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美也side
入学式が終わって、ちょっとした休憩時間。
いつもなら春のそばにいるんだけど、
なんとなく席に座っていた。
すると、隣の席に座ってきたのは
挨拶をしていた女の子。
凄く可愛くて、お友達になりたいなって思っていた。
「え、美也ちゃんの お父さん"Bear"のシェフなの?」
「うん。なんか、気がついたら大きく…」
「へぇ、すごいね。」
「そんなことないよ、妃ちゃんのお父さんは世界的な指揮者で、お母さんは世界的なピアニスト。
音楽一家って憧れる。」
「…ありがとう。」
ちょっと、悲しそうな顔をして笑ったことが気になって、理由を聞こうとしたときだった。
「きっちゃん!友達できた!」
妃ちゃんの後ろに立っていたのは、
バカみたいに笑顔なやつと春。
「春ちゃんだって。あ、春ちゃん、この子は俺の幼馴染のきっちゃん。」
「あ…」
春と妃ちゃんが、お互いの顔を見て、固まる。
…知り合い?
「あ、綾瀬妃、です。」
「榎木、春です。」
ばくばくと、心臓がうるさい。
このときから、
私は何かを感じ取っていたのかもしれない。




