異世界魔王はエン・ルに降り立つ 4
大分間が空いて申し訳ないです。
短めですが、年内更新ギリギリいけました……!
「それで、魔王様の所に行きたいんだよね?」
「頼めるか」
「明日なら良いよ!納品物を魔王様にお届けするつもりだったしね」
あの巨大なドラゴンとの会話後、ルゥがどこか不安気に行くのかと聞いてきた。ルゥも、何かを感じているのだろうか。
ルゥと違いネルは明日が楽しみだと言わんばかりに承諾する。
ドラゴンのみ気付ける何かがあるのだろう。人間であるネル、そして他の村人も特に気にしてはいないようだ。
杞憂か、それとも違う何かか……それは明日、魔王の城へ向かう際に分かるだろう。
「明日か……納品物を届けると言う事は、他の奴も一緒に向かうのか?」
「そうだね、大体6人。ドラゴンも合わせて12人だよ」
1人に1ドラゴン……いや、納品物があるとはいえ、多くないか?
そう思いつつ村をよく見てみる。色んなドラゴンがいる。多くいる……ように見えたが、体が大きいからそう見えただけのようだ。
基本的に1人に1匹のドラゴン。まれに2人に1匹。俺からすれば特殊な村だ。
「まあ、他の人にもサタンを連れてって良いか聞かないとだけど……さっきのおじいちゃんが向かうのならばーっとか言ってたし、皆も別に嫌がらないと思うよ」
「そうか、ありがたい」
「じゃあ、サタンのこと伝えてくるね!」
あのドラゴン、恐らく村長と対のドラゴンだったあれは、この村ではとにかく信頼されているようだ。
明日の出発まで、あのドラゴンに嫌われないようにするべきだな。
明日の同行について、ネルは仲間に伝えに行った。ルゥは残り、俺をネルとルゥの住む家へと案内する。
ドラゴンも住める場所なだけに土地は広く、ルゥの速度に合わせれば小走りで移動する事になる。
運動不足には困らなさそうだ。
「着いたよーここが、僕たちの家!」
ようやく辿り着いた場所にあった家は、他の家と同じ大きさで質素な家だった。
家の隣で、ルゥより一回り大きなドラゴンが猫のように丸くなって眠っている。
「あそこで寝てるのお父さん。お母さんは魔王様の所で暮らしているんだ」
「魔王の所で?」
「お母さん体調が悪くなってたから、魔王様の所で休んでるんだよ」
ドラゴンの体調が悪くなると、噂の魔王の所で休むことになるのか……そこまで向かうのにも数日は掛かると言われるが、それでも環境が良さそうなここよりも、その城はより環境が良いのだろう。
ルゥはどこか寂し気に、自身の父を眺めている。
……父親か……。
「詳しくは知らんが、まあ……母親を気にしたくはなるだろう。だが、今の父親とも、うん……関係は良くしておけ」
「え……あぁ、うん、大丈夫!お父さんもそろそろ歳だから疲れてるだけだし……!」
ちょっと違うが……まあ、良いか。
ルゥは、親との関係は悪化することは無いだろう。
俺とは違う。ここは環境が良い。他の場所はどうかは分からないが、基本的に平和だ。
俺のようには、ならないだろう。
俺の様に、父を恨むことはないはずだ。