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エルドを迎えて

次回は、ログアウトしたテュリオス(だいだい)が裏でどんな事をやっているかの1話として、5章が終了となります!


宜しくお願い致します!

 

「終わったぞ。俺の勝ちだ」


 エヴリデイの戦いを一番間近で見ていたのはアスティとワタルだった。

 少し間隔を空けて『硯音(すずりね)』の連中がつらつらと固まっている。


 俺はとりあえず、二人へと簡単に勝負の結果を報告した。


「なんか、案外とあっさり終わっちまったな」


「確かに、どっちかのHPが無くなるまでやり合った訳でもないしな。あんま面白いモンではなかったか。すまん」


「お疲れ様でした、ソウキさん。とても良い物を見せて貰いました」


 戦闘慣れしているアスティからの反応はイマイチだったが、ワタルの方はちっとばかしは刺激になったかな。


「そっか。そう思って貰えただけでも、見に来てもらった甲斐があるってモンだぜ」


「……なぁ、銀髪」


「ん?」


「最後の一撃。あれはお前ん中で、どれ位の勝算があった?」


 勝算、か。

 そう聞かれると、答えづらいものがあるな。


 アスティを落胆させる事になるかもしれないが、とりあえずは正直に答えるとしよう。


「勝算は考えてなかった。職業(クラス)のスキルによる最大火力と、装備の性能に頼った、正面きっての力比べをしたつもりだ」


「そうか……。あの一発だけは勉強になったぜ。じゃあな銀髪」


「おう、またな」


 アスティに付いていくように、『硯音(すずりね)』の連中はバリトンへと帰還するのか、安全エリアの方へ向かって行った。


 俺はエルドを含めた全員と合流し、一応は俺の勝利で決闘が終わった事を皆に告げた。


 ひとまず一人だけでやってきたエルドをパーティへと引き入れ、俺達も安全エリアへと向かう。


「あんた、途中手を抜いてなかった?」


 唐突に、椿からこんな突っ込みを入れられてしまった。

 話に夢中だっただけで、手を抜いてた訳じゃあないんだけどな。


 ……本気で斬り合ったは最後だけだったけど。

 端から見てたら、結構手ぬるい勝負になってたり?


「ちっと昔話に花を咲かせてたのさ」


 ……ん? 待てよ?

 そういや、須藤は銀水晶(ソウキ)が俺だってなんで知ってたんだ?


「意味わかんないんだけど」


「……まぁ、気にするな」


 俺を知っていて、須藤と繋がってる誰かが居る……?


 だいだい……か? いや無いな。須藤との接点がねぇ。

 とするとディラン……となるが、一体どいつがディランなのかわからねぇ。


 だけどだいだいは、ディランが『カラミティグランド(ここ)』のどこかに居る事を明言した。


 だいだいorディラン、もしくはその間に居る何者かが須藤と繋がっていると見るべきか。


 ……駄目だな。これこそ結論を出すことを急いてはいけない。

 エヴリデイとはフレンドになれたし、その辺りは須藤に直接聞けばいいしな。


「難しい顔をしているな。ソウキ」


 隣を歩いていたテュリオスが声を掛けてきていた。


「あぁ悪い、ちっと考え事してた」


「すまないが安全エリアへ入ったら、少しの間ログアウトする。30分以内には戻るが」


 テュリオス(だいだい)は用事でも思い出したのか、一度ログアウトするとの事だ。

 ……30分以内なら、街で待ってた方が楽か。


「ん、わかった。バリトンで待ってるから、インしたらメッセージを寄越してくれ」


「あぁ」


 10分と経たない内に安全エリアへと到達し、テュリオスは一旦ログアウトしていった。


「さて、とりあえず宿でも行くか。エルドは時間あるのか?」


「あぁ。ギルドの方でのやるべき事は済んでるから、今は暇だよ」


 エルドは光属性の攻撃も出来る。

 テュリオスと合流したら、プルトガリオ渓谷の攻略でもしに行くか。


 ひとまず俺達は宿へと入り、一息つく。


「待たせっぱなしで悪いなコット。もうちっとだけ我慢してくれな」


「わたしは大丈夫です。ここでは待っていても疲れませんし、それに……」


「それに?」


「今日は、椿さんも居ますから」


 そう言ってにっこりと笑うコット。

 そういえばコットは、椿によくなついていたな。


「だってよ。今日の所はコットの事頼むぜ?椿」


「何を頼むのかは知らないけど、話相手くらいなら任せてちょうだい」


「えへへ、会いたかったのですよ~?椿さんっ」


 隣に居たはずのコットは、いつの間にかベッドに腰掛けていた椿の所へとすっ飛んで行っていた。


「ちょっと、抱きつくのは……あんた達は見てないの!」


 椿に睨まれた俺は、エルドの方へと視線を流す。

 俺と視線の合ったエルドは、両手を広げて肩をすくめ出した。


「そういやエルド、プルトガリオ渓谷には潜ったか?」


「いや、まだだ。ダメージを受けずにヴォイドエッジアーミーを倒すと、青レアの剣か盾を恐らくだが確定でドロップする事が分かったんだ。

 メンバーの戦闘力を総合的に上げる事が、マスターの方針だからね。俺達の方は今、そっちの収集をメインに駆り出されてるよ」


「プルトガリオ渓谷では、ちっと面白いアイテムがドロップするんだ」


「見せてくれるのか?」


「あぁ」


 俺とエルドは、お互いの持ち物チェックをし始めることにした。

 コットと椿の方は……話に夢中だ。


 こんなまとまりの無い調子ではあるが、各々で時間を潰しながら、俺達はテュリオスの帰りを待つ。

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