エンド様の友人1
エンド・シュバイアとして勇者育成学校に入学しました、魔王です。
人間の世界は思ったよりも複雑で、入学するにも様々な手続きが必要で…身分を証明できるものを用意するのに手間取ったぞ…名はエルド、をちょっと変えた。姓は先代魔王が人間に化けていた時に使っていたものを。詳しくは知らないが先代魔王が人間界で遊んでいた時に伯爵の爵位も持っていたのが役に立ったな…もう数千年も前のことだし、既に忘れられているが、魔法ですこーしいじって伯爵とは名だけの底辺貴族シュバイア家の令嬢…という設定だ!
「エンド様は今日も楽しそうですね」
「っ!ナルシア様…そうでしょうか、楽しそうにしていますかね…?」
「えぇ、素敵な笑みを浮かべていますわ」
うぐっ…ナルシアの笑みも素敵だぞ……この娘は同じクラスの侯爵令嬢ナルシア・メレヴィス。中流階級の貴族であっても令嬢であるナルシアが勇者育成学校に入学していることに最初は驚いたがどうやら珍しいことではないらしい。男が多いと思ったが女もそれなりにいるし、その半分ぐらいは貴族の令嬢だ。
勇者育成学校とは名ばかりな貴族学校じゃないか?と私は思ってしまった。
「今日は、剣技の授業があるじゃないですか…それが楽しみで…ふふ」
「エンド様は立派な勇者になるでしょうね…素晴らしい心の持ち主ですから」
「そんな…は、恥ずかしいです、それにナルシア様だって美しい心の持ち主です、よ」
入学初日に意気投合して友人になった、私の初めての人間の友人。可憐で美しい娘だ心に邪気がなく、清らかなこの娘は回復手には持って来いの才能と魔力を持っている…が、どうやらこの学校では落ちこぼれ扱いのようだ、勿体ない…私は魔王だから勇者にはなれないが、もしも勇者のパーティを組むなら絶対ナルシアを入れたいな、魔力に聖なる力が宿っていてなおかつ回復役、魔王攻略するなら必要な人材だ。
「私も楽しみですの、剣技の授業。もしかしたら一番好きな科目かもしれません。」
「わ、私はどの授業も好きです、けど…剣技の授業が一番好きですね…」
「同じですね、今日も手合わせお願いできますか?」
「もちろん、私でよければ…」
「エンド様が良いんです、とても強いので参考になりますわっ」
私から見たらナルシアは回復系の魔力を持っているのでヒーラーが合うと思うが、この娘剣の才能もあるようで本来の力を抑えている状態ではあるが私と互角に戦う。か弱い乙女のような容姿のくせにめちゃくちゃアクティブ。
机に向かって勉強をするよりも、体を動かすほうが好きだとか…人は見かけによらないを体現しているな。
エンド・シュバイア→暇人魔王のエルド様が人間の少女に化けた姿。
ナルシア・メレヴィス→魔王エルドの初友(人間の)、お淑やかでか弱い乙女のような容姿をしているがかなりお転婆。