特殊戦闘職《スペリティアルクラス》
登場人物説明のページで少し出していた、特殊戦闘職についての説明回です。
少しお付き合い頂ければと思います、よろしいお願い致します。
「スピリチュアルクラス? だっけ。なんだ? それ」
昼飯を食ってだいだいの家へと帰って来たところで、突如だいだいが俺に向かって、「そういえば結晶士はスピリチュアルクラスだよな」とかなんとか聞いてきた。
……スピリチュアルってなんだっけ。神秘的、みたいな意味だっけ?
まぁとりあえず、何スカソレ状態である。
「特殊戦闘職だ。知らないのか?」
「うん。しらたき。説明くれ」
「……特殊戦闘職というはだな。読んで字の如く、特殊な戦闘方法を持つ職業の事だ。
例えば俺達のような一般的な職業にも特殊戦闘職は存在する。狩人という職業だ」
狩人についてはプレイングマニュアルにも少し解説がしてあるから知ってはいる。
弓矢と短刃剣を装備することが出来る職業で、一応は遠距離と近距離の両面に対応したハイスペックな職業となっているようだ。
この遠距離ってのがかなりミソで、遠距離戦に対応した汎用職業ってのは現段階では狩人を種とした弓を装備することの出来るツリー職業しかないとの事。
まぁそうだよな。普通に考えりゃそうポンポンポンポン弓矢を射てるならみーんな弓を担いで射ちまくるってモンよ。
そうなりゃ弓ゲーだのもう全部弓で良くねだの、とにかく「弓」という単語でネタにされるゲームに成り下がるだろうな。
(そういえば、弓よりやべぇの持ってたヤツが一人居たな……。チュートリアルに……)
……話は逸れたが、ゲームを始めた段階でのあの種選択闇ガチャで狩人を選ばれなければ、狩人へと転職するのは相当苦しい解放条件に挑まなければならないらしい。
だいだいの説明によれば、狩人はヒーラー職の種である神官に次いで解放条件の厳しい汎用職業だとの事。
なんでそんなに詳しいんだよだいだい。
「特殊、っていうと何が特殊なんだ?」
「まぁ続きは向こうで話そうじゃないか。ログインしたらプレイングマニュアルの職業の項目の最後のページを見てみろ」
と言い残しただいだいUPCへと腰掛け、先に『カラミティグランド』の世界へと潜って行った。
……だいだいから説明を受けた方が楽でいいんだけどな。
「えーなになに……。特殊戦闘職の最大の特徴は、ルーツツリーの全スキル継承にあります。」
……??
ログインしてバリトンへと戻ってきた俺は、だいだいに言われた通りにこうして職業の項目の最後のページを見ていた訳なのだが……。
ちょっとちゃんとは理解出来てない。スキルを継承……??
「だ――テュリオス。ルーツツリーの全スキル継承ってなんだ?」
「……お前はアルマトの話を聞いていなかったのか?」
聞いてなかった訳じゃないんだけどな。
飛ばしちゃった可能性は大いにあるぞ。
「聞いてたっちゃあ聞いてたけど、聞いてなかったっちゃあ聞いてなかった」
テュリオスは肩をがっくりと落とし、大きなため息を吐いた。
「このプレイングマニュアルは、お前のようなプレイヤーの為にあるんだということが良くわかった。
とりあえずルーツツリーの項目を開いておくんだ」
「ほい」
俺はプレイングマニュアルにある沢山の項目の中から、ルーツツリーをタップして開く。
「まずは共通スキルと固有スキルの説明からしていくぞ」
「おん、頼む」
テュリオス講師と俺の一対一立ち講義が始まった。
「共通スキルというのはその名の通り、一度スキルを取得してしまえば縦伸び、もしくは分岐している上級職へと転職しても、ツリーチャートが繋がっていればそのスキルは使える。というスキルだ」
例えばテュリオスに置き換えて言うなれば、剣術士で取得している共通スキルは、剣術士を種とする剣士や騎士といった職業に転職しても使用可能だよ、ということだ。
「ほんほん、なるほど。固有ってのは?」
ここまでの説明をしてもらえれば何となく予想は出来るけど、一応講義は受けておきたいよね。
「共通スキルとは逆に、固有スキルというのは取得したスキルを所持していた職業しか使えない。というものになる」
まぁ、今の話の流れからすればそうだろうとは思っていた。
「ところが、特殊戦闘職というものは共通スキルや固有スキルという概念がまず存在しない。
取ったスキルは全て上級職へと引き継ぐことが出来るんだ。これが全スキルのツリー継承という意味」
プレイングマニュアルにも同じような事が書いてあった。テュリオスの説明の方が簡潔でわかりやすいが。
「へぇ。すっげぇな結晶士」
んま、上級職に上がるのは一体いつになるやらって話なんだけどな。
「……その特殊戦闘職っていうのは、どうやって判別するんだ?
結晶士が特殊戦闘職ってのに該当するのかどうかなんてのは、俺にはわかんねぇんだけど」
「簡単な話だ。特殊戦闘職の基本的な戦闘能力はアイテムの所持数に依存する。
狩人で言えば矢、結晶士ならば錬成石がそれに当たるだろう?」
なるほどな。特殊戦闘職、ね。
「特殊戦闘職については理解出来た。さんきゅーなテュリオス。
さて、お前が上級職に上がれるかどうか見にいこうぜ!」
俺達はここから少し離れた場所にある、職業専用の受付へと足を運んだ。
受付の姉ちゃんにアクセスすると、左下に小さめだがログウィンドウが出現し、そこには『特殊戦闘職に関するプレイングマニュアルの情報が更新されました』と書かれていた。
なるほど、やっぱり情報はこうやって手探りで探していく感じか。
この辺りはチュートリアルの頃からそうだったな。だいぶ優しくはなってるけど。
当然だが転職することなど出来なかったヨ。
転職するまでに必要な錬成回数が全然足りないのだ。地獄。
「そういや、ヴォイドエッジアーミーと戦う直前からスキルを何も見てなかったな。なんか良さげなスキルあっかな……」
俺はメニューを開き、スキル書を使用して何か取れそうなスキルがないか確認してみることにした。
テュリオス(だいだい)が『カラミティグランド』についての情報について詳し過ぎる。
と不自然感を感じた方の為に軽く説明しておきたいと思いますが、
だいだいはこのゲームの開発に一枚噛んでいます。
その辺りも、もう少し話がすすんでくれば描写として出せるかな……と思います。




