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警報

 

「レコードは……。と」


 アトラリア砂道へと出てきた俺とコットは、お互いにフィールドを探索する準備をしていた。

 俺の方はもう特にやる事もなかったから、A.I.N.A.を起動してレコードが更新されているかどうチェックしてみることとした。


「エルド……? ファーストキル?」


 俺とテュリオス以外で、レコードに名を刻んでいる奴が一人居る。

 俺は確認するようにフレンドリストを開いた。

 そこに確かに、レコードに載っているものと同じ、「エルド」の名があった。


「同一人物、か?」


 いや、別にレコードにエルドの名が載っていたって不自然なことじゃない。

 不自然なのは、たった一人(・・・・・)でレコードに名前が載っているって事だ。


 エルドの奴、まさかとは思うが俺達とフレンド登録をしたその足でボスを狩っちまったのか?


 エルドの倒したこのエリュシディナイトってボスがたまたま弱かったのか。

 またはエルドがメチャクチャ強い奴なのか。

 それとも別の何かか……。例えば、ユニーク職業(クラス)だとか、な。


「どうしたんですか?」


「いや、俺のフレンドがレコードに載っているみたいなんだ」


「レ、レコードですか? 凄いですね……。って、ソウキさんも載ってますよ?」


 あ、見ちゃった? そうなんですよ、コットさん。


「う、うん。まぁあれだ、たまたまってヤツだ。

 そこに一緒に載っている、テュリオスって奴は俺の同級生だ。今度紹介するよ」


「は、はぁ。宜しくお願いします……?」


「どうしたんだ? 呆けた顔して」


 コットはポカーンとしたような顔で俺の方を見ている。

 そんなに見ないで照れちゃう。


「い、いえ。ソウキさんはやっぱり凄いんだなって思って」


「別に俺が凄いんじゃねぇよ。結晶士の力だ。

 それに、ボスだってテュリオスが居なきゃ勝てたかどうかもわからねぇ。

 凄いってんなら、たった一人でボスを倒しちまったエルドの方がよっぽど凄ぇぜ?」


 コットは俺と共にリザードサイスを倒したから、ボスモンスターの強さってのはよく知っている思う。

 だから、一人だけで倒したって事の意味、よくわかっている筈だ。


「そうですね。ソウキさんもエルドさんも凄いです」


 あっ、テュリオス忘れられてんぞ。本人知ったら泣いちゃうぞ?


「わたしなんて、たまたま治癒士見習いっていうユニーク(ルーツ)を引いちゃって……。

 ソウキさんの方がわたしよりもこの職業(クラス)の扱い方を知っていて……。

 一人だけじゃ、その辺をうろうろしているモンスターさえまともに倒せなくて……。

 向こう(リアル)から逃げるようにここに来たわたしは、一体何なんでしょうね……?」


 居場所が無い。ってか? 下らないな。


「コットはさ。ここに、この世界に何を求めてやって来てる訳?」


「え?」


「例えばの話な? 非日常を味わいたいとか、自分の体を使って自由に冒険したい。

 剣や槍を使って、モンスターを気持ちよくぶっ倒してみたい。

 さっきのプレイヤー……、はちょっと違うけど、あんな感じでリアルでは絶対に出来ないような、殺し合いにも似た喧嘩を楽しみに来る奴だっている。

 色んな奴が居るんだ。こういうゲームにはな? 色んな自分なりの楽しみ方を探しに、見つけに、求めにやってくる。

 だけど、俺から見えるコットっつーのは、『カラミティグランド』っていう世界に、一体何をしに来ているのかよくわからない」


「わたしは……」


「……さっき二人のプレイヤーに誘われていた時、お前は一体何を考えていた?」


 別にコットをいじめたい訳じゃない。

 ただこういうヤツを見ていると、どうしてかイラついて仕方ない。


 ゲームをする理由を探す必要なんて無いが、どうにもコットが、ゲームをただのリアルの逃げ道にしてるように感じちまう。


 別にそれはそれで構わない。ついついリアルの愚痴を溢してしまうのだって、それを悪い事だとは俺は思ってない。


 どう頑張ってもリアルが上手く行かないだとか、色んな事情を抱えてアンダーグラウンドな世界へとやって来る奴は必ずと言っていい程、それも結構な数の人間が居るからだ。


 たけどそういう奴は大抵、この世界が好きだから来ている。

 来たいから来ている。って言った方がいいのか。


 だけどコットは、何を目的にここに来ているのかイマイチよく分からない。

 別に逃げ込む先が『カラミティグランド』で無くたって、コットに合った世界っていうのはどこかしらにはある筈だからな。


 単純に、無理をしているように感じるんだ。


「……わ、わかりません。わたしはどうしてここに来てしまうのか。

 ……ただ、これだけは言えます。わたしはソウキさんや椿さんと一緒に遊ぶのが楽しい。

 だけど、他の人に交じって遊ぶ勇気が無いんです。あの二人に声を掛けられた時、わたしは怖くなってしまいました。

 結局リアルと変わらない。わたしはわたし、変えられない」


 あぁもう、鬱陶しい。誰かコットの扱い方を教えてくれ。

 テュリオスみたいに流したり、雑に扱う訳にもいかんし……。


「なら、別にそれでいいんじゃね?

 人はそうそう、簡単に変われるもんじゃないってのはよぉーっくわかる。

 俺や椿とじゃないとやれないっつーなら、ログインしたらまず俺達にメッセージ送ればいいだろ? 手が空いてれば遊んでやるしな。

 ただ俺達だって、常にお前と居てやれる訳じゃないし、俺達が常に一緒に居てやる事がコットの為になるとも思えない。

 そこら辺、よく考えるんだぞ?」


「はい。わかりました……」


 ったく、エラッそーに人生指導してやれるような人生なんて歩んできてねぇっつーのに、勘弁してくれよな。

 俺が逆に人生相談に乗って貰いたいくらいなんだぜ? まぁこれは冗談だけど。


「さぁ、行こうぜコット。俺達としかやれないんなら、他の奴らよりもペース上げてやんねぇと遅れていくぜ?」


 俺は親指で「行こうぜ」と合図し、先へと進む道の方へと向いて歩き出した。


「はいっ。あの……、ソウキさん」


「ん? どした」


「ありがとうございますっ」


 後ろを振り返れば、コットはやっぱり、お辞儀をしていた。

 やーっぱ、ヘンな奴だよな。コットは。


 正直、礼を言われるような事は多分、してやれてねぇとは思うんだけどな。

 それでも、コットの感謝にいちいち横槍を入れるのは野暮ってモンだな。ここは素直に受け取っておこう。


「構いやしねぇよ。行こ――」


 ――突如、アトラリア砂道に警報(サイレン)が鳴り響く。


「……何だ?」


 何らかのイベント発生か? だとしたら、この警報(サイレン)の音といい、なかなかヤバくて楽しそうな演出だな。


「わ、わかりません。何でしょう?」


『フィールド、アトラリア砂道にてエクストリームボス、アトラフィの存在が確認されました。

 ログインしている全プレイヤーはアトラリア砂道へと集結し、これを殲滅して下さい』


 というアナウンスが流れた。

 それと同時に、プレイングマニュアルも更新された。


 ……エクストリームボス。

 どんな姿をしていて、どんな攻撃をして、どんなレアアイテムを懐に忍ばせているのか。


 是非ともぶっ倒して、俺とコットでレアアイテムを獲得したいモンだな!


「ソ、ソウキさん。まさかとは思いますが……」


「あん? 行くに決まってんだろ。こんな楽しそうなイベント、逃す方がアホってもんだぜ!」


「ですよね。そうだろうと思ってました……」


 諦めろコット。レアアイテムやボスの匂いがすれば、それを辿ることこそが、ここでの俺達の最大の楽しみと言っても過言では無いからな。


 ひとまず俺達はここ安全エリアで待機し、他プレイヤーの集結をっていた。

 同時に、俺はワクワクしながらエクストリームボス、アトラフィが現れるのを心待ちにしていた。






【結晶士】ソウキ:レベル7


 所持スキルポイント:9


 所持スキル:


【錬成の心得:Ⅰ】

 錬成した武器の耐久力を上げる。

 錬成武器を装備している間、僅かに攻撃力が上昇する。


【拳闘武器錬成】

 拳闘(ナックル)が錬成可能になる。


【マルチウェポン】

 錬成武器専用の特殊ショートカットが使用可能になる。


 装備限定スキル:


【機械天使の祈り】

 2秒間に1度、装備者の最大HPの1%を回復する。


【闘竜の怒り】

 被ダメージを15%軽減する。

 竜族、竜人族に対する与ダメージを15%増加、被ダメージを20%軽減する。


ようやくオンラインゲームっぽいイベントが出せました。笑


どれくらいの文量になるかはわかりませんが、頑張って書こうと思います!


今さらの告知となりますが、毎日更新していますので、

今後とも「クリスタル・ブレイド」を宜しくお願い致します!


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