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アルマトと"未来"

だいぶ更新サボってさーせんでした。

リアルでちょっとショックな事があり、へこんでいたのですが、約2週間も更新を空けていたことに驚きを隠せない磯山です。


多分立ち直ったと思うので、明日から少しずつ更新していきたいと思いますので宜しくお願い致します。

 

 ――まずはソウキに、これをプレゼントしなきゃね!


 ……セイやキヨムラ達とパーティを組み、黒雷虎・バルサザークと戦闘を行うほんの少しの前。


結晶の籠檻(クリスタリウム)』での、アルマトとのやり取りだ。


「これは?」


 姿無きアルマトの声と共に、俺の右手の手の平の上で発光が起きる。


 ――言ってしまえば武器の素材だね。結晶士としてこれから戦っていくソウキにとっては、凄く凄~く大事なアイテムだよ!


「そうなのか。そんなモンをくれるなんて、このゲームのラスボスとしてどうかしてるぜ。アルマト」


 ――まぁそう言わずに。僕が関わってるか関わってないかの差こそあるものの、ユニーク職の皆には、こうしたソロ専用のイベントが仕組んであるんだよ。


 ユニーク職のソロ専用イベント、ね。

 俺が今パッと頭に浮かんだのは、コットの事だった。


 アイツは一人でフィールドに出る事はそう無いだろうから、イベントを踏む機会が極端に少ない。


 ただ、こういったものがあると確定した以上、なんとか説得して、コットには一人でフィールド探索をしてもらう必要があるな。


「そのイベントってのは、俺みたいに職業(クラス)自体を強化するものになってるのか?」


 ――そうだね! 基本的には、職業(クラス)の持つ弱点を埋めるようなお助けアイテムを手に入れたり、上級職に上がるものだったり、スキルを手に入れたり。大方はそんな感じかな?


「ずいぶん破格なんだな、ユニーク職ってのは。その内批判を買いそうだ」


 ――そうでもないんだなぁ。既にこの『カラミティグランド』のデータには組み込まれてるから、後はアップデートが入るだけで実装されるんだけど、その実装される職業(クラス)に関連した全ては、一般職プレイヤーにだけに向けられたものと言っていい。


「つまり、どういう事だ?」


 ――今は良くても、ちゃんと職業(クラス)を育てていかないと、どんどん戦闘力的に一般職プレイヤーに置いていかれちゃうのさ。ユニーク職ってのはね。


 なるほどな。ゲームにおいて、パワーバランスというものは大事だ。


 ユニーク職だけが優遇されてたらそれは単純に、一般職のプレイヤーの『カラミティグランド』へのプレイ意欲の低下に繋がっちまうからな。


 ――この先、一般職には出来てユニーク職には出来ない事がどんどん増えてくる。だからこそ、チュートリアルでの(ルーツ)選択も、実はランダムじゃなかったって訳。


「お? 誰にも言えない裏話ってか?」


 ――そうなるかな。……これから僕が話す事をしっかりと聞いて、忘れないでいて欲しい。そして、それを誰にも言わない事も約束して欲しい。


「なんだよ改まって。約束する事は出来るが……」


 ――その言葉、信じてるよ。僕が選んだ【均衡者(バランサー)】だからね。


「……【均衡者(バランサー)】? ってなんだ?」


 ――そっか。まずはそこから説明していこう。ユニーク職にはそれぞれに僕が決めたテーマがあって、その裏側には『カラミティグランド』での役割も決まっている。ユニーク職の人選をしっかりと選べば、その職業(クラス)IDを持つプレイヤー達が引退でもしない限り、『カラミティグランド』の世界が乱れる事は無いと僕は思ってる。そして、結晶士のテーマは"無欲"。役割は【均衡者(バランサー)】。ここまでは、今の説明で理解出来た?


「まぁ、なんとなく?」


 ――よし、なら続きだ。役割とは言ったけど、特にやって欲しい事とかは無いんだ。そこに存在しているだけで、ソウキは【均衡者(バランサー)】という役割を果たしてくれている、ってイメージかな。


「質問、いいか?」


 ――どうぞ!


 なんだか、初めてアルマトと言葉を交わした時を思い出すな。


「お前は、何の為にこうしているんだ?」


 ――というと?


「いや、お前はこのゲームのラスボスなんだろ?こうして俺とそんな裏話をしているのは、どうしてなんだろうなと思って」


 ――うーん。AIの僕がこんな事を言うのはとってもおかしな事に感じると思うし、信じてもらえないとも思うんだけど、僕は未来(ゆめ)を視たんだ。


未来(ゆめ)?」


 ――多くのプレイヤー同士が、楽しむとは全く異なる感情で戦い合う姿を。そこには悲しみや憎しみ、怒りといった、負の感情に突き動かされて戦いに臨む者が多く見えたのが、とって印象的だったかな。


「なんつぅか、突飛な話だな」


 ――それが本当に起こるのかどうなのかって所はそんな大事なポイントじゃない。大事なのは、僕はこのゲームを楽しんでくれるプレイヤーと本気で戦いたいって事。そんなプレイヤーに、僕は倒されたい。おめでとうという気持ちで、盛大にドロップアイテムを贈りたい。


「お前、超ヘンなAIだな」


 ――僕もそう思う。だから、その為に今プレゼントした素材アイテムと、今すぐとはいかないけれど、僕へと続く"最後の扉"を開く為の(スキル)を、ソウキに託したいと思う。


「待て。それってその(スキル)を俺が取って使わない限り、誰もお前に挑めないって事だろ?」


 ――うん、そうなるね。


「それは、不平等(アンフェア)ってモンだろ」


 ――流石は【均衡者(バランサー)】だね。本当にソウキを結晶士にして良かったと思ってるよ。だけどこれはとっても大事な事だから、僕のわがままと思って(スキル)を受け取ってくれないかな。


「……少し、考えさせてくれ」


 ――今すぐに答えを出す必要は無いよ。『結晶の籠檻(クリスタリウム)』は全てのフィールドにある。いつでも僕とこうやってお話は出来るからね。


「ん?全フィールドにここがあるのか?」


 ――もちろん。それぞれのフィールドで『結晶の籠檻(クリスタリウム)』と僕が、プレゼントを用意してソウキを待ってるよ!


「まじかよ……。まぁいいや。とりあえず次会うのはプルトガリオ渓谷だな。

 そん時までには、答え出しとくわ」


 ――うん、良い返事を待ってるよ! それじゃあまたね、ソウキ!


 ……そして俺は、この時アルマトから貰った"錬魔錬晶鉱石"という素材アイテムをチュートリアルリッパーへと掛け合わせ、カスタムで"錬魔剣クリスティアペイン"という武器を事前に作っておき、今回の(タワー)ダンジョンの攻略に臨んでいた。


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