1ヶ月かかったレベルアップ
あ、1ヶ月かかったってのはチュートリアル期間から数えてです。
5/22。22時頃にゴーレムについての描写を少し書き足しておきました。
「おっ。レベルアップしたぞ!」
リザルト画面にはレベル2になったことを知らせるテキストが記されていた。
よしよし、まずは使った分のスキルポイントがちょっとだけ戻ってきたことを喜ぼう。
「よし、これで【閃撃の閃き:Ⅰ】が取れるな」
テュリオスはそう言いながらメニューを操作し出す。声がちょっと嬉しそうだった気もするな。
「どんなスキルなんだ?」
「突き攻撃の威力が上がるスキルだ。武器のリーチを最大限に活かすなら、盾で敵の攻撃を弾きながらの突き攻撃が一番堅実だろう?」
そういえばだいだいって、ゲームにおいては手堅いプレイングを好む奴だったっけか。
俺もディランも、だいだいのそういうプレイングを「つまんねぇ戦い方」ってよくバカにしてたっけ。
だが自分の性格に合ったスキル構築を組んでいくのはとても大事な事だ。今でこそ、そう思えるんだけどな。
「進むぞ? 準備はいいか?」
「あぁ、問題ない」
テュリオスはメニューを閉じ、先へと進む俺の後を続いて来る。
エリアボスを目指しても良かったが、まずはこのフィールドのヌシであるフィールドボスがどれほどのものかを見たいじゃない。知りたいじゃない。
「んー、んー、んんー。んー、んー、んんー、なーいてばかりいるコットちゃんーっとぉ」
俺は道中の迫り来る雑魚モンスターを蹴散らし、気分よく鼻歌交じりに歌を歌いながらテュリオスと共にフィールドのマップを埋めている所だった。
ここのフィールドはアトラリア砂道という。
気にしてみないとわかりにくいが、HPゲージの上に地味に現在地名が表示されるようになった。
ここのフィールドには草木と言えるものは全く生えておらず、ひたすら続く砂と石と砂利で出来た区画が、同じような小道に繋がれて出来ている。
正直ミニマップを見ながらじゃないとバリトンまで帰れないんじゃないかってくらい、似たような作りの区画と小道がどこまでも続いているような感覚。まるで砂道の迷路だ。
そんなアトラリア砂道に住まうモンスターは、オートボットとゴーレムしか居ない。
オートボットは打撃攻撃が弱点のため、打撃ダメージを与えてやれば簡単に倒せる敵なのだが、問題はゴーレムの方。
ゴーレムっていうと、岩でできた人型のモンスターを想像するかも知れないが違う。
岩ではなくて、機械でできた人間って感じの見た目をしている。
ただこいつもオートボット同様、砂を被っているせいで動きは良くない。
しかし体力が多く設定されてるのか、なかなかタフなモンスターだ。もっと楽に狩らせてくれ。
ぼやきたくなる程にはどちらも斬撃や刺突による攻撃が効きにくく、殴ったり蹴ったりするのが一番ダメージを与えられる。
この二体に対して一番高いダメージを与えられるのがテュリオスの盾攻撃である。
もう少し手持ちの錬成石とスキルポイントに余裕があるならば、【拳闘武器錬成】のスキルを取ってモンスターを殴り散らすのも爽快そうなんだけどな。
「こわいー椿ちゃん。怒ってしまってんー、んー、んんー。んー、んー、んんーっとぉ!」
自分で歌っててひっでぇ歌だとは思うが、そんなことは些細な問題。
「真面目にやれ。ソウキ」
なんだよテュリオス。人が気持ち良く歌っているのを邪魔するなよな。
まぁいいけど。今の俺はすっげぇ気分が良い。
なんでかっていうと、このフィールドはオートボットの出現率がかなりいいからだ。
オートボットが多く出現するということは、錬成石を大量確保する大チャンスだということ。
手近に俺の求めている錬成石を落とす敵が沢山居るともなれば、ただ狩りをするだけでもちょっとばかし、他のモンスターとは違うテンションを持って狩れるってモンよ。
「ん? なにあれ」
そうやってアトラリア砂道突き進んでいた俺達の目の前に現れたのは、渦を巻いているような青白い光。
まだ少し遠目に見える程度のものだが、なんとこのフィールドにミスマッチな光景を生んでいることこの上ない。
間違いなくあの光の中にはレアなアイテムだったり、ボスが居たり、あるのならばイベントが起こったり、何かがあることは明白だろう。
「わからん。近付いて行ってみるか」
「なんだテュリオス。ちょっとワクワクしてんのか?」
俺はテュリオスに向けて、ちょっと意地悪くからかってみた。
「そんなことはない。だがあの場所に何かがあるのは確かなこと。それであれば、何があるのかをこの目でしっかりと確認しなければならんだろう?」
なんだよ。やっぱりワクワクしてるんじゃないか。
まぁ、こんなゲームをやってる時点で、非日常な何かを求めてしまう探求心があったり、日常に何かしらの不満や満たされぬ欲求を抱えてるってことだろう。
俺か? 俺はトーゼン、面白いからやっている。それ以上でもそれ以下でもない。
ただただひたすらに強さを求めて戦闘しまくったり、その戦闘の為のスキル構成を熟考するのもアリ。
レアなアイテムを落としそうな敵が目の前に居たら、迷わず挑む。そいつに勝てるかどうかなんてのを考える時間すら惜しい。
そんなことを考える位なら、さっさと突っ込んで勝負を挑んだ方が情報を掴むのが早ぇからだ。
それでそいつに勝てなきゃ、勝つ為の戦術を組む。戦い方が悪いのか、火力が足りてないのか。
どこかに勝つための要素がほんの僅かに隠れてないかを探すのも全然楽しい。
その見つけた隙を全力で攻めに行く為の装備、武器の相性を探してフル攻略装備を以て再度挑む。
そこに至るまでの過程すらも楽しんで、強敵を倒した時の達成感までをも深く味わう。
その中に誰かと競い合う要素でもあれば尚、楽しめるな。
やっぱりゲームってのは泥臭く他の奴と見栄を張り合うモンだと俺は思ってるからだ。
所詮はお遊戯。
だからこそ、楽しめる部分はフルに楽しませてもらって、勝った負けただの、俺の方がアイツの方がってみっともなく喜んだり、悔しがったりしながら楽しめるこの遊びは良いものだと俺は思う。
「んじゃ、行くか。何が起こってもいいように心の準備だけはしておけよ」
右腕の拳を握り、左右の手首にあるショートカットに登録されたものを確かめる。
俺の方は問題ない。今回はボスに遭遇したら、盾持ちのテュリオスが前衛を務めてボスの攻撃を引き受けてくれる。
俺は槍でちまちまと削りながら、大きな隙を見せようものならば手斧を錬成してその重たい一撃でも与えてやればいい。
……あれ、案外とボスも二人だけで倒せそうじゃないか?
「問題ない。行くぞ、ソウキ」
お、珍しい。テュリオスが俺の先を進んで行こうとするなんて。
テュリオスに先導されながら、俺は目の前に続いている道のぽつぽつと湧いているモンスターの内、オートボットだけを潰して青白い光の元へと突き進んで行く。
もちろんテュリオスも、オートボットへの攻撃には加勢してくれた。
流石はレア武器。チュートリアルリッパーを握っている間は、テュリオスの方が火力は段違いに高い。
「よし、着いたな。……どうやらこの光にアクセスするのはパーティリーダーでなければ出来ないらしい」
俺よりほんの数秒先に、青白い光の元へと辿り着いたテュリオスはそう言うと、ブルーウルフサーベルを鞘へと納め、光の正面を空けてくれた。眩しい光だな。
チュートリアルリッパーを納刀するといつもの如くリザルト画面が現れた。
今の戦闘で俺達のレベルは3になったらしい。
「なるほど、俺が操作するのな。行くぞ? テュリオス」
とりあえずレベルが上がったから何か取得しておくスキルもあるんじゃないかと思い、俺はテュリオスへと最終確認をした。
「あぁ、頼む」
特に何もないのか、テュリオスの準備はオッケーみたいだな。
腰くらいの高さまで伸びる光へと近付いていくと、俺の目の前には[支配者に挑む]というアイコンが表示された。
光は何て言うか、渦を巻いているけど、その光自体は地面に入った不自然な亀裂から溢れ出てきているような感じ。
なるほどな。絶対にこれはこの先にボスが居るパターンだな。アイコンにも支配者って書いてあるし。
気合いを入れて俺はそのアイコンに触れてみた。
その瞬間、青白い光の渦は突然にその範囲を広げていく。
俺のすぐ後ろに居るテュリオスの元まで光の渦が届いた時、俺の視界は徐々に白くなっていった。
仰々しい演出だけど、嫌いじゃないよ。
これから始まるボスとの戦闘。その興奮と緊張感を高める演出であるなら尚更、ね。
今日、ランキング作品読み漁ろうと思ってたら、92位にこの作品が入ってました。
13Ptとか少ないやん! 92位とか低っ! とか言うのはやめてくださいね笑
明日にはもうランキングには入ってないと思うので、少しだけ悦に浸らせて下さい笑
日付が変わって、深夜の2時から3時くらいにも更新したいと思ってますので是非に!
活動報告の方にも書いておきましたが、読んで下さった方、ブクマ付けて下さった方、評価入れて下さった方
ありがとうございます(゜ロ゜)!