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12.2 おまけ話 岩崎菜々美

おまけの話です。岩崎菜々美の視点も追加しました。次回は本編に戻ります。

 私の名前は岩崎菜々美

 今年から、桜沢大学法学部の1年生です。今は裁判官を目指していますが、中学生の頃は父と同じ大学教授になる事を目指していました。


 中学2年生の時、父から今の大学教授はとても大変で薦められないと言われました。大学教授になろうとする者に厳しく、学閥、男女差別と言った問題も有るらしいのです。色々迷いましたが、大学教授を諦めて公務員に替えました。省庁の官僚をめざすか、司法官のどちらかですが、適正検査の結果も考慮して司法官、その中で裁判官に決めました。

 司法試験は大変ですが、私なら大丈夫だと父が言ってくれました。


 高校2年生の時、女性週刊誌のオーディションがきっかけで読者モデルを始めました。

 実際に体験してみると、華やかに見えるモデルの仕事は想像以上に大変です。良好な体調を保ちながら、より美しく体を磨いて行く。流行のトレンドを学ぶことは勿論、歩き方のトレーニング、姿勢、しぐさにも気が抜けません。目つきがキツイとよく言われ、優しい感じを出すのにも苦労しました。

 最初は何気なく始めましたが、すっかりハマった感じです。桜沢北高校を含む、桜沢学校法人には芸能人や学生プロを対象としたマネジメント部門が有るので、のびのびと仕事に取り組めたのが良かったかもしれません。

 将来モデルになる事も考え始めていますが、第1目標は裁判官のままです。


 大学に入学して高橋圭吾君に会いました。

 友達に頼まれたコンパの勧誘役がきっかけです。

 私はモデルの仕事が順調だったので、少し調子に乗っていたのかも知れません。周りの男性は、皆さん私の事を知っていて、興味を持っていると思い込んでいました。

 高橋君は、自分の周りにいる男子と少し違いました。

 彼の第一印象は、とてもさわやかで強さと優しさを持っているスポーツマンです。コンパを断った事も好印象でした。

 とっても身長が高いので、私と釣り合いがとれそうです。ただし、私の胸を遠慮なく見ていたので減点しました。男性のそういった視線にも慣れて来ましたが、少しは隠して頂きたいものです。


 最近モデルの仕事は開店休業状態です。仕事の依頼は多いのですが、ダンジョンに潜っているので時間が取れません。

 裁判官、モデルの仕事を目指していましたが、第3の道が開けてきました。まだ誰にも話していませんが、圭吾君の奥さんポジションです。圭吾君との付き合いはおろか告白もされていませんが、優良物件な気がします。

 圭吾君はとても誠実で、一度約束をすれば絶対破りません。面倒な事や、嫌な事でも、上手く約束してしまえば応えてくれます。とても素晴らしい性格ですが、性悪女に付け込まれる欠点でもあります。変な女が寄って来ても追い払わなくてはなりません。


 圭吾君のお母様との関係は良好です。たぶん私の気持ちに気付いていると思いますが、温かく見守ってくれます。

 料理が下手な私の為に、料理の仕方を教えてくれます。「料理が下手だと、男は離れていくわよ」と言われたので、必死で覚えています。


 最近レベルが上がったお陰で、プロポーションが一段と良くなりました。

 モデル時代に、あれだけ苦労したストレッチは何だったのでしょうか。ウエストのくびれなんかは凄い事になっています。

 止まっていたはずの身長が少し伸びたのが悔やまれますが、圭吾君が相手であれば170を超えても問題ありません。


 圭吾君のお母さん、瞳ママと作戦会議です。やっと、レベル差の壁をクリアしたので、 土曜日のデートを取り付けた私は、一気に勝負に出ようと思います。4ヶ月余り、ほとんど進展の無い2人の仲に、焦りを感じていたのです。このままでは、仲の良い友達になりかねません。

 デート先は東京スカイツリーで、両親には内緒のお泊りデートです。私一人ではとても計画出来ないので、瞳ママに協力を頼みました。

 私の決意に驚いていましたが、快く協力してくれます。「菜々美さんが娘になってくれれば嬉しいわ」と、心強いお言葉を頂きました。


 デート当日がやって来ました。ギリギリを一歩も二歩もはみ出す勢いで攻めた衣装を用意しています。いつもは人より大きいバストを隠すようにしていますが、今日は思い切り強調しました。

 スカート丈もギリギリまで短い物を選んでいます。モデルの仕事でもこんなに短いミニスカートは履きませんでした。自分の長所を最大限に生かして攻めます。彼の視線を独り占めする為には、妥協は出来ませんでした。

 作戦は想像以上に上手くいきました。圭吾君の視線が突き刺さりそうで痛いです。思わず「穴が開いちゃいます」と言って赤くなってしまいました。

 つかみは上々だったので、更に攻めなくてはなりません。瞳ママのアドバイスで、前半中盤を攻めて、後半にちょっと引けば食い付くと言っていましたから、まだまだ攻めなければなりません。


 ホテルの部屋に入ったら襲われました。これから少しじらして食いついてもらう作戦でしたが不要です。想像以上に逞しく、強引にねじ伏せられました。

 前にレベル差が有ると危ないと言われましたが身をもって経験しています。前の私だったら間違えなくバラバラにされていました。

 強引でしたが、耳元で「好きだ。愛してる」を繰り返して頂き、身も心も満足です。この幸せを逃さない為にはどうしたら良いか、人生設計の練り直しが必要です。公務員を目指す未来は無くなりました。


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