青レア武器、月光シリーズ
「うぉ……。青レア武器が二つだと……!?」
ジュヴィスからドロップしたであろう武器の名は月光剣・ミスタリカ。
光閃属性を持つ青レアの直剣だった。これが二本。
月光剣・ミスタリカには装備限定スキルも付与されていた。
【紫月の煌めき】
フィールド:プルトガリオ渓谷で月が出ている間、攻撃力が増加する。
というものだ。月なんて出てなかったけどな。真っ暗だったし。
そんな面白そうなスキル効果を持った月光剣・ミスタリカだが、やっぱり俺には装備出来ないし、オウミに一本やろうかな。
更には闇冥属性の緑レア、シャドウブレイドもドロップした。
これはハイディング・シェイドからのドロップ品だろう。
あれだけハイディング・シェイドを倒して一本しかドロップしなかった事を考えると、シャドウブレイドは月光剣・ミスタリカよりもだいぶドロップ率は低そうだ。
レアリティは月光剣・ミスタリカの方が高いのにな。
俺にとって一番当たりのドロップ品はスキル書だ。これは中級のものだが、二つもドロップしてくれた。
残りはジュヴィスからの素材アイテムと、ハイディング・シェイドからの闇の錬成石。
ドロップした闇の錬成石の数はそこまで多い訳ではないが、ジュヴィス戦をひと括りとしたドロップアイテムで考えるなら、かなり良かったんじゃないかね。
月光と付く武器は確定ドロップなのか、全員が手に入れていたらしい。
エレナは槍職で、ドロップしたのは月光槍・ミルティリィという槍装備だった。
椿は短刃剣である、月光刃・ミアレイスがドロップしたと言っている。
オウミは二刀流だが、月光剣・ミスタリカは一本しか手に入れていない。
俺の手持ちの片方は、勝負のチップとして後でオウミに売ってやるとして……。
(椿は直剣を装備出来ないし、ミスタリカが一本浮いたな……。どう使ってやろうか)
そんな事を考えている内、ムザサパーティの面々は、たった今ドロップした月光シリーズの武器を装備していた。
新たな装備に、ムザサ達は各々喜びの声を上げている。
月光シリーズの妖しく輝く紫の刀身が、プルトガリオ渓谷のフィールドによく映える。そんな印象だった。
「戻るか。一旦」
ムザサ達ははしゃいでいる為、聞こえているかどうか怪しかったが、「そうだな!」とルーアが返事を返してくれた。
フィールドに現れていた[転移の渦]にアクセスし、プルトガリオ渓谷のフィールドエリアへと戻ってきた俺達は結構驚いた。
「明るい……」
「モンスターが動いてる!」
ムザサに続いて、オウミが声を上げた。
フィールドの真上には、月光シリーズの刀身と同じ紫色の月が出現し、プルトガリオ渓谷全域を明るく照らし出していた。
薄暗さで身を隠していたモンスター達が、月の光によって隠し場所を晒されている。
これがジュヴィスを倒した事による変化か。なるほどなるほど。ギミックボスとはこういうものなんだな。
「試し斬りしながら帰ろうぜ!」
ルーアがノリノリで敵へと突っ込んで行った。
「あっ! ずるい! オレが斬り込むんだっ!」
オウミもルーアの後を追って、手近のモンスターへとちょっかいをかけにいく。
更にそれを追うように、ムザサとエレナも走り出して行ってしまった。
……エレナはちょっとだけ進むと、こっちへ振り返り、一礼してからモンスターの元へと向かった。
「……俺達も行くか」
「そうね」
「だな。新しい武器の性能を試してみたい気持ちは、俺も同じだ」
椿は月光刃・ミアレイスを、テュリオスは月光剣・ミスタリカを片手にしていた。
おい、ずるいぞお前ら。
「……戦闘は任せるわ。俺は少しの間、コイツで節約するよ」
腰に刺さったチュートリアルリッパーを抜き、戦闘準備の出来た俺達は、ムザサ達の元へと向かった。
光閃属性の武器を手にした俺以外の全員は、凄まじいスピードでモンスターのHPをぶっ倒していく。
月の光を受けた月光シリーズが、どの程度火力を底上げされているかは謎だが、属性の相性もあってかプルトガリオ渓谷の攻略に限った話では、相当なキーウェポンなのかもしれないな。
それと今後は、フィールドインしたらギミックボスの存在にも意識を回さないとな。
まだこれが初のギミックボスだから断定は出来ないが、新たなフィールドが解放される度に、ギミックボスからドロップする武器が、攻略の鍵になる可能性は大いにある。
そんな事を考えながら、俺は意気揚々と雑魚モンスターを狩っていく皆を追いながら、バリトンへと帰還した。
 




