボス戦じゃねぇか。
急襲戦は、タイミングさえ合えば必ず参加するようにしよう。
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]撃破ボーナスチェスト』×2
今回はアトラフィのHPを削りきって倒したから、ここまでの報酬がとりあえず全プレイヤーに手渡された訳だ。
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]撃破パーティボーナスチェスト』×2
ここからが恐らく、追加分の報酬だろう。
コットが報酬として貰えていたのは、この七種までだった。
そして、俺とエルドには更に追加の個人報酬があった。
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]ダメージランクSボーナスチェスト』×4
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]ダメージランクAボーナスチェスト』×2
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]ダメージランクBボーナスチェスト』×1
がアイテムパックに押し込められていた。与ダメージでのボーナスなんてのもあるのか。
因みにだが。ランクBが青、ランクAが紫、ランクSは赤色と、ランクよって報酬チェストのテキストの色が違う。
レアドロップと同じ扱いならば、赤いテキストのSランクのボーナスチェストにはかなりのレアアイテムが入っている可能性があるな。
どの程度与えればSランクに到達するのかはわからないが、あの戦闘でアトラフィに対して俺とエルドが二人で与えたダメージを考えれば、Sランクは当然だな。
そして、ここからは俺一人だけが獲得している報酬だ。
『[血塗られし人造神機・アトラフィ]オーバーキルボーナスチェスト』×1
黄色なのか、金色なのかはわからないが、ひと目見てこれにはヤバいアイテムが入っているだろうと予測できる。
だってオーバーキルだぜ?俺しか手に入れて無いんだぜ?
そんな根拠とは言いがたい根拠だが、この直感は信じていいと思う。
「どれから開く?」
俺は二人に尋ねてみた。
「お二人の、ダメージランクボーナスから見てみたいです」
とコットは言う。順番的な事を考えるなら、それが一番いいだろうな。
「どうする? エルド」
「それじゃあ、Bから開いてみよう」
「オッケー」
さてさて、一体何がドロップされたのかな。
期待に胸を膨らませながら、俺とエルドは[チェストを開いて報酬を確認する]をタップし、報酬の中身を開いた。
【結晶士】ソウキ:レベル9
所持スキルポイント:13
所持スキル:
【錬成の心得:Ⅰ】
錬成した武器の耐久力を上げる。
錬成武器を装備している間、僅かに攻撃力が上昇する。
【拳闘武器錬成】
拳闘が錬成可能になる。
【マルチウェポン】
錬成武器専用の特殊ショートカットが使用可能になる。
装備限定スキル:
【機械天使の祈り】
2秒間に1度、装備者の最大HPの1%を回復する。
【闘竜の怒り】
被ダメージを15%軽減する。
竜族、竜人族に対する与ダメージを15%増加、被ダメージを20%軽減する。
 




