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剣士(?)二人

2~3時くらいに更新しようと思って書いてましたがなんだかんだ遅れてしまいました。

 

 視界の中が完全に白くなると、今度は視界いっぱいに広がるローディング画面へと映った。

 そこに俺の体やなんやらは無く、左上にBOSS BATTLEとテキストの打たれた、一枚の風景のスクショが貼られている。

 これはどこかのフィールドなのか?


 そしてそんなフィールドスクショ風の画面には、こんなことも書かれていた。


『アトラリア砂道の奥地に住まうのは、近くに居るオートボットとゴーレムを指揮することのできる能力を持つ上位ボット、ヴォイドエッジアーミーだ』


 と。予めどんな敵かヒントをくれるのか。

 どういう攻撃をしてくるとかまではわからないが、エッジアーミーっていうくらいだ。やばそうな(エッジ)を持ってるんだろう。

 因みにアーミーっていうのは、集団とか、大勢とか言う意味を持っている。


 問題は「ヴォイド」の部分だろうな。


 ヴォイドというのは、その大小を問わず、何もない空間のことを言う。

 科学や建築、果ては宇宙にまで幅広くヴォイドという言葉は存在する。


 んま、ちょっとネーミングに警戒し過ぎなのかもしれないな。

 最初のボスだし、そこまで深く考えられて作ってないか。


「なんだ、ここ……?」


 ローディング画面から切り替わり、俺とテュリオスは、何やらとても薄暗い場所へと出てきた。


 アトラリア砂道はニセモノだが太陽も出ている。その為フィールド全体は明るいのだが、それを考えるとこのエリアはそれとは対照的と言える程の暗さ。

 真っ暗ということはではないのだが、上の辺りで僅かな灯りとなっている紫色の文字のような模様のような……。そんなものだけが、本当に僅かな光源となっている。


 というかここどこなんだよ! 上の模様は見上げる位高いぞ!


「アニメによく出てくる、入ってはいけない遺跡の中みたいだな。実に不気味だ」


 姿の見えないテュリオスはそんな怖いことを言い出す。やめろよなマジで。

 まぁ『カラミティグランド』はホラーゲームではないから、そんなやばい奴は出ない筈だ。


 静寂の中に一定期のリズムで鳴っている、「フォン、フォン」という音がまた奇妙だ。早く出てこいよボス。


「……とりあえず、少し進んでみるか」


 微かにシルエットになっているだけのテュリオスへとそう言って、俺は歩いてみることにした。

 恐る恐る歩き出してみると、一歩床を踏む度にかつかつという硬質な音が響き渡る。


 少しだけ歩いていくと、フィィィィィン! という何やらやばそうな音が鳴り響き、床には水色の光が走り出す。


「なんだ!?」


 水色の光は広がっていき、床に描かれた一つの紋章となった。

 演出的にはなかなかカッコいいんだが、ボスの姿が無い分、まだまだ怪奇現象の域を出ていない。


「……わからん。もう少し進めば敵が姿を現すかもな」


 結構近くを歩いていたテュリオスが声を発した。

 正直早くボスが出てきて欲しいんだが。


 ……水色の光によって、このエリアの大体の広さがわかるようになった。教室四つ分くらいか? なかなかの広さだ。

 床に現れた謎の紋章はこのエリアの端から端まで大きく広がっている。


「……出たぞ。奴か」


 それを見たテュリオスは、俺よりも先に声に出していた。


 少し歩みを進ませると、先程よりは落ち着いた音でフィィィィィンとまた鳴った。

 今度は黄色い光で紋章の中に謎の文字が描かれ出され、紋章の中央部からボスらしき者が姿を現したのだ。


 金色に輝く、機械仕掛けの天使のような見た目のそいつは間違いなくボスだ。

 その証拠にそいつの頭上にはきっちり、ヴォイドエッジアーミーと表示もされている。

 右手には体と全く同じ色の直剣(ブレード)を持ち、胸の辺りで構えて鎮座するようにそこに立つ。


「みたいだな。行くか、テュリオス」


 テュリオスと予め打ち合わせておいた手筈通り、俺は槍を錬成してみた。効くかどうかはわからんが火の錬成石(オークラント)製の錬成槍だ。


 顔を合わせ、頷き合った俺達は一斉に突撃する。


 そんな俺達を認識したヴォイドエッジアーミーは、機械らしいぎこちのない動きで迎え撃とうと動き出す。

 オートボットやゴーレムよりはよっぽど動きは早いけど、リザードサイスに比べりゃ全然遅い。隙だらけだ。


「おっせぇっ! そんな動きじゃ楽勝だな!」


 ヴォイドエッジアーミーの剣攻撃を避けながら顔面に突き攻撃を連発。ほどなくして耐久力を失い折れた槍を捨てて、チュートリアルリッパーを引き抜いて攻撃を再開する。


 機械系の敵はどうやら打撃系の攻撃が弱い傾向にあるらしいな。ヴォイドエッジアーミーも殴ったり蹴ったりする方がダメージが多く入る。


「テュリオスッ! 盾で殴れっ! 打撃が効くぞ!」


「了解だ」


 自慢の突き攻撃を連打していたテュリオスだったが、打撃による攻撃の方が効くと理解したテュリオスは盾でのバッシュを攻撃の主軸に切り替える。


 テュリオスからしてもヴォイドエッジアーミーの攻撃は遅いのか、剣攻撃を盾で防ぐまでもなく回避し、盾バッシュをヴォイドエッジアーミーの胴体部へと確実に当てていく。


「んだよ! ヌル過ぎじゃねぇの!?」


 チュートリアルリッパーで攻撃している為、ヴォイドエッジアーミーのヘイトはテュリオスへと向いている。

 実際、俺がガラ空きのヴォイドエッジアーミーの背後から四発五発攻撃を当てて削るくらいのHP量を、テュリオスの盾バッシュは一撃で吹っ飛ばしている。


「油断するなよっ!」


 そう言いつつ、またも盾バッシュの一撃でダメージを稼いでくテュリオス。

 完全にメインのアタッカーはテュリオスとなっているのだ。

 それでもテュリオスの盾は初期装備の筈だから、これは単純に耐性や弱点といった相性の問題だろう。


「わかってるっての! テュリオス、HPがイエローに入る! 行動パターンの変化には気を付けろよ!」


 柄を一応は握ってはいるものの、最早俺はチュートリアルリッパー自体での攻撃を止め、ヴォイドエッジアーミーに対して格闘攻撃しか行っていない。


 ……二人してメインの武器を使わずに殴り続けている。なんだかこんな戦闘でいいのかという感じだ。


 テュリオスの最後の一撃によって、ヴォイドエッジアーミーの体力はイエローゾーンへと差し掛かった。

 堅実なテュリオスは、それを視認するや、一度離脱して距離を取る。それに俺も続いた。


「どうだ? 二人だけでも勝てそうじゃないか?」


「まだわからない。だが……奴の様子がおかしい」


 確かに、テュリオスの言う通りだ。

 動きの(のろ)さや可動のぎこちなさはもちろんの事だが、HPがイエローになった瞬間から、ヴォイドエッジアーミーの動きは停止している。


 流石にコイツとは初戦ということもあって、離れて様子を見ている。

 動き出した瞬間近くに居る敵に対して即死攻撃、とかやられてもシャレにならないからな。


「なるほど、やっぱそういう感じで来るか。テュリオス、コイツのレッドゾーンはやばそうだぞ」


 嫌に(のろ)いと思った動きにはちゃんと意味があったみたいだな。

 動き出したヴォイドエッジアーミーは、機械で出来た自らの身体(パーツ)の一部を排除(パージ)していく。


「俺もそんな気はする。……だが、不思議と負ける気はしない。負けたくないだけかもしれないがな」


 なんだか妙にキザったいけど、言ってくれるじゃないのだいだい君。じゃあ、どんな手を使ってでも勝つしかないよな。


「第二ラウンドだ。行くぞっ!」


 チュートリアルリッパーを「左手の」逆手に構え、未だ戦闘準備中のヴォイドエッジアーミーへとその刃を向ける。


 余計な肉を削ぎ落としたヴォイドエッジアーミーは、ちょっとだけスリムなフォルムになってこっちに向かって来る。

 その動きはまだ少し遅めではあるが、確実にさっきよりも滑らかなものとなっていた。


「あぁっ! 行くぞソウキッ!」


(すまんテュリオス、ちょっと遅れて行くわ)


「こんなことも出来るんだぜ? 卑怯だとは思うなよ? ガラクタ野郎」


 俺はチュートリアルリッパーを抜いたままショートカットから錬成を行い、右手に短刃剣(ダガー)を装備した。


「……ちったぁマシな動きで俺と踊ってくれや」


 左手にはチュートリアルリッパー。そして右手には錬成武器。


 二つの異なる短刃剣(ダガー)を逆手に握り、俺はテュリオスの後を追いかけるようにヴォイドエッジアーミーの元へと突っ込んで行く。


次回にはヴォイドエッジアーミーと決着に出来るかな~、とは思います。



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