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26 迷宮拠点稼働開始

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

初めて、感想、質問を頂きました。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

 ノルマンディ領に出来た拠点が、大使館なのか領事館なのか意見が割れ、公使館という意見も出たらしい。本来であれば、王国の首都では無いので領事館が妥当だった。

 しかし、王国と外交チャンネルが無い状態で、ノルマンディ領と貿易が始まっている。形式はどうあれ、実質的な外交業務が必要なので大使を派遣すると決まった。


 日本大使館の引き渡しに参加する人たちが集まっている。日本側の代表が、山下副指令、それ以外に今井迷宮研究班班長、内山田迷宮探索班班長の3人だ。

 生命の腕を付けなくてはならないため、本来なら参加しているはずの政治家、外務省官僚達が、誰も参加していない。

 内山田班長がやっと王国に来られたと一人ではしゃいでいた。

 受注元の代表として、岩崎教授が同行している。


「こちらの建物が、大使館兼宿泊施設になります。

1階が、大使館業務の施設の他に、出入国や税関のエリアも用意しています。奥には迷宮探索隊の部屋や厨房、食堂が有ります。

2階、3階が宿泊施設で、職員の宿泊施設60室が2階、上級客室10室、一般客室40室が3階に有ります」


 中を案内したが、入出管理業務、税関業務を行うエリアはガラガラで何もない。大使執務室や事務室、迷宮探索隊王国出張所に、かろうじて家具、備品が入っていた。


「何人こちらに来られるのですか」


「大使は不在になります。お恥ずかしい話ですが、誰にするか未だに揉めています。

 とりあえず、迷宮探索隊王国出張所を開き、彼らが武官を兼務します。

 迷宮探索隊の人員は、探索隊2チーム12人を常駐させますが、職業選択が出来るようになればもう少し増やします。

 ダンジョン移転魔法が使えるようになったら、私が週に2日勤務する予定でいます」


「移転の魔法具が稼働するのはもう少しですので、すみませんがお待ちください。

 後、使用人を30人用意していますがどうしましょう。執事1人、料理人3人、メイド4人くらいにしておきますか」


「そちらはお任せします。

 若い隊員達が、本物のメイドに会えると楽しみにしています。

 ご迷惑を掛けないように言っておきますので、よろしくお願いします」


 その後、研究施設と倉庫を見て回ったが、何も無いので直ぐに終わってしまった。


「以上が、日本政府から依頼の有った研究施設、宿泊施設、倉庫になります。

 何か質問は有りますか」


「大丈夫です。とても素晴らしく出来ていました。ありがとうございます」


「それでは、こちらが領主館発行の権利書になります。

 各施設の図面がこちらですね。

 後は、岩崎教授お願いします」


「圭吾君ありがとう。

 山下副指令、こちらの受領書にサインしていただけば、今回の契約は完了します」


「わかりました。岩崎教授もありがとうございました」


 施設の引き渡しが終わったので、後は迷宮探索隊にお任せする。ただし、ダンジョン移転魔法を習得するまでは、俺と菜々美さんは送迎をしなくてはならず、移転の代行運転手だった。



 8月の終わりに、領主館迷宮支所の業務が開始された。

 山下副指令を始め、迷宮探索隊300人以上が、職業選択、パーティ編成、ダンジョン移転魔法、収納魔法2級(馬車1台分、1級以上は王都でないと出来ない)を習得した。

 迷宮探索隊の人員が整ったので、山下副指令が大使の代理をするらしい。

 臨時代理大使と言う肩書で、臨時なのか代理なのかよくわからなかったが、「あまりにも無茶すぎる」と山下副指令がぼやいている。大使館員や入管職員がいないので、開店休業状態だ。

 常駐する探索隊が4チーム、24人になった。宿泊する施設に、家電製品やパソコンが無くて不便だが、掃除や洗濯、食事の支度などをメイドさんがやってくれるので、若い隊員達には非常に好評だった。



 9月25日、岩崎迷宮探索株式会社の株主総会が開かれた。何だか厳めしいが、岩崎教授、俺、菜々美さんが集まって話をしているだけだ。7月末日が決算日で、その内容を株主総会で承認するらしい。株主は、俺達3人だけだ。


「お父様。株主総会は必要なのですか」


 菜々美さんが、もっともな質問をしてくれた。


「形式的な物だね。高橋君や菜々美に、一度体験して欲しいとおもっていたのでね」


 俺達の為に開いてくれたらしい。


1.決算について。

   売上     337.3億円 消費税込みの324億が、拠点確保分。

   売上原価  305.2億円 どうやら、支払い分。俺達の給料も入ってる。

   販売管理費   0.6億円 事務所の維持費?

   経常損益   31.5億円 税引き前のもうけ。

   純利益      6.4億円 税引き後のもうけ。


2.税金関係について。

   消費税  25.1億円。 

   法人税  ほぼ無し。


3.役員報酬について。

   岩崎教授のこれからの報酬。俺や、菜々美さんの申し出で、年間1200万円にしてもらった。それでも、俺達の半分も無い。


「この決算は、会社の主張です。税務署が文句を付けて来るかもしれませんね」


「税務署が文句を言って来るのですか」


「ダンジョン法の成立の時、財務省が反対していました。法人税がすんなり通るとは思えません。消費税で納得してくれれば良いのですが、何とも言えないでしょう」


 その後も社会勉強と言って説明してくれたが、ほとんどの話が右から左に抜けて行く。税金はキッチリしていると思っていたが、グレーゾーンが色々有って面倒だと言うのがわかった。会社経営は岩崎教授がしてくれて本当に助かる。



 迷宮前の魔道馬車の工場で、専用に開発された2段トランスミッションを搭載したタイプが完成した。このトランスミッションの採用で、時速28キロとスピードアップしバック走行が可能になる。バックは王国の魔道馬車に初めて搭載された機能だった。

 王国からの矢のような催促に、やっと答えることが出来る。毎週2台のペースで納める予定で、金額は金貨1000枚だ。正式名称を、桜号2型とした。ちなみに、1型は前回造った3台だ。


 王国では、桜号2型の受注が殺到し、最初の数台を王室用にする予定が変更され、そのまま各地の領主達に販売されるらしい。何と、金貨3000枚と聞いてびっくりした。ちょっとぼり過ぎだと思う。

 王国側から、もっと台数を増やして欲しいと増産依頼が有ったが、これ以上増やせないと断っている。100台も売れば買う人がいなくなると思っているので、増やしたくなかった。オフロード車に続く、次の製品を考えなければならない。


 それに対して、日本側に売れているのが回復薬だ。厳密に言うと、HP回復薬と、万能薬になる。HP回復薬は、疲れや低下した体力を戻す効果が有るが、体質改善やガンの治療薬に使えた。

 万能薬は、外傷を治す効果が高い。解毒や風邪にも効果は有るが、内臓疾患に対する効果は低かった。

 王国で販売されている価格は、どちらも同じで、最上級の1級が銀貨25枚、2級が銀貨13枚、3級が銀貨7枚、4級が銀貨4枚になっている。銀貨は、一般的に流通しているコインで、10枚で金貨1枚だ。

 日本政府への売れ筋は、医療用のHP回復薬1級、万能薬1級と、サプリ向けのHP回復薬4級、美容用の万能薬4級だった。

 各地から取り寄せているが、何とか毎日各100本出荷している。こちらはもっと売りたいのだが、原料や人員の関係で限界だ。領内に製造拠点を整える予定だが、すぐの増産は難しかった。



 12月の初め、大使館員、入管職員、税関職員がやってきた。総勢32人で、若い人が多い。迷宮探索隊24人と合わせると、2階の職員用の部屋は残り僅かになってしまった。

 税関職員が来たのは、税金の扱いが決まったからだろう。関税無しとなったので、人数が少なくなっていた。


1.為替レートは、固定相場制とし、金貨1枚に対し2万円とする。


2.輸出入は許可制とする。


3.輸入関税は無しとする。


 この結果、日本に輸入される1級回復薬は5万円、4級回復薬、万能薬は8000円になる。

 逆に200万円近いオフロード車の車体は、金貨100枚だ。実際には手数料や儲けが上乗せされるが、日本側は、輸入が政府、輸出が岩崎迷宮探索㈱で、王国側が領主館だけしかないので、儲けは取り放題だ。

 ちなみに政府の回復薬販売価格は、入り値の6倍らしい。そうは言っても、迷宮開発に多くの資金を投じているので、短期間で回収するのは不可能だろう。


 迷宮探索隊の人達は、職業を選択し、パーティを組んで順調にレベルアップしている。平均2ヶ月で1段上がっているので、非常に速いペースだ。


 忘れたかったが、クリスティーナ王女との結婚が正式に決まった。色々難癖をつけてみたが、来年の2月10日に王都のパリ神殿で行う。費用は全て王国持ちだった。

 菜々美さんとの結婚式を挙げていないので3人で式を挙げたいと言ったら、文句の一言も無く受け入れている。まさか通るとは思わなかったので、逆にこっちが慌てた。

 第1夫人はナナで、クリスティーナは第2夫人とか、クリスティーナは付き人を付けずに単独でノルマンディ領にやって来るとか、レベル上げの為に事前にノルマンディ領に来いとか言いたい放題だ。

 付き人を拒否したのは、この前の2人は不味いし、王国のスパイが入っていたら面白くない。何もかもこちらの言いなりだったので結婚しない訳には行かなくなった。


 菜々美さんは以前ほど気にならないと言っていた。

 クリスティーナ王女に好意を持っているし、彼女の方か可哀想と感じているらしい。結婚式を挙げられると喜んでいて、それまで子供は作れないなーなんて言っていた。


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