エンド様の正体2
「ジークグリアス…何故貴様がここにいる?何故私の名を使って攻撃しようとしている?」
魔族特有の魔力を放出して、偽りの姿から本来の姿へ…この場にいる教師、生徒達の表情が恐怖に染まる。そうだな、正しい反応だ。人間にとって魔族は危険な存在で、その魔族が二体もいれば恐れるだろう、しかもどちらも上級の位の魔族だ生命の危険を感じない人間はいないだろう。
「エルド、様…」
目の前のジークグリアスも目を見開き驚いている…私が人間に紛れていたのがそんなに驚くことか??長い付き合いだというのにまだまだだな、再教育が必要かもしれないな?勝手なことをするようなやつには育てた覚えはない。
…外野がうるさくなったな?
「えっ?!エンド様が魔王?!素敵なお姿ですわよ!!」
「聞いてねえぞ!!なんだそのかっけーの!!戦え!」
「すごい強そう!あと美人さんだね、目に良いよ!!」
…生命の危険を感じない者もいるみたいだ。特に男二人、何故戦いたそうな顔をするんだ、まてナルシア、その「あ、私も!」って顔をするな。
なんて呑気な人間なんだ私の友人は…魔王が目の前にいるんだぞ??姿もエンドとは程遠いものなのに、何故普段と変わりない??
「待て待て!近寄ろうとするな危険だ!そこの教師、その三人を抑えておけ!傷つけてしまう!」
「エンド様はそんなことしません!!」
「何の根拠があってそう断言してるんだ?!」
「だって、エンド俺らに甘いから!!」
「僕達を傷つけることはしないと思う!!」
「今ここにいるのは魔王エルドなんだが?!」
甘いってなんだ?!甘やかしてるつもりは…あーあー…ない。はず。
ん??
エンドには変わりない?
…魔王だってば。何故そこまで信用できる?半年という短い付き合いだというのに……あ、だが…嬉しいな。
「あの、エルド様」
「ちょっと待っていろ、あとでちゃんと話そう!!……で、なんの話だった?」
「何故ここにいて、何故エルド様の名を使ったか…と」
「あぁ、そうだったな…何故だ?」
曰く、私が人間界に行ったのは戦争の準備をするためだと思ったから……勘違いが酷いな?!私そんなこと一言も言ってないぞ?!むしろ何も言わず出てきた。
…それがダメ??それはすまん。
が、それで前途ある子供達が多く通う学校を狙うなど、恥じるべき行為だ。
私は戦うのは好きだが、戦争は嫌いだ。戦争の犠牲になるのは民だ…むやみに起こしていいものじゃない。それに私がそんなものを好まないのは知っているだろう?全く…昔から勘違いと思い込みが激しいのがお前の悪いところだ…。
「私は暇つぶしをするためにここにいる!」
「え」
「お前たちが優秀すぎてな!あと勇者が戦いにこないし!暇なんだ!!」
「そ、そのような理由で…」
「それを邪魔したお前に私は怒りを覚えている!」
手に魔力を集中させ、砲撃を撃つ構えをとる…ジークグリアスは顔を青くした…良く知っているだろう?私は魔法砲撃が得意なんだ。
さぁ、反省してもらおうか?
「始末書千枚提出するように!!」
私の放った闇の力を帯びた魔法砲撃でジークグリアスは遠い彼方へと飛ばされていった…さて、あとは人間の後始末だな??
エンド・シュバイア→暇人魔王のエルド様が人間の少女に化けた姿。
エルド・シュバルツァー・ルドベウト→エンドの本来の姿。
ナルシア・メレヴィス→魔王エルドの初友(人間の)、お淑やかでか弱い乙女のような容姿をしているがかなりお転婆
アシュレイ・ザクフィスト→魔王エルドと侯爵令嬢ナルシアの友人。頭のいいお馬鹿、まるで犬。
レヴィエール・ロンソン→魔王エルドと侯爵令嬢ナルシアと伯爵子息アシュレイの友人。外見詐欺。
ジークグリアス・バゼッツ→魔王エルドの部下。勇者育成学校に攻撃を仕掛けようとしたが魔王エルドに怒られ始末書千枚かくことに。