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「おぉ、ここが妃ん家か。」
「うん。あ、どうぞ。」
とりあえず、ドアを開けて彼を招き入れる。
「お嬢様、おかえりなさいませ…
あら、そちらの方は…」
お手伝いさんの泰村さんが不思議そうな顔で春くんをみた。
そりゃ、入学式早々、不思議がるよね。
「あ、あのね、同じクラスの榎木春くん。」
「どうも。」
「榎木…じゃあ、榎木病院の息子さん?」
「え?あ、はい。」
「えっ、春くんのお家、榎木病院だったの?」
「あー、まぁ、一応。」
照れたように笑う。
「お嬢様がよくお世話になっていましたものね。
さぁさぁ、お上りください。
その箱の中に入ってる可愛いワンちゃんにはお水でいいですかね?」
「あ、はい、お願いします。」
とりあえず、私の部屋に向かった。
「さっき、うちの病院に世話になったって…」
「あぁ、私体があんまり強くなくて。
しょっちゅう風邪ひいてたの。
それでちょこちょこ入院しててね。
薬が飲めなくて春くんのお父さんをいっつも困らせてたなぁ…」
懐かしい、あの頃。
入院しても、両親は忙しくて。
泰村さんも、私につきっきりになるわけにもいかなかったから、凄く寂しくて。
そんなとき、榎木先生と春くんお母さんの夏美先生が私のことを気にかけてくれた。
「入院生活も、春くんのご両親のおかげで凄く楽しかったんだよ。」
「…そっか。
そんなに昔から来てたんだったら、俺も病院に行けば良かったなー
そしたら、もっと早く仲良くなれたのにな。」
ドクンドクン…
神様、これはなにかの病気でしょうか。
顔が熱くて、胸がドキドキして、
春くんの顔が見れません。