エンド様の友人2
「エンド!俺と一番に手を合わせろ!」
「まぁアシュレイ様…残念ですがエンド様は私と手を合わせる予定ですの」
「ナルシアも俺と手を合わせろ!」
「えぇ、もちろんエンド様のあとに。」
この無礼な男はアシュレイ・ザクフィスト。こいつも私の友人で、剣の腕前もなかなかだ…ちょっと礼儀がなっていないのが気に食わないが将来が楽しみな人間だ。だが無礼。底辺貴族設定の私エンドはともかく、由緒正しい貴族令嬢のナルシアに対する態度が鼻につく…。こいつも魔力に聖なる力を宿していて剣の腕も立つが…お馬鹿なのがダメだな、落ちこぼれ扱いになるのもわかる…悪い奴ではないんだがなぁ。
「アシュレイ様…手合わせはしますが、ナルシア様にそのような態度はいけないとずっと言っているじゃないですか…」
「私は気にしませんよ?」
「だってさ、ナルシアも言ってるしいいじゃん??それより手合わせ!!」
「う~~~…ナルシア様が良いなら、良いですけど…あと手合わせはナルシア様が先です。」
「またかよぉぉお」
「先に約束していたので、すみませんお先です。」
悔しそうに転げまわるアシュレイにため息が漏れる…本人が良いと言っているからこれ以上しつこくいうのはやめるが、やはり気になってしまうな…こいつも一応貴族子息なんだよ…どうしてこんなお馬鹿なんだ。
優秀な騎士を数多く輩出してきた伯爵の爵位を持つザクフィスト家の次男…家を継ぐ立場ではないが自由すぎないか?あと無礼。頭は悪くないが…お馬鹿。
「なーなー、エンド、ナルシア」
「何でしょうか?」
「何ですか…?」
「学校終わったら町に行かないか?」
「町!いいですね、私は構いませんわっ」
「え、えーと…私も良いですよ」
「よっしゃ、レヴィも誘ってクレープ食べに行こうぜ!」
「良いですわね、楽しみです!」
「はい、私も…」
ナルシアもアシュレイも自分の身分をわかっているのかたまに心配になる…いや、魔王が人間に化けてしかも勇者育成学校にいるのもどうかと、とかそういう話じゃないから今。
頻繁に町に行き過ぎているような気がする…私個人としては人間の町を散策するのは楽しいし参考にもなるが…一応貴族の令嬢、子息が毎日のように買い食いって…楽しいからいいけど…誰もつっこまないし。
喋りながら手合わせをしていたら先生に怒られてしまった…というかナルシアとアシュレイ白熱しすぎだろ…。この二人、スイッチが入ると基本的には止まらない。午後の授業は居眠り確定だな。
エンド・シュバイア→暇人魔王のエルド様が人間の少女に化けた姿。
ナルシア・メレヴィス→魔王エルドの初友(人間の)、お淑やかでか弱い乙女のような容姿をしているがかなりお転婆
アシュレイ・ザクフィスト→魔王エルドと侯爵令嬢ナルシアの友人。頭のいいお馬鹿、まるで犬。