"b"
「フィルに椿にー……、お! コットも居るのか」
ログインして早々、三人からメッセージが届いていた。
フレンドリストを開いてみると、セイもオンライン状態となっている。
『セイ、今どこに居る?』
ひとまず俺は、セイと合流するためにメッセージを送った。
メッセージ通知の位置も教えておいた事だし、少し経ったら返信は来るだろう。
『アトラリア砂道。』
セイからはすぐにメッセージが返って来た。
『門の所まで来れるか?』
『b』
「……ビーってなんだ??」
まぁいいや。とりあえずセイとの合流は出来そうだし、bについては会った時にでも聞けばいいか。
次は、椿とコットの二人からのメッセージだ。
『コットちゃんと一緒に宿にいるわ。』
『ログインしたら、椿さんにメッセージお願いします。』
まぁ予想はしていたが、コットと椿は二人一緒に居るみてぇだな。それなら連絡は楽だ。
『ログインした。次に俺からメッセージを送ったら、パーティに招待してくれ。』
まずはセイと合流して、これからする事を簡単に説明してから宿に向かいたいからな。
……今更だが、招待を受けた側のパーティは、その招待を承認する事で、組んでいたパーティごと招待を出した側のパーティに入れるから、この辺りすげぇ楽というか、便利に感じる。
『わかったわ。』
椿からは了解の返事が返って来ていた。
後は、フィルからのメッセージか。
『皆で昨日訓練してた場所にいる。』
なるほど。四人でフィル達の元へと向かえば、合流はスムーズにやれそうだな。
フィル達の方は全員ログインしてるみたいだし、残念ながらダンジョンの下見には行けそうにないな。
その代わり、訓練は昨日の続きからちゃんとやってやれそうだ。セイも居る事だしな。
これでひとまず、レベッカに文句を言われる事は無くなった訳だ。
『わかった。少ししたらそっちに行くから、そのまま待っててくれ。』
「おし。後は、全員と合流するだけだな!」
メニューを閉じ、まずはセイと合流すべく、俺はアトラリア砂道へと続く門まで向かう事にした。
「遅くなった」
俺が門に着いてから五分程。
アトラリア砂道で、エーテルソードの試し切りをしていたであろうセイがやって来た。
「よぅ。そうでもねぇぜ、セイ。新武器の調子はどうだ?」
「絶好調。今の僕に敵は無い」
「マジか。言うねぇ」
「それくらいの性能してる。それよりワギ、わざわざ呼び出すって事は、何か用事?」
セイはディランの次に、俺の事をよく知っている男だ。
こういう場合での察しの良さは、非常に助かるというもの。
「おぅ。ダンジョンの攻略だ」
「結構、ガチなやつ?」
「まぁ、そうとも言える。それはそうと、メッセージで送ってきた"b"ってなんだ?」
「……ワギって絵文字とか使わなそうだよね」
「確かにその通りだが」
全く気にした事は無かったが、言われてみれば俺は、普段メールやメッセージのやり取りで、絵文字や顔文字なんかの類は使わないな。
「"b"ってのは、グッドとか、オッケーとか、そんな意味。
文字が親指を立てた拳みたいに見えるでしょ?」
「そんな風にも見えるな」
「よく使うから、覚えておいて。で、早速ダンジョンに行く?」
「その前に、お前に会わせたい奴らが居るんだ。まずはそいつらと合流しよう」
「わかった」
メニューを開き、椿にメッセージを送る
『待たせた。そっちに行くからパーティに招待してくれ。』
直後に椿からパーティ招待が届いた。
[承認]をタップして椿リーダーのパーティへと加入し、二人の位置がわかるようになった所で、俺はセイを引き連れ、椿とコットの待つ宿へと向かった。




