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魔王様の暇つぶし。  作者: 佐能 遥歩
6/11

エンド様はお悩み中

 勇者育成学校に入学して半年ほど、思ったよりも楽しく充実した毎日を送っている。


だが、平和すぎるんだよなぁ。戦争が起きてくれ、とは思わないがもう少し刺激があってもいいんじゃないか?人間の世界は充分に暇つぶしになる、不満はない。…が勇者はこんな生活で育つのか?私は魔王だ、勇者のことはわからない。

わからないけれど、こんなに平和で本当に私を倒す勇者が育つのか?育つのであれば人間への認識を改めなけ

ればならないな、種族の中で一番の弱者…彼らはそうじゃない、と。


…いや、育つはずがない。自分で言うのもなんだが私は、種族の王だ、甘ったれた者に敗れるはずがない。私を倒してきた勇者は強かった、私が弱いわけじゃない。人間の勇者達は私を倒せるほどに鍛錬を積んだ…体に刻まれた傷がそれを物語っていた…だが、今の勇者達はどうだ…??


確実に弱くなっている。鍛錬はしているのはわかる、この勇者育成学校は戦い方、力の使い方をちゃんと教えている。得意不得意はあるだろうが…教育はできている。でも守られすぎているんだ…どの授業でも怪我をするようなことは教えない、怪我をさせないようにしているが…それで実戦になった時どうすればいい??


対人戦ならまだしも、勇者達が挑むのは魔物だ。人間よりも強く凶暴で恐ろしい存在…将来そんな相手と戦うのに怪我をしないのはちょっと無理があるだろう。甘すぎるんだ。怪我をしないから駄目だというわけではないんだ…もちろん怪我をしないに越したことはない。でも世界はそんなに甘くはない。強敵と戦えば傷つく、それを子供だから…と怪我をしたからと授業を休ませるのは過保護すぎる。


貴族のお嬢様お坊ちゃまが多いからなのか?本人が望んで入学したというのに、その扱いは相手に失礼じゃないか?私はそう思う。人間には人間の考えがあるのか??魔王の私にはわからないな…だが、このままでは私どころか他の魔族と戦うのも無理なんじゃないか??今の勇者は弱すぎる。


二百年前のあいつは素晴らしかったな、魔力も肉体も頭脳だって優れていた…。願わくばあのような勇者を今一度戦いたいものだ…。




「はぁ…」



「今日のエンドはため息が多いな??もう五十回目だぞ?」


「何か悩み事があるのでしょうか…心配ですわ。」


「元気もなさそうだし…どうしたんだろうね…。」




そんな声が聞こえる…そんなに思い悩んでいたか?ため息の回数を数えるとか、アシュレイは暇人だな?私と同じだ。ナルシアもレヴィも心配している様子だな…いけないな、友人を不安にさせてしまっているじゃないか。今の生活も充分楽しいから満足しておこう、これ以上を求めたら大変なことになりそうだ、そんな予感がする。




「ナルシア様…レヴィ様…何をどうしたらこんな答えになるんです…??」



勇者とか戦いとか、そういう話よりも今は二人の成績について考えないといけないかもしれない。珍解答はすごい。ペンが進んでないじゃないか、いやいや飽きたじゃない。もうすぐテストだぞ?なに?鍛錬したい?テストが終わったら思う存分しような!まて、気分転換に体を動かそう?初めて十五分しか経ってないから!!



「はぁ…」


「五十一回目!」

エンド・シュバイア→暇人魔王のエルド様が人間の少女に化けた姿。




ナルシア・メレヴィス→魔王エルドの初友(人間の)、お淑やかでか弱い乙女のような容姿をしているがかなりお転婆




アシュレイ・ザクフィスト→魔王エルドと侯爵令嬢ナルシアの友人。頭のいいお馬鹿、まるで犬。




レヴィエール・ロンソン→魔王エルドと侯爵令嬢ナルシアと伯爵子息アシュレイの友人。外見詐欺。

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