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気付いてたんなら言ってくれよ!!

 

 ユーティスの真上を浮遊していたマントは、ゆったりとユーティスの背中へと回り、マントがマントたる位置へと赴いた。


「……動かないな」


「うん」


 だが当のユーティスはというと、動きを見せる気配がまるで無く、その場に静止しているだけ。


「とりあえず、攻める?」


「だな。残りのHPは四割。二人で行けば倒せるだろ」


「じゃあ、先に行く」


 そう言ってセイは、ユーティスへと突っ込んで行ってしまった。


「ったく……。攻め急ぎ過ぎだぜ」


 俺もセイの後に続いて、ユーティスへと攻撃を仕掛ける事に。


「ん? あれは……」


 ユーティスの間近まで近付いたセイの近くで突如、テニスボール台の大きさの黄緑色の球が幾つも現れた。


 ソイツはふよふよと上下に揺れながら、いかにも「触れたら危ないよ!」とでも言っているかのように、電流をその身に(まと)わせながら浮遊している。


「なっ!あんなのどーすんだ!?」


 電撃の球に気付いて足を止めたセイは、別方向から攻撃を加えようとユーティスの周囲を一周した。


 ……が、結果としてはその電撃の球は、ユーティスの身を守るかのように、ユーティスを中心とした周囲に次々と出現した。


 現れた電撃の球の数自体はそこまで多いという程では無いが、ユーティスへの攻撃を阻む為のものというのであれば、充分事足りる数ではある。


「あれに当たったら痛そう」


「これが、奴が動かなかった理由か。とりあえず、一つ触ってみるぜ」


 ユーティスが動かないのを良い事に、俺は電撃の球へと触れてみた。

 バチッと音を立てながら、電撃の球はスパークを起こして消えていった。


 その瞬間、ユーティスの周囲を浮遊していただけの電撃の球が、一斉に俺とセイへと追尾するように迫って来た。


 ……そこで、俺は肝心な事に気づく。

 先程のバルサザーク戦で受けた、帯電状態の解除をし忘れていた事に。


「うぉぉやべぇっ! アレ斬れるか……? 斬れねぇっ! クッソぉぉおっ!」


 迫って来る電撃の球を斬り落とそうと、武器を振るってみたものの、何の反応もなく普通に俺は全ての電撃の球を喰らった。


 何発喰らったかはわからないが、俺のHPは今ので半分の所まで削られてしまった。

 セイも同様に電撃の球を喰らい、HPを減らしている。


 通常は状態異常にかかった場合、その状態異常に対応したアイテムを使用するか、一度バリトンへと戻る事で解除出来る。


 ……が、俺達はキヨムラ達を送る時、安全エリアまでしか行っていない。


「チクショウ……。かなりの痛手だな」


 確か、状態異常時にその状態異常の元となる属性でのダメージを受けた場合、そのダメージの威力が上がった筈だ。


 俺はHPの自動回復量が、帯電状態での継続ダメージ量を上回る為に気付かなかった。コイツはやっちまったぜ。


「……?」


 俺はふと、セイのHPゲージを見て疑問が沸いた。

 セイのHPが七割も残っているのは、どうしてだという疑問。


 セイには黒雷虎・バルサザークからのドロップ装備によって、帯電状態にかからなくなり、雷撃属性ダメージを少し軽減してくれる装備限定スキルが備わっている。


 だとしても、セイは帯電状態となっていた筈だし、装備している防具全体の性能を考えても、俺よりセイの方がHPが残っているってのは変じゃないか?


 ……いや、これはそもそもの話だが、セイは帯電状態がずっと続いていれば、帯電状態の解除方法だとかを聞いて来る筈だ。


 ……そして更に言えば、セイのHPゲージの横には、帯電状態を示すアイコンが無かった。


「ねぇワギ、一つ聞きたいんだけど」


「なんだ?」


「なんで状態異常、治さないの? 回復アイテム持ってないの?」


[命の雫]を使用したのか、HPを回復したセイがしれっと、そんな事を言うのであった。


「……気付いてたんなら言ってくれよ!!」


「いや、なんか意味があるのかと思って」


「ねぇよ! セイはいつの間に帯電状態治してたんだ?」


「さっきのボスを倒してすぐ」


「尚更言ってくれよ!!」


「わかった。これからは言うようにする」


 溜め息を溢し、「そうしてくれ」と言う頃には、既にセイは再度ユーティスへと攻撃する為に突撃を開始していた。


 ……ったく。しょうがねぇ奴だな。


 俺は炎上、凍結、帯電を解除する事の出来る、アンチエレメントというアイテムを使用し、帯電状態を治した。


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