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好き。
人気の少ない場所に移動して、2人でベンチに腰をおろした。
「ネックレス、つけてやるから後ろむいて?」
「あ、ありがとう。」
気恥ずかしさを感じながら、背中をむけた。
チャラっと小さな音が鳴る。
シルバーのハートと小さな翼がついたネックレス。
「いいよ。」と言われて、ゆっくりと振り返った。
「ん、似合ってる。」
ふにゃりと微笑んで、そう言われると
なぜか涙があふれた。
「えっ、俺、なんかまずいこと言った?」
「ううん、違うの。違う、の・・・」
私でも、わからないの。
どうして涙が出るのか、明確な理由が。
だけどきっと、好きがあふれてしまったんだと思う。
春くんに微笑まれた瞬間、私の中にある好きが
あふれてしまったんだと思う。
「好き。」
気がついたら、言葉も出てしまっていたんだ。




