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妃side以外は、記載させていただきます。
美也side
「えっ、春、聖徳高校行くの?」
「うん。」
ナンバーワン難関校。
そこに行くと言う。
確かに春は、不良な身なりの割に学年トップだけどさ…
勉強なんてめんどくせーとか言うやつだから、
あんな、いかにも進学進学っていう
学校に行くなんて思わなかった。
「なんで?」
「父ちゃんが行けってうるせー。」
「あんたんとこのご両親、出身校とか気にしないじゃない。急にどうしたわけ?」
「わっかんねーんだけど、なんか急に母ちゃんがそこの学校のパンフレット持ってきて、制服着させたいらしい。」
確かに、真っ黒なスーツスタイルの制服は
女子に多大なる人気。
女子も真っ赤なネクタイにチェックのスカートは凄く可愛くて、私も内心着たかったりする。
「お母さんに乗せられたお父さんが、乗り気になっちゃったってわけね。」
「そゆこと。」
「まぁ、いいんじゃない?
大病院のご子息には相応しい学校なんじゃない?」
「それ言うのやめろって。
俺は継ぐ気なんてねーし。」
「はいはい。」
とかなんとか言っちゃって、
こっそり医学書買ってるくせに。
「そういう美也は、どこ行くんだよ。」
「よくぞ聞いてくれました。
なんと、私も聖徳高校なんです。」
「おっ、マジ?」
「一応学年2位なもんで。
少しでも良いところいって、親楽させたいし。」
「お前の父ちゃん、この間テレビ出てたじゃん。」
「まぁ、ギャラが高額でありがたいんだけどね、
本職でも、頑張ってほしいもんよ。」
「こんど、またチェーン店出すんだろ?
母ちゃんが言ってた。」
「そうそう。」
「何店舗目だっけ?」
「んー…もう50店舗目になんのかなー?」
うちの親父はイタリアンシェフ。
小さなレストランが、どんどん大きくなって、
いつの間にかチェーン店まで出てきた。
そんな私の幼馴染である榎木春は
大病院の息子だ。
会長のお爺様と、院長のお父さん。
ほのぼのとした家系だが、
仕事となると、眼光が光る。
いわゆる、ギャップ家系。
「お前との関係も、ここまできたら腐れ縁だな。」
「嬉しいでしょ?」
「んー?まぁ。」
にへっと笑う。
胸がドキドキして止まらない。
けど、顔は平常心。
この想いを自覚した頃からずっとやってきたから、
お手の物。
「どうかしたか?」
「ううん。」
いつか、特別になれますように。
そんな想いを込めながら、
キュッと軽く目をつむった。