30 結婚式
いつも読んでいただき、ありがとうございます。最終話になります。
親父達にも心配を掛けてしまったので、3人で挨拶に行った。
「正月早々大変だったな。ティナさんが無事で本当に良かった」
「本当にね。心配しましたよ」
「すみませんでした。日本に来て気が緩んでいました。これからはケーゴ様にご迷惑を掛けないように気を付けます」
親父達の言葉に、ティナが妙な反省をしている。ティナに責任は無いと言っているが、誘拐されるなんて隙が有るからですと言い張っていた。早くレベル上げして強くしてあげたい。
親父達に見送られて、菜々美さんの実家に向かう。それほど遠くないが、タクシーを使っての移動だ。
一日遅れたが、岩崎教授と響子さんに新年の挨拶とティナの紹介をする。菜々美さんの両親に、第2夫人を紹介するって何だか複雑な心境だったが、2人とも温かく迎えてくれたので嬉しかった。
「なんだか2人が遠くに行ってしまった感じですね。
異世界とはよく言ったものです」
「あなた、何言っているのですか。もしかしたら私達もお邪魔するかも知れないのよ。
もっとしっかりして下さい」
菜々美さんの両親は、響子さんが引っ張る役で、教授が納める役だ。何か有ったか知らないが、ノルマンディに住む予定でも立てているのだろうか。
菜々美さんの妹の由紀さんは何も言わないで俺達を見ている。文句を言われた方が気が楽なのにと思ってしまった。
ノルマンディ領へ戻ると、早速ティナのレベル上げに取り掛かる。領地運営も少しは手伝わなければならないので、菜々美さんと交代で実施した。
俺達が迷宮に入っている間、ティナは騎士団の人達にしごかれていた筈だが、ティナのレベルが上がるにつれて立場が逆転していた。
LV40を超えた頃から、一緒に迷宮に入る。すっかり剣の扱いにも慣れて、上級冒険者の仲間入りだ。
「凄いです。こんなに強くなれたなんて信じられません」
ティナは、モンスター相手に無双している。会った頃とは動きが全然違っていた。明日には結婚式の為王都に行かなければならないので、何とかレベル上げが間に合って良かった。
圭吾のレベル LV81 HP309 MP172
菜々美のレベル LV71 HP283 MP142
ティナのレベル LV56 HP212 MP106
「ティナ良かったですね。結婚したらケーゴさんに抱いてもらえますよ」
菜々美さんの爆弾発言に、ティナが真っ赤になっている。
「はい。ナナ様。ありがとうございます」
素直にお礼を言えるところが凄い、俺だったら嫌みだと思ってちびっちゃう。
「ケーゴさんも良かったわね。ティナのレベルが上がって、すっかり女らしくなっています。抱く気になったでしょうね」
菜々美さんの攻撃に思わずむせる。確かにティナのスタイルは見違えるように良くなった。
胸は少し大きくなって、ウエストがきゅっとくびれている。脚のラインも菜々美さんに負けていない。全体的にポチャッとした感じが無くなり、美しいボディラインだ。
「そ、そうですね」
ティナの手前否定も出来ない。早くここから逃げ出したい。
2月8日、結婚式の準備のため、王都に出発する。俺と、菜々美さん、ティナ、マリエッタさん、ナナ付メイドのベル、ティナ付メイドのロザリーの6人だ。俺と菜々美さんが組んで移転すれば、エブロ―を経由するだけで2度の移転で王都まで行くことが出来る。一泊すれば往復だって回復薬を使わずに可能だった。
屋敷からオフロード車に乗ってお城に向かう。王様に挨拶と、一応結婚前なのでティナを送って行った。
お城に着いてから通された場所は謁見の間ではなく、プライベートな話が出来る部屋らしい。俺と、菜々美さん、ティナ、マリエッタさん、メイドの2人だ。
しばらく待つと、王様、王妃様、ティナの母親の第3夫人マリーさん、国務大臣などが入って来た。
「ノルマンディ子爵、よく来てくれた」
「ご無沙汰しております。結婚式には色々ご配慮いただき有難うございます」
「なに、気にするな。ナナさんや、クリスティーナも座りなさい。
お、本当にクリスティーナか、すっかり美しくなったな」
「国王様、ありがとうございます。子爵様のお陰です」
「それにしても見違えた。妃、そなたもそう思うであろう」
「私も驚きました。すっかり美しい貴婦人ですね。どのような美容法が有るのか知りたいわね。マリーさんも気になるでしょう」
「はい。娘が美しく変わって驚いております。ノルマンディ子爵様に大事にして頂いている様で感謝しますわ」
暫くティナの話で盛り上がった。
とりあえず挨拶が終わり、王様、王妃様、国務大臣などが退出し、代わりにティナの姉のジョセフィーヌ王女が入って来た。
「ノルマンディ子爵様、お初にお目にかかります。ティナの姉のジョセフィーヌと申します。妹がとてもお世話になっております」
ジョセフィーヌ王女はティナが気になって仕方が無いらしい。先ほどからちらちら見ている。
「ケーゴと申します。よろしくお願いします。
私の事はお気になさらず、ティナと話してやって下さい」
「ジョセフィーヌ、はしたないですよ。そんなにそわそわするなんて貴方らしくありませんね」
母親のマリーからダメ出しが出てしまった。
「だって、ティナがこんなに綺麗になって帰って来たのですもの、気にならない方がおかしいわ。2人で並んだら、私が妹みたいに見えてしまうわ」
「確かにそうね。ティナがお姉さんに見えるわね」
「お母さま、酷いです。
後でティナに秘訣を教えてもらいたいわ。ティナ、お願いね」
「お姉さま、ちょっと美しくなる運動をして、新しい化粧品を使っています。ナナ様のお陰です」
女性陣が綺麗になる話を始めると終わらなくなってしまう。服や化粧品、美容の話が始まったら覚悟が必要だ。
翌日パリ神殿で予行練習が行われた。2人の花嫁と結婚式を挙げるケースも偶に有るらしく、それほど戸惑わなくて済んだ。
式の流れは、神殿で結婚の誓いを立てて終わりなので、1時間も掛からない。その後晩さん会で集まった貴族に紹介されるだけだ。思っていたよりあっさりしていた。
ここ1ヶ月、菜々美さんの夜の求めが激しくなっている。ティナより先に子供を作りたいと思っているらしい。菜々美さんが先に子供を産んでくれる方が良いので、俺も賛成だ。ティナには菜々美さんが妊娠するまで待ってくれるようにお願いした。
ティナも「ナナ様のお気持ちは十分わかります。私も協力しますね」と言ってくれたので安心だ。
結婚式当日の朝を迎える。なされるがまま状態で、それほど緊張しなくても済んだが、広い神殿の中は、昨日とは全く違った神秘的な雰囲気だ。
菜々美さんとティナは真っ白なウェディングドレスを着ている。ひと悶着有ったが、日本で調達したドレスだ。
菜々美さんはボディラインを強調したセクシーなドレス、ティナは清楚な感じのドレスを着ている。
祭壇の前に3人で並ぶと、神殿の中が急に静まり返った。
見上げると、俺達の周りに淡い光がゆっくり降りて来る。その光は神が下りて来たのではないかと思うくらい美しかった。
黒子が俺に誓いを促す。
「ナナ、クリスティーナと夫婦になると誓います」
「ケーゴの妻になると誓います」
「ケーゴの妻になると誓います」
誓いの言葉を言い終えると、辺りに光のシャワーが注がれて俺達3人が光り輝く。アマテラス神が与えた祝福の光という演出らしい。演出とわかっていても、光り輝く2人を見ているととても幸せな気分だ。
誓いのキスとか、指輪の交換なんかなくても、結婚して幸せになれるんだと思えて来る。こんな魔法の使い方なら大歓迎だ。
その後の晩さん会では、2人とも振袖を着ている。仲が良くて有りがたかった。
菜々美さんがこっそりと「今日の新婚初夜はティナに譲ってあげました。可愛がってあげてね」と言って、いたずらっぽくウイングしている。思わずティナを見てしまった。
「ケーゴさん。優しくして下さい」
ティナが顔を赤くしながらも、嬉しそうにしている。
もう、晩さん会なんかしている場合じゃ無かった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
話を広げっぱなしで終わってしまい申し訳ありません。また、後半の仕上がりが雑になってしまいました。もっと上達できるように頑張りますので、これからもよろしくお願いしします。
構想がまとまっておりませんが、続編が書けたらと思っております。




