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オペレーション:チクチクタイフーン

ひどい話タイトルでごめんなさい。笑


多分次で決着まで……持っていけるかな……。って感じです。


決着回は「かっちょええ話タイトル」考えてるので、そこで挽回します。笑


もしかしたら文量めちゃめちゃ上がるかもしれないんで、そこはごめんなさい。


お付き合い頂ければ嬉しいです!(゜ロ゜)


 

「おっ、もう始まってんなぁ」


 アトラフィが降り立った地点まで、後もう少しという所までやってきた俺とコットは立ち止まり、戦闘の様子を眺める事にした。

 削られていた俺のHPは、【機械天使の祈り】の効果によって既に全回復している。


 既にアトラフィと戦闘を開始しているプレイヤーらしき影が、ちらほらと遠目に見えている。


 側で戦っているプレイヤーと比較するに、二メートルから二メートル半に満たない位の図体はありそうに見える。

 そこまでデカいモンスターってな訳でも無さそうだ。


「どうするコット? もう行くか?」


「こっ、心の準備が……」


「んなもん必要ねぇよ。制限時間もある。俺達も参戦してやんねぇとな」


 アトラフィの討伐に設定された制限時間はたったの二十分。

 ここまで来た時点で既に二分程が経過してしまっているが、まだアトラフィのHPゲージは一割も削れていない。


「そういや、コットって普段何してるんだ?

 あー……。言いたくなきゃ、言いたくないって言えばいいからな?」


 こっち側(ネット)の世界で向こう側(リアル)の話を持ち込むのは良くないとされているが、ふと気になったもんだから試しに聞いてみた。

 九割くらいの確率で学生だと思うけどな。


「わ、わたしですか? ……普段は、学校に通っています。友達は居ませんけど」


 なんだよ。エラく歯切れが悪いじゃねぇか。


「学生か。いいもんだな」


「そうでしょうか?」


「当然だろ? 色んな選択肢、色んな未来が見える。

 手を伸ばせば掴める希望が、そっこら中にごろごろ転がってるんだ、学生ってのは」


 かくいう俺はというと……。うん、やってはダメな高校生活の送り方をしていたね。


 それなりに楽しい思いはさせてもらったし、後悔も全くない。

 ただ、『in world』をやってなかった俺にはどんな未来があったんだろうな。

 そこがちょっとばかし気になるトコよ。


 コットとお喋りをしながらアトラフィの元へと走っていると、さっき出会ったばかりの忘れかけていた赤い髪のプレイヤーが脇の道から駆けてきていた。


「んっ? アスティじゃねぇか!」


 思わず立ち止まって声を掛けてしまった。


「あぁテメェはっ! さっきの銀髪! とさっきの魔女っ娘ちゃん!」


 そこには、正解! と言いたくなる程の面白い反応を返すアスティとワタルの姿があった。

 魔女っ娘ちゃんってなんだよ……。


 アスティとワタルは更に見知らぬ二人を後ろに連れての、四人編成のパーティを組んでいるようだ。


「なんだ? ここでやり合うのか?」


「そうしたいのは山々だが、俺達には(ギルマス)からあのボスを狩る指令が出されている。今はテメェに構ってる暇はねぇ」


「そうか。なら仲間だな。宜しく頼むぜ」


「勝手に言ってろ!」


 パーティは異なるが、目的の合致したアスティ達と一時的に行動を共にする事となった。


 アスティの話によれば、制限時間内であればHPがゼロになっても安全エリアへと転送されてしまうだけで、また戦闘に復帰できる仕組みっぽい。

 ……あぁ、つまり一回全滅したって事か。


「とにかく奴の攻撃は早ぇ。お前が死ぬ所を拝めるってもんだな銀髪ぅ!」


 言ってることがスッゲー小物っぽいぞ。

 まぁただ、あれだけ動けるアスティが言うくらいだ。

 アトラフィの攻撃にはかなりの注意が必要だな。


「お前の方こそ、サクッとやられちまうなよ」


 そんなこんなで、俺達はアトラフィのすぐ近くまでやって来た。

 大勢のプレイヤーがアトラフィを囲むように位置取ってはいるものの、攻めあぐねている様子だ。


「なにしてんだあいつら? あれだけの人数居れば物量で押せるだろ?」


 相手は一体。取り囲んでしまえば、後はそいつらでアトラフィに対してチクチクとダメージを与えられるだろうに。


「……いや、違ぇんだ」


 アスティが口を開く。


「?」


「囲まれてるアトラフィと戦っている奴をよく見てみろ」


 プレイヤーで出来た壁へと近寄り、背伸びをして中を覗く。


「……なんでアイツ一対一(サシ)で戦ってんの?」


 プレイヤーで作られた円形の闘技場の中で、たった一人で戦っていたのはエルドだった。


「……俺達じゃあ、邪魔になるからだ」


「アホだな。だからって、たった一人だけで制限時間までにボスを狩れるかっつーの」


「おっ、おいっ!」


 俺はアスティの声を無視し、プレイヤーとプレイヤーの間を抜けながら、エルドの元へと向かった。

 コットも俺の後に続いて来ている。流石に小柄なだけあって、スルスルとプレイヤーの波を抜けて来ている。


「よぉエルド! 助けは要るかー?」


 赤いボディを持った機械人間と対峙するエルドへと向けて、声を掛けてやった。


 アトラフィの造りは、HPがレッドゾーンを迎えたヴォイドエッジアーミーと似ていて、かなり細身の体だ。

 ただ、余分な物が一切排除された、より戦闘に特化したフォルムのようにも感じられる。


 赤い鎧、赤い翼、右手の武器まで真っ赤だ。


「要るにっ……、決まってんだろっ! っらぁっ!」


 アトラフィの右腕に引っ付いた真紅のブレードから繰り出される、横一文字の一閃をギリギリの所で身を引いてかわし、手にした直剣(ブレード)でカウンターを返していくエルド。


(コイツ……。すっげぇ)


 既に攻撃パターンを掴んでるのか、エルドは完全にアトラフィの攻撃モーションを読んで避けていやがる。


 エルドに向けてパーティ申請を出すと、すぐさまエルドは俺とコットのパーティへと参加した。

 よし、これでエルドにもコットの回復が届く。


「コット! 回復は任せるっ!」


「任せてくださいっ!」


「……チュートリアルん時よりは全然、頼もしくなってんじゃねぇか」


 なんてコットに聞こえないように呟きながら、俺は直剣(ブレード)を錬成してエルドの戦闘に参戦していった。


「だぁぁぁあん!」


 エルドだけに集中していたアトラフィの胴体に斬撃を加えてやった。

 むーん……。あんまり効いてないっぽい。単純にコイツの体力が多すぎてそう見えるだけか?


「来るのが遅かったじゃないか。レコード持ち」


 エルドの退避に合わせて、俺も後退した。

 未だに敵視(ヘイト)値はエルドが一番高い為、周囲のプレイヤーに目もくれずにアトラフィはこっちに向かってくる。


 お前もな。と言いたいとこだったけど、まず最初にエルドに聞きたい事はそれじゃない。


「なーんで一人で戦ってんのさ? こんなにギャラリー従えちゃって。何なの? この状況」


「いや、それはこっちが聞きたいんだけど……」


「まぁいいや。どんな攻撃が一番ヤバい?」


 残り時間は約十五分。アトラフィの残HPはまだ八割くらいある。

 正直言って、時間内に勝てるとは思えないが……。


「バツの字斬り。威力は低めだけど、隙が小さくほぼノーモーション。ワンヒットは覚悟しておいた方がいい。

 横一文字斬りは大きな溜めのモーションが入る。結構身を屈めないと避けられないけど、攻撃後の隙はこれが一番大きいかな。

 敵視(ヘイト)が回って正面を向き合った時、奴の左側を位置取るようにすると上手く立ち回れる」


 結構、実践的なアドバイスをくれるプレイヤーだな。エルドの奴。


「了解だ。とりあえず敵視(ヘイト)が変わるまでは殴らせて貰うわ。

 HPがヤバくなったら、あっこに居る魔法少女が回復してくれっからな」


「あぁ、助かる。俺は奴の弱点、雷撃属性の攻撃は出来る。

 だから、なるべくそっちに敵視(ヘイト)が向かないようにはする」


 え? テュリオス以外に、現段階で雷撃属性の攻撃を出来る奴が居たのか?


 だがエルドの武装を見ても、エッジオブヴォイドでは無いし……。

 そもそもコイツ盾も持ってねぇし……。つーか今気付いたけど、なんだその剣。


 蒼白い半透明な刀身が真っ直ぐと伸びてるが、刀身が実体を持っているような感じがしない。


「なぁエルド? ソレ何て剣?」


 雷をそのまま纏わせたように、バリバリと音を立てる蒼白い雷のような光が、蒼白い刀身を流れるように走っている。

 ふっつーに、エッジオブヴォイドより強そうなんだけど。


「これか? これはガラハディン。俺の初期装備だ」


「……お前もしかし――」

「――危ねぇ!」


「うぉぁあっ! 速ぇっ!」


 クッソなんだコイツの攻撃! 攻撃の速さに特化しているのか、シンプルにヤベェ!

 エルドを狙った袈裟斬りだったが、普通に俺も攻撃の範囲内だった。


「話は後だっ! 攻撃しろっ!」


「言われなくったってぇっ!」


 エルドに指示されるまま、俺はやはりいまひとつダメージの入らなかった直剣(ブレード)を投げ捨て、打撃属性である拳闘(ナックル)を錬成して攻撃に入った。


 エルドがアトラフィの正面を引き受けてくれているお陰で、俺は安全アトラフィの背後に回る事ができた。


 万が一、俺とエルドの敵視(ヘイト)値が逆転してしまっても、一応の対策は考えてある。


 俺はとにかく、拳闘(ナックル)を錬成してアトラフィを殴りつけ、壊れてはまた錬成して……。

 という流れでひたすらアトラフィのHPを削っていった。


(ちっ。流石に急襲(レイド)ボスだな。最高火力でも削りが悪い)


「そこで見ている奴らっ! 全員一発ずつ側面から殴れっ!

 敵視(ヘイト)は俺とコイツで全部引き受けるっ!

 お前らレアアイテムが欲しくねぇのか!?」


 周囲でギャラリーと化していたプレイヤー達は一斉に、「レアアイテム」という言葉に反応するように武器を抜いた。


 よしよし、いいぞ。これでちっとはダメージが加速する。

 敢えて名前を付けるとしたらそうだな……。

「オペレーション:チクチクタイフーン」とでもしようか。


 こうして、俺達のアトラフィ戦はようやく始まるのだった。






【結晶士】ソウキ:レベル7


 所持スキルポイント:9


 所持スキル:


【錬成の心得:Ⅰ】

 錬成した武器の耐久力を上げる。

 錬成武器を装備している間、僅かに攻撃力が上昇する。


【拳闘武器錬成】

 拳闘(ナックル)が錬成可能になる。


【マルチウェポン】

 錬成武器専用の特殊ショートカットが使用可能になる。


 装備限定スキル:


【機械天使の祈り】

 2秒間に1度、装備者の最大HPの1%を回復する。


【闘竜の怒り】

 被ダメージを15%軽減する。

 竜族、竜人族に対する与ダメージを15%増加、被ダメージを20%軽減する。


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