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お預けの心得

あとがきにすこし小話をのせておきます。

 

「むーん……。悩む」


 俺は今、睨めっこをしている。

 何とって? 誰とって? そりゃあお前……。スキルとだよ。


 スキルツリーをこうして眺めていると、どれもこれも魅力的なスキルに思えて仕方がない。


 ……ヴォイドエッジアーミーとの戦闘前に取った【拳闘武器錬成】が4ptだった。

 このスキルの取得によって、残ったスキルポイントは1ptだけだったのだが、ヴォイドエッジアーミー戦を終えてクエスト、『雫を流す者』をクリアした今の段階で俺のレベルは6まで上がっている。


 これによって、所持している分の純粋なスキルポイントは7ptとなった。


 そしてヴォイドエッジアーミーからドロップしたスキル書が二つ。

 更にテュリオスから売ってもらった分までを合わせた合計四つのスキル書から手に入れられるスキルポイントも加算して考えるとするならば、俺が持っている総スキルポイントは実質11ptとなる訳だ。


 取得した【拳闘武器錬成】の先には新たなスキル、【盾錬成】が解放されていた。【盾錬成】の取得に必要なスキルポイントは5pt。

 こいつの存在が今の俺をぐらつかせている。


 更に俺の頭を悩ませるのは【錬成の心得:Ⅰ】の先に続く【錬成の心得:Ⅱ】が解放されたと同時に分岐解放されたスキル、【錬成の心得:技】だ。

 こいつは現状では破格のスキルだ。性能面というよりはシステム面での破格さだけどな。


【錬成の心得:技】

 錬成した武器の耐久力が僅かに上昇する。

 一度の錬成でカウントされる錬成回数が2に増える。


 というもの。

 錬成武器の耐久力が上がるのも地味に嬉しい事なのだが、強いのはもう片方の効果だ。

 錬成回数のカウントが2になるということは、上級職へと上がれるスピードが単純に考えて倍になるということ。


 上級職に上がる為の条件のひとつである、総錬成回数。これが八万回から四万回と半分で済むようになるのだ。


 こんなスキルが存在するっていう時点で、結晶士の次の更に次の上級職へと上がる為の条件にも総錬成回数が設けられている可能性はかなり高い。


 間違いなく必須スキルだろうし、今すぐ取りたい気持ちもあるのだが、要求スキルポイントはなんと30!

 今解放されているスキルの中で最も要求スキルポイントが高いものとなっている。


 因みにだが、火力へと繋がりそうなスキルは現状では【錬闘士】しかない。


 フィールドの雑魚モンスターにも一応は拳闘武器を試してみたが、錬成した拳闘武器が弱いという事は全くなく、ここらのモンスターを相手にした時にテュリオスより若干火力が下回るかな……。程度の差だった。


 今【錬闘士】のスキルに注目している訳はたった一つだ。

 それは弱点を抜きに考えれば、錬成武器の種類を問わずどれも同じ位の火力が出せるということ。

 つまり、現状これ以上に打点を上げたいとするなら、【錬闘士】のスキルを取るしかない。ってことになるな。


 そして【錬闘士】のスキルを取ることによって高い恩恵を受けられるのは、錬成武器よりもチュートリアルリッパーを握っている時だ。


 ボスとの戦闘中、と言ってもまだ二戦しか数を踏んでいないが、ここで決めなきゃって時ほど錬成武器は壊れているんだよな。


 ヴォイドエッジアーミーの最後の一撃。

 コットへと標的を変え、背を向けたリザードサイスのHPを削り切る瞬間。


 両方とも最後は錬成武器が壊れ、新たに武器を錬成する暇もなくチュートリアルリッパーを握るしかなかったんだ。


 そう言った意味では、まだまだチュートリアルリッパーの出番はありそうだから【錬闘士】のスキルも俺の中では需要が高い。

 一番楽なのは錬成武器が壊れない事だよな。バランス崩れるか、さすがに。


 せめてチュートリアルリッパーの攻撃力を高められたらと思うのだが……。

 

「なぁテュリオス」


 ここはひとつ、テュリオスの意見を参考にしてみるか。


「どうした?」


「テュリオスは、どういうスキル構成を考えて取るスキルを選んでる?」


「そうだな……。難しい質問だ。例えば、俺は今回のヴォイドエッジアーミー戦でまさか盾が攻撃手段となるなんて思っていなかった」


「まぁそうだろうな」


 剣をメインに戦う以上、盾ってのはどうしても降りかかる攻撃からその身を守る為だけの装備になりがちだ。

 時代が時代ならやったかもしれないけど、盾を攻撃手段とするために訓練する奴なんて居ないだろうしな。


 盾よりも剣の方がリーチがあるんだ。当然みんな剣の腕を鍛えるだろうよ。

 そういった意味では、ヴォイドエッジアーミー戦ってのは、テュリオスの中の何かを刺激するいい一戦になったかもしれないな。


「今はソウキよりも高い攻撃力を(もっ)て斬撃攻撃だけで敵押すことが出来るが、盾の打撃攻撃も絡めた立ち回りというものもその内求められてくるのだとしたら、盾系スキルを取ることも視野に入れなければならないと感じた」


「だな。そんなテュリオスはどんなスキルを取ったんだ?」


「まずは俺のレベルに注目してくれ」


 ……ん? 言われて見てみれば、テュリオスの頭上に表示されたレベル数は「1」となっている。


「レベルが落ちてるぞ」


転職(クラスチェンジ)したんだ。今の俺の職業(クラス)は剣士だ」


 ほぉ。あの騎士の雫の量で転職(クラスチェンジ)出来たのか。


「早いな。最速で上級職に上がったんじゃないか?」


「かも知れないな。それで、剣士の取れるスキルには斬撃属性の攻撃力に繋がるものが殆どだ。

 刺突属性の攻撃力を上げるスキルも一応設けられてはいるが、次からはネームドの騎士(ナイト)だ。

 ここに盾系のスキルがあると期待して、スキルポイントを溜めながら進んでいきたいと俺は思っている」


 確かに、現状エッジオブヴォイドとシールドオブヴォイドの強みを最大限に活かしたスピード攻略をしていくのが一番賢い。


 剣術士のレベルアップにより加算される筈のスキルポイントが取れないが、ここから次の上級職へのスタートダッシュを決められると思えばそこまでの痛手になることはないだろう。

 レベルを上げるくらいなら後からでも出来るだろうしな。


 ただ、たった今テュリオスの口から聞き逃せない新たなワードが出たのは確か。


「……ネームド?」


 これは流石に説明を求めざるを得ないだろ?


「……あぁ、そうか。俺のプレイングマニュアルには既に追加されたんだが、騎士はナイトとも読んだりするだろう?

 上級職にはそれぞれ職業(クラス)の顔とも呼べる二つ目の名前が付いている事がある。

 そういった職業(クラス)の事をネームド職と呼ぶらしい。

 汎用職業(クラス)に比べるとスキルの数も豊富で、その性能も高いものが多いようだ」


 なるほどな。ん……? 待てよ?


「なぁ。狩人(ハンター)って確か(ルーツ)って言ってたよな?

 (ルーツ)の時点からネームド職とか反則じゃね?」


「まぁ……。確かに。だからこそ、厳しい解放条件が設けられていると思いたい所ではあるな……」


 バカ言え(ルーツ)選択ルーレットで引いてる奴が居たらどうすんだ。悠長な事を言ってる場合じゃねぇぞ!

 困るんですよぉ。バランス崩壊はぁ。

 ……なーんて言ってても仕方ないけどな。


 テュリオスはこれから騎士(ナイト)へ上がる為に、スキルポイントの節約していく方針が決まっているようだ。

 その為に一応聞いてはみたものの、結果的にはあまり参考とはなり得なかった。


 まぁただ、ここは俺も【錬成の心得:技】に向けてスキルポイントを溜めようかね。

 ボスがスキル書を確定でドロップするならば、さくっと倒せるようなボスを連戦してパパッと30ポイントを集めちゃいたいな。


「んじゃ、そうと決まれば早速フィールドに出向いちまおうぜ。ボスが俺達を待ってんよ」


「……そうだな。ついでに頂けるならレコードも頂いてしまおう」


 お? やる気じゃんよテュリオス。

 やることの決まった俺達はひとまず、アトラリア砂道へと駆り出すことにした。






【結晶士】ソウキ:レベル6


 所持スキルポイント:7


 所持スキル:


【錬成の心得:Ⅰ】

 錬成した武器の耐久力を上げる。

 錬成武器を装備している間、僅かに攻撃力が上昇する。


【拳闘武器錬成】

 拳闘(ナックル)が錬成可能になる。


【マルチウェポン】

 錬成武器専用の特殊ショートカットが使用可能になる。



ここまで、僕の作品、


「クリスタル・ブレイド~武器が装備できないけど文句ある??~」


を読んで下さって本当にありがとうございます。


こんなこと書いてますが最終回じゃないですよ笑

まだまだお話は続きます。


本日は、いつも読んで下さっている方へのほんの感謝の気持ちとして、後書きの場をお借りして、

本編では語ることは無い、クエスト『雫を流す者』の裏話を少ししようと思います。


『雫を流す者』には二つのクリアルートが設けてあり、ソウキ達は正規の手順を踏んでいる為、クエスト報酬であるマーテルの杯と騎士の雫を最速で手に入れています。


そのためテュリオスがプレイヤーの中で一番早く、ひとつ上の上級職である【剣士】へと上がるのですが……。


この正規の手順というのは、トリットがプレイヤーを認識した時点で「武器を出しているかどうか」で分岐します。


ソウキとテュリオスはこの時点では納刀しているので見事に正規ルートへと進み、クエスト『呪術師のまじない』の解放と、クエストの報酬を「トリットとの会話」のみでクリアしてしまうという訳なんですね。


ここで武器を出していると、トリットがプレイヤーを発覚した瞬間にエネミー判定となり、トリットとの戦闘になってしまいます。


エネミー判定となったトリットはボスモンスターなのですが、クエストモンスター扱いであるために、案外とあっさり倒せてしまうのです。


そしてここでトリットを撃破してしまうと、倒してしまったプレイヤー全員にはクエスト『呪術師のまじない』は解放せず、クエストの主目標を失った状態で『雫を流す者』の終了トリガーへと接触するまで特にやることもなくクエストは進行していきます。

(このトリガーへと到達出来るのは『呪術師のまじない』と同じ、適正レベル33くらいのどこか。正直ソウキがメインの話なのでぶっちゃけこの辺りは考えてないです。笑)


マーテルの杯や騎士の雫が手に入るタイミングもここになってしまうので、かなりの損になりますね。笑


そしてトリットを倒してしまうともう一つ損になってしまうのがイベント。

接続クエストを最後までプレイすることでしか見られないイベントも、ざっくりですが考えています(そこまで大したものでもないけど、プレイしてくれてありがとう!的なやつ)。


一応、イベントにおけるトリットやノールディの仕掛けも組んであるので、接続クエスト『呪術師のまじない』は適正レベルへと到達した段階で書いていこうかなと思ってます!

頭の隅に置いておいて下さると嬉しいです!笑


長々となってしまいましたが、裏話はこんなところでしょうか。

少しでも楽しんで頂ければと思って書かせて頂きました。


今後とも「クリスタル・ブレイド」を宜しくお願い致します!

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