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仕掛人の二人(テュリオス視点回)

あとがきにちょろちょろと。

 

「――久々の柏木はどうだった?」


『なんだか、憎らしいくらいにあの頃と変わっていなくて、ちょっと安心しました』


「そうか。この為だけにひと芝居を打ってくれて助かるよ。頼んでいた事は柏木に伝えてくれたかな?」


『完了しています。リーグ設立と、ディランの事』


「重ねて感謝する。柏木には、今後も少しずつ情報を開示していって構わない」


『わかりました。ところで、リーグではこのキャラクターを使用するのですか?』


「そのつもりだが……。何か不満はあるか?」


『いえ、ユニーク職業(クラス)を扱う俺の方は問題ないのですが、汎用職業(クラス)の連中がどう思うのかと……』


「それについては問題ない。対人戦(PvP)に限った話では、ユニーク職業(クラス)と汎用職業(クラス)ではそこまで性能面での差は無い。

 寧ろ、アップデート後はユニーク職業(クラス)の方が苦しい戦いを強いられるかもしれないな」


『パラ化、暗黒化システムですね』


「あぁ。汎用職業(クラス)にこのシステムが組み込まれた時、ユニーク職業(クラス)陣がどう立ち回るか」


『その時点でも特に変わり無く、普段通りになんとかなりそうなのは、″8人目″くらいなものでしょうね』


「いや、″魂従士″も居る。あの()職業(クラス)は、そっち方面に特化しているからな」


『あぁ、彼女もそうでしたね。……なんにせよ、面白い事になって来ました』


「そう思ってくれるか?」


『もちろんですよ。ここまでのボリュームに富んだゲームなのに、実はたった一人のプレイヤーの為だけに様々な要素が仕込まれているんですから。

 それを考えると、余計に面白いですよ』


「……苦労したよ、本当に」


『その苦労は、必ず報われると思いますよ』


「そうでないと困る。今後とも宜しく頼むよ、須藤君」


『任せて下さい。柏木とディランは、俺達にとっては夢そのものです。

 それをもっと追いかけていたかった、俺達の理想を拾ってくれたせめてもの感謝として、貴方と柏木の約束を果たす為にも陰ながら協力をさせて貰いますよ。大河さん』


「ふっ。そう言って貰えると嬉しいよ」


『それでは、失礼します』


「あ、ちょっと待ってくれ。スキルについてだが、莫刀牙(ばくとうが)は取得可能ならば全属性揃えておくといい。上の職業(クラス)でちょっとした特典がある」


『わかりました。貴重な情報、ありがとうございます』


 ――通話を切り、ソファに深く腰を落とす。


 今話をしていた相手は、先程エヴリデイとして柏木と決闘をしていたプレイヤー、須藤巧だ。


 先程の決闘は仕組まれたもの。もちろん仕組んだのは俺だ。


 須藤巧という存在を柏木に差し向ける事で、柏木は確実に『カラミティグランド』の違和感を何かしら感じる筈だ。


 ディランの存在もそうだが、須藤という昔馴染みの人間が内在している事も意識するだろう。


 そんな中、ディランに関する情報が与えられれば、『カラミティグランド』と柏木の結び付きはより濃密なものとなる。


 真相(ディラン)へと近づけば近づく程に、柏木は更に『カラミティグランド』で大暴れする事になるだろう。


 そうなれば柏木が意図せずとも、ソウキというキャラクターが『カラミティグランド』内部を引っ掻き回し、それによって『カラミティグランド』は活性化する。


『カラミティグランド』において、ソウキという人物がそこに存在しているだけで、とても大きな意味を持つようになる。


「ここまでは、ほぼ完璧な流れだ。……エルドがソウキと近い立ち位置に居る事が、少々の不安材料だが……」


 ディラン自体も、その辺りは心得て動いてくれているから、余程柏木が核心に迫るような何かが無い限りは問題ないだろうが……。


 それでも、このままだと柏木は必ずどこかでエルドがディランだと気付くはずだ。


「……仕方ない。ディランの動きを少しだけ封じる為に、駒を進めるとしよう」


 再度俺は端末を手に取り、通話を掛ける。


『はいは~い!』


 若々しい女性の快活な声が、スマホのスピーカーから俺の部屋に響き渡る。


「俺だ。少し早いが、″イベント″を開始する」


『了解しました~! いつから始めますか?』


「次の金曜からにしたい。行けそうか? 」


『問題ありませ~ん!予告も流してちゃって宜しいですか~?』


「頼む」


『あいさ~い、用件は以上で?』


「あぁ」


『はいは~い、それでは失礼しま~す!』


 終始気が抜ける程に間延びする口調ではあったが、そんな彼女も優秀なスタッフの一人あることには間違いない。


 通話の切れた端末を閉じ、『カラミティグランド』にログインするまでにやっておきたい事を、簡単に消化しておく。


「……こんな所だな。さてと、ログインするか」


 キリの良いところで端末を開き、時計を見てみるとログアウトしてから22分経っていた。

 ほぼギリギリで30分以内だ。


 俺はUPCへと腰掛け、視線を左に流す。

 少しの間隔を空けて並び立つもう一基のUPCと、そこに腰掛けている柏木。


「……行くか」


 息を整えて目を閉じ、言葉を紡ぐ。


「『カラミティグランド』、起動」


「畏まりました。『カラミティグランド』、起動します」


(まずは柏木へとメッセージを送らなければな)


 俺の意識は、『カラミティグランド』へと飛んだ。


これにて5章は終了です!


6章は″イベント″の前の、プルトガリオ渓谷攻略の章を挟みます。


転職(クラスチェンジ)自体はまだ先の話なのですが、エルドの職業(クラス)魔剣士(バスタード)に設定されている相当厳しい転職(クラスチェンジ)の条件周りも6章でご紹介出来たらなと思います。笑


それでは、今後とも「クリスタル・ブレイド」を宜しくお願い致します!


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