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3つの業績《レコード》

本日更新する予定だったものです。

宜しくお願い致します。


5/26。語感を良くするためにヴォイドエッジとヴォイドシールド

それぞれをエッジオブヴォイド、シールドオブヴォイドと書き直しました。

 

 バラバラと身体を構成する部品をこぼしながら、ヴォイドエッジアーミーはその場に崩れていく。


「っしゃあっ!」


 柄にもなくガッツポーズをしてしまう。

 HPがレッドゾーンに入ってからのヴォイドエッジアーミーは、間違いなく意地の悪いボスだったと胸を張って言える。

 こっちの攻撃が入る瞬間を掴むことが出来たからこそ、あれだけ簡単に倒せたが……。


 とにかくこれでフィールドボス、ヴォイドエッジアーミーは俺とテュリオスの二人で倒せたことになる。これは素直に嬉しい。

 テュリオスの方は乱戦だったせいもあって、少しダメージを受けていたが、俺の方はノーダメージだ。完勝だろう。


「見事だな。ソウキ」


 テュリオスは近寄りながら賛辞を贈ってくれた。


「いや。お前がオートボットとゴーレムを全部引き受けてくれたからこそ、アイツとの一対一に持ち込めたんだ。

 レッドゾーンからのヴォイドエッジアーミーは、俺一人だけで挑んでいたら間違いなく倒せなかったろうよ」


 なんだかテュリオスは苦い顔をしているが、「今はボスを倒せたからいいか」とでも言いたげに肩をすくめた。


「早くリザルトを見ようぜ! レアドロップが俺達を待ってる」


 落とす確率は大体決まっているだろうから、レアアイテムがドロップする保証なんて無いんだけどな。

 それでもリザルトが映し出されるこの瞬間までは、ちょっとくらいの期待はしちゃっても許されるだろう。


『 クリアレコード更新のお知らせです。


 ・フィールドボス:ヴォイドエッジアーミーのファーストキル

 ・フィールド:アトラリア砂道のファーストクリア

 ・クリアタイム:アトラリア砂道のクリアタイム47分52秒


 以上のレコードを更新しました。おめでとうございます。』


 チュートリアルリッパーを鞘へと納めた俺の目の前に、リザルトとは違う、こんなテキストの書かれたウィンドウ画面が現れた。


「うおぉっ! 三つもレコードを更新したぞ! やったなだいだい!」


 多分、他のパーティはきっとレッドゾーンに入ったヴォイドエッジアーミーの瞬間移動に苦しめられることだろうな。


 クリアタイムに関しては、今後レベルやパーティ構成が整ってきた頃に恐らく他の奴らに更新されちまうだろうが、ボスのファーストキルとフィールドのファーストクリアは永遠に俺達の名が残る。

 この栄光に少しの間、浸らせてもらいたい所だな


「そのようだな! ……だが俺はテュリオスだ」


 そんな俺の気持ちの良さに割って入るようにテュリオスは声を上げた。

 あーはいはい。ごめんって。

 でもたまーに素が出ちゃうんだって。そこはもう諦めろだいだい。


「もっと喜べよテュリオス。このレコードは俺とお前のモンだ!」


 俺はテュリオスの胸元へと右手の拳を突き出した。


「そうだな……。出来ることなら……。いや、こんなに嬉しいことはない」


 そう言いながら、テュリオスは突き出した俺の拳へと自分の拳を当ててくる。


「んだよ、ヘンな奴だな、気持ち悪いぞー。さ、早くドロップアイテムをチェックしようぜ」


「言ってくれるな。そうだな、戦利品を見ていこう」


 今回の戦闘によって、俺とテュリオスのレベルは5レベルまで上がった。

 多分テュリオスが倒したあの無数のオートボットやゴーレムの分も加算されてるだろうから、経験値自体は結構しょっぱい。


 ただ【拳闘武器錬成】スキルで消費した分のスキルポイントがまるっと返ってきたのはありがたい。


「おっ、スキル書二つドロップしたのか! これはありがてぇ!」


 低級ではあるものの、スキル書が二つドロップしたお陰で、今回の戦闘分での獲得スキルポイントは2レベルアップ分の4ポイントと合わせて6ポイントだ。


「あとはー……。これ……。超レアアイテムじゃねぇの……」


 手に入れたアイテムに思わず息を飲む。

 それは緑ではなく、青いテキストで表示された″エッジオブヴォイド″の文字。

 そしてその上には小さく「No Damage Bonus」と表記されていた。


 これ……。装備出来ないんですよね、多分……。

 まぁいいや、後でテュリオスに売りつけてやろう。


 後は、機械天使の首飾りという、アクセサリを作成するための素材だと表記された素材アイテムが幾つか落ちただけだった。

 残念ながら俺が使えそうなドロップアイテムはスキル書と、アクセサリ素材だけっぽい。


 アクセサリも手に入れた分だけでは作成出来ないだろうな……。そのうちまた戦うことになりそうだ。


「テュリオス、なんか良いアイテム落ち……おぉふ……」


 テュリオスの方へと視線を流せば、先ほど装備していたものとは見違えるほどの大盾を携えているではないか。


「シールドオブヴォイドというのが手に入った。めぼしいものはこれ位だな」


 充分だろ。よし、決めた。エッジオブヴォイドはバリトンに戻ったらテュリオスに譲ってやろう。


『ヴォイドエッジアーミーの持つ直剣を小型化したもの。盾と併せて持つことで真価を発揮する』


 とエッジオブヴォイドの説明に書いてあるからだ。

 防具のシリーズ装備ボーナスのようなものが、剣と盾にも仕込まれてるなんてな。

 どんな効果が発揮されるのか知りたいじゃないの。


「なぁテュリオス。シールドオブヴォイドの説明、読んだか?」


 テュリオスへと笑みを浮かべながら、俺はひとつの提案をしてみることに。


「あぁ、読んだ。これと対になる剣があるらしいな」


「その剣、欲しくないか?」


「まさか、手に入れた、と?」


「ご名答。そこでだ、お前今幾つスキル書持ってる?」


「二つだ」


 お、ボスはスキル書を複数個ドロップする確率が高いのか?


「そのスキル書と、ヴォイドエッジアーミーの素材アイテム。それとショップを使っての交換でどうだ?」


「……そんなんで良いのか?」


「俺は構わないよ。どうせ装備出来ないしな。使えそうな奴が目の前に居るんだから、活用してもらわない手はない」


 因みにアイテムパックを確認してみたら、やっぱりテキストは灰色で装備出来なかったヨ。悲しい。


「……なら、頼む」


「あいよ。 んじゃ、一旦バリトンへ戻ろうぜ」


 エリアの奥には、ここへ来た時に操作したものと同じ、青白い渦がいつの間にか現れていた。

 それに向けて俺は指差した。


 これでショップを使ってお互いに望むものを交換出来れば、俺達はヴォイドエッジアーミーのファーストキルと、アトラリア砂道のファーストクリア。

 そしてヴォイドエッジアーミーからのドロップ品をそれぞれ満足のいく形で手に入れたことになる。


 機械天使の首飾りがどれほどの物かはわからないが、せっかくボスから手に入れた素材で作れる俺の装備出来そうな物だ。

 どうせならコレクションのひとつにでも取っておきたいというもの。

 正式サービスが始まって最初に倒した記念のボスだしな。


 そんなことを考えながら、俺とテュリオスはボスエリアからバリトンを目指すこととした。


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