戦闘訓練……?
更新サボってさーせんした。
後書きにちょろちょろと。
全ギルドによる、ダンジョン攻略戦。
似たような規模のものであれば、つい先日にエクストリームボス、血塗られし人造神機・アトラフィとの急襲戦があった。
まぁ、後半でアトラフィを殴ってたのは俺とエルドだけだったけど。
それでも、逆に言うなればユニーク職が二人掛かりだったとはいえ、たった二人でも削り切れる程度のボスではあったという事。
恐らく、アトラフィをあの場に居た全員で囲んで押し潰してしまえば、もっと手早く簡単に倒せたかもしれないな。
刀導禅の口振りからするに、そんなアトラフィ戦よりも、更に激しい戦いが待っていそうな感じがするぜ。
「とりあえず、他のギルドマスターとの話し合いが一通りまとまってから、攻略についての話を進めていく事としよう」
「あぁ。そうするとしよう。把握しているだけのギルドマスターとのコンタクトが取れたら、一度連絡をする」
「頼むわ」
ひとまずはこんな所で刀導禅との話は落ち着き、俺は急いで椿とフィルの二人の元へと向かった。
「ん、来たわね」
「遅かったね」
リクと刀導禅との話を終え、安全エリアへと戻って来た俺を、二人は文句一つ言わずに迎えてくれた。
「待たせて悪かった。……仲良くなれたか?」
「ご期待に添える程かはわからないけど」
「ばっちり」
まぁ、フィルがこう言ってるならよっぽど大丈夫だろう。
「そっか。なら良かったぜ」
「さっきは気付かなかったけど、あんたその右手の武器……」
お、鋭い椿ちゃん。
「あぁ。昨日の夜中にボスと遭遇してな? そん時の戦利品だよ。かっけぇだろ」
俺は宝雷剣・バルサを鞘から抜き、椿へと見せてやった。
「雷、属性?」
宝雷剣・バルサの刀身に走る、青い電流が見えたっぽいな。
「そ。宝雷剣・バルサってんだ」
「へぇ。良さげな武器なのね」
「俺にしてみればな。テュリオスの武器と比べると、火力的にはかなり落ちるかもだけど」
「まぁ、攻撃力が全部って訳じゃないでしょ。
というか、またボスと戦ってたのね」
たまには良い事言うじゃないの椿ちゃん。
と前半までは思ったが、後半の呆れ様が酷いぞ。
「ボスはたまたまだ。……さて、フィル。お願いしたい事ってなんだ?」
横から椿の「どうだか」という声を無視して、フィルの言葉を待つ。
「戦闘訓練」
「え?」
「戦闘訓練」
「いや、聞こえてるよ……」
そういう意味で聞き返したんじゃなくて……。
「なら、お願い」
「……なんで俺なのか聞いてもいいか?」
「強かったから」
……今この瞬間にでも、命の火が消えてしまうかもしれないってのに、こんな所で残りの命を使っちまっていいのか?
なんてのは、椿の前じゃ聞けねぇ。
(くそ……。兄貴も兄貴で、フィルの事丸投げにしやがって……)
「他にも、強くして欲しい友達が居る。宿に集めた友達を呼んで来るから、少し待ってて」
俺の考えなど露ほど知らぬであろう、フィルが今度はバリトンの町の中へと入って行ってしまった。
……仕方ない。ひとまずフィルの事は置いておこう。
置いてる間に事が起きてもアレだが、タイミングは見計らってやらないとな。
「……今度は俺と二人だな」
フィルの事を考えるのを止めた訳じゃないが、ちょっと気が滅入りそうだ。
椿との会話で、色々を紛らわそうと思う。
「そうね」
「あぁそうだ。今度のイベントさ……」
″イベント″と発した瞬間、椿のひんやりとした視線が俺を捉えた。ような気がした。
「うん。イベントがどうかしたの?」
次の瞬間には椿の視線は、宙を眺めていただけだった。……気のせい?
「二人の歌姫って書いてあるのが見えたからさ。
椿の職業も歌姫だし、もしかしたら何か関係あったり……。とか思ってな」
「あるわよ」
「あんの!?」
「……うん」
そう返事を返した椿は、どこか元気が無さそうだった。
「そっか。歌うのか?」
「うん。歌う」
「……もしかして嫌だったりするか?」
「イヤじゃないわ。なんていうか、不安なの」
「不安?」
「緊張もあるし、プレッシャー……なのかな。そういうのも感じてるし……。
とにかく気分が落ち着かないの」
「俺に何か答えを求めても、残念だが俺は椿に何も答えてやれない。
でもだからこそ、椿は椿が今まで積み上げて来たものを信じてやれば、それが結果に繋がると俺は思うぜ」
「うん。わかってる」
「椿の歌、ちゃんと聴いてるからさ。お前も最高の歌を聴かせてくれよ」
「……うるさい」
あれ。俺ちょっとくれぇは良い事言ったと思うんだけどな。うるさいとはまた酷い。
まぁでも、その言葉を言った直後に椿が見せた、ちょっとだけの笑みに俺は、気恥ずかしさを殺しながらでも言って良かったかな、とは思ってる。
「あれ。ソウキさんじゃないですか」
聞き覚えのある声の元へと視線をやると、そこにはディンとミリーが居た。
「よぉお前ら! ん? もしかして会って欲しいプレイヤーってのは……」
ディンとミリーは、人差し指をフィルの方へと向けて見せた。
「あっ、そういう……。はっ!」
そして、フィルの後ろに居たプレイヤー。
俺はなんだか、久々にそいつに会えたのが嬉しくて、ついつい駆け寄って行ってしまった。
「っははははははっ! 久っっしぶりじゃねぇか! 元気にしてたか? レベッカ!」
以前、チュートリアル期間で一瞬だけ遭遇した、銃を持ったカウガール風プレイヤー、お宝3ッ939¥¥。愛称はレベッカだ。
チュートリアルの頃と、何一つ変わっちゃいない装備にすら感動するぜ。
レベッカのハットをわしゃわしゃしてやる。
「んえぇい! そうぞうしぃ!」
レベッカは銃を抜き、初めて出会った時と同じように俺へと一発、撃ってみせた。
チクショウまた撃ちやがったなコイツ!
ドエラい発砲音が安全エリアに響き渡るが、安全エリアであるが故に俺は無傷だ。
「っへへ。悪ぃなレベッカ。元気にしてたか?」
「ふんっ! 私はいつでも元気なのだ!」
「そうかいそうかい。それでフィル、訓練したいのはこれで全部か?」
「うん」
四人か……。剣士職のディンとミリーは何とかなるかも知れないが、フィルとレベッカはどうやって訓練してやればいいか……。
「椿、ちょっと手伝ってもらってもいいか?」
「まぁ、いいけど」
「とりあえず、場所を変えよう。
人気の無さそうな所まで行って、そこに居るモンスターを倒したら訓練を始めるとしようか」
反対の意見は無かった。決まりだな。
「おし。それじゃあまずは、適当に進んで行きますかねぇ」
戦闘訓練なんていう妙な目的にはなったが、ひとまず俺達六人は、人の来なさそうな拓けた場所を確保する為、アトラリア砂道の奥へと進む事とした。
予告、1章を一旦消します。
消します、という言い方は良くないですな。
チュートリアル期間に少し仕込みたい事が出来たので、一度消させてもらって、少しの改稿を加えた後、過去エピとして一気に投稿するカタチとなります。
それに当たり、「クリスタル・ブレイド」本編は2章からのスタートとなる訳なのですが、こちらも一時的に無くなるであろう1章に合わせて少し手を入れます。
物語の大筋が変わる訳では無いので、読み返して頂けると嬉しい限りですが、恐らく変化した部分に気付かない程の手入れになりますのでご安心下さい。
つきましては、月末迄に2章からスタートする分の「クリスタル・ブレイド」を、セルバンテスさんの方で先行公開させて頂きます(単純にコンテストの関係です、申し訳ないです)ので、そちらも読んで下さるとめちゃくちゃ嬉しいです!
まだまだ7章以降もソウキ達の冒険は続いていきますので、暖かく見守って下さればと思います!
今後とも「クリスタル・ブレイド」を宜しくお願い致します!




